173.手順
私のレベル上げと、月媛ちゃんを慣れさせるために、町を巡回して人外たちを倒していきます。
いろいろなエネミーと戦うなか、お約束的に、女性陣は昆虫系に引いてしまいました。
ま、この面子に関しては、男性陣を軸として勝利を収めたので、問題ありません。
歩きながら、
「京都のホテルで紗凪ちゃん達に聞いてはいたけど…、本当にファ―ストステージの敵とは顔ぶれも強さも変わったんだね。」
「皆の足を引っ張らないように、私も早いとこ強くならなくちゃ!」
穂乃歌さんが決意を表明したところ、
「あまり無茶はするなよ。」
「次も生き返れる保障はないんだからな。」
兄にあたる穂積さんが心配したのです。
「うーん……。」
「でも、まぁ、他の蘇生術士とのご縁ができれば大丈夫でしょ。」
「ね、琴晴ちゃん。」
「よろしくね♪」
穂乃歌さんに話しを振られて、
「え??」
「ああ、はい。」
条件反射で答えるも、上手くいくかどうか不安な私でした…。
小一時間のパトロールを終え、最神家に帰ってきました。
私は“LV.5”に、穂乃歌さんは“LV.8”になっています。
なお、私たち以外はレベルアップしておりません。
居間へと進んでみたら、
「あ、丁度よかったわ。」
「穂乃歌ちゃん。」
「大まかには出来あがったから、あとは袖や裾を詰めていくのに寸法を測らせてほしいの。」
「ちょっと付いて来てもらえる?」
うちの母が述べて、葵月ちゃんを伴い、部屋を移動したのです。
一方、月媛ちゃんは、人外とのバトルが興奮冷めやらぬようで、自分の両親や祖父母に何やら熱く語っていました。
採寸が済み、和室で作業が再開されています。
私の父と、暁斗くんも、予め薄鉄で防具を作製していたらしく、微調整を行っていました。
およそ10分後――。
穂乃歌さんの装備品が完成したのです!!
それは、白色を基調としたクレリック用の衣服&ローブに、ブラウンのショートブーツと、胸当て・籠手・脛当て、でした。
これらを受け取った穂乃歌さんが、
「ありがとうございます!」
満面の笑みを浮かべました。
「琴晴のは半分ぐらい作ってあるから、あと一時間もあれば仕上げられると思う。」
「それまで待っていてくれ。」
父親に説明されて、
「うん、分かった。」
そう返した私が時計を見てみたところ、AM09:15あたりになっていたのです。
スマホを取り出した私は、勇者さんにメッセージを送りました。
〝10時までには戻れそうにないので、コーヒー屋さんに直接むかいます〟と。
「さて…、我々は、お暇するとしよう。」
穂積さんに促され、穂乃歌さん/凪紗さん/真守さんが頷きます。
「それじゃあ、私達も、一旦、帰宅しましょ。」
「月媛の着替えとか支度してあげないといけないから。」
このように告げた叔母さんに、
「ああ、そうだな。」
叔父さんが同意したのです。
そんなこんなで。
玄関の外にて、神澤さん&神岳さんの4人組と、葵月ちゃんを残した“次女さんファミリー”が、【転移の宝玉】を使い、各自の目的地へと[テレポート]したのでした―。