167.大阪城奪還戦①
勝手に決めた勇者さんに、同じグループの方々が〝はぁー〟と溜息を吐きました。
「これは、もう、しょうがないよね。」
「いつもどおり〝反対しても無駄〟だろうから。」
諦めた様子になっているのは【機工士】のジュンヤさんです。
「いや、あんたらには関係ない事やから、無理に加わらんでも、ええねんで?」
そう述べた金髪リーゼントさんに、
「気にすることはない!」
「世の中、助け合いが必要だからね!!」
「それに…、味方の数が増えれば、それだけ有利になるだろ?!」
「断る理由は無い筈だッ!」
アケミさんが返します。
金髪リーゼントさんが「そやけど」と言いかけたところを、
「待ちぃや。」
「何がなんでもボスキャラを倒しとかんと、またライフラインを断ちよるかもしれへん。」
「そうなったら面倒やで。」
「こん人らは俺たちより強いやろうから、ありがたく受け入れとこうや。」
黒髪セミロングソバージュさんが説得しました。
「……、確かにな。」
「ほな、手伝ってもらうで。」
納得した金髪リーゼントさんに、
「ああ、勿論さ!!」
勇者さんが笑顔で応じます。
「じゃあ、“一般職”は喫茶店とかで時間を潰しといてくれ。」
「もし、車に戻るんだったら、キーを渡しとく。」
【武闘家】たるサトシさんがジーンズのポッケから鍵を取り出しました。
これを借りた【錬金術師】のマリナさんが、
「行こう。」
残りの皆さんと共に去っていきます。
「それで??」
「作戦とかってあるんですか?」
【神官】であるカズヒコさんの質問に、
「いいや。」
「時間になったら攻め込むだけやで。」
そう答える金髪リーゼントさんでした……。
PM14:30となりました。
「あんた達は、俺らに付いて来てや。」
そのように告げた金髪リーゼントさんと、暴走族の方々が、[青屋門]へと歩いていきます。
スタイルを[戦闘モード]に変更した“東京組”が、彼らの後ろに続きました。
暴走族のメンバーは、昨日と同様に防具を装備しておりません。
〝特攻服で戦う〟といったポリシーは揺るがないようです。
刀身の長さ80㎝×柄の長さ25㎝ぐらいの“ロングソード”を右手で抜いた金髪リーゼントさんが、門の前で、左手を軽く挙げ、全員に、止まるよう合図しました。
この流れで、青屋門の向こう側を慎重に覗いた金髪リーゼントさんが、後方に視線を送りつつ、
「左右に仏どもが待機しとる。」
「合計で60体以上は軽く居るみたいや。」
そう告げたのです。
〝ふむ〟と理解を示した黒髪ソバージュさんが、
「なら、“強虎嵐武”は右へ、他は左に、突撃かましたろ。」
このように提案し、承諾した誰もが頷きます。
かくして、
「おし!」
「ほんなら、おもいっきし暴れて、敵をブッ倒しまくったろうやッ!!」
[ロングソード]を掲げて鼓舞する金髪リーゼントさんでした―。