172.地元でのバトル⑨
「あと2分くらいで、時間になるよ。」
穂乃歌さんに告げられて、
「え?! もう??」
「やばい、月媛ちゃんに教えておきたい魔法が、まだ他にも沢山あるのに。」
絵に描いたように〝アタフタ〟しだした私です。
「それなら、僕が、エネミーと戦いながらレクチャーしていくよ。」
真守さんが提案してくださり、
「じゃあ、今のうちに、月媛にポーション類を幾つか渡しとく。」
壱紀くんが[インベントリ]を開きました。
それに、
「私もぉー!」
と、琴音が続いたので、
「それじゃあ、私も」と言いかけたところ、
「琴晴ちゃんは“LV.1”になっちゃたんでしょ?」
「だったら、やめておいたがいいんじゃない??」
「この中で死ぬ危険性が最も高いのは琴晴ちゃんなんだから。」
紗凪さんに忠告されたので、従うことにしたのです…。
AM08:00となりました。
あちらこちらから庭に侵入してきたのは、天使×9/仏×9/アルミラージ×5/わいら×2/おとろし×2であります。
「おんけい!!」
すかさず我が妹が施しました。
慣れたものです。
ただ、神澤さん&神岳さんの4人とパーティーを組み忘れていたので、このメンバーのステータスは倍増しておりません。
ま、それでも、いつもどおり人外の半分ほどは互いに争っているので、割と余裕があります。
こちらに向かって来る敵には、穂積さん・紗凪さん・壱紀くんが先頭に立って対応していきました。
穂乃歌さんと琴音は、【ホーリー・ウォーター】や【ライト・ボール】などで、前線の三人を補佐する役目です。
月媛ちゃんは、真守さんの優しい指導によって、いろいろな[魔法]を落ち着いて発射しています。
私はというと、穂乃歌さん達の後ろで様子を窺いつつ、ある程度ダメージを負ったエネミーに“ヒット&アウェイ”を繰り返していました。
それは、穂積さんに授かった作戦です。
〝一番リスクが少ないだろう〟との事で。
確かに、なかなか上手くいっております。
しかし、人外たちも好き勝手やらせてはくれません。
上や横から襲ってくる敵もいるのです。
私は、油断も隙もないエネミー達に、剣士のスキル【身かわし】を用います。
これは、全ての攻撃を躱せるというものです。
現時点での私は“11秒間のみ”となっています。
ただし、レベルが上がっていくにつれて、秒数も大きくなっていく模様です。
なお、避ける専門となっており、〝発動している期間に反撃するのは不可能〟とのことでした。
ちなみに、この能力は、私が京都で見たものではありません。
どうやら、あれは、それなりのレベルにならないと収得できないみたいです。
(選ぶジョブ、間違ったかも。)
このように、いささか後悔する私でありました……。
なんだかんだで、バトルが終了しました。
私は“LV.3”になっております。
「皆、よければ、行こうか。」
穂積さんに促されて、我々は門へと足を運んだのです。
町に現れている人外たちを倒すべく、最神家の敷地から出るために―。