153.弁明
[アイテムBOX]から取り出したるは、“超強力粘着テープ”です。
それを皆さんに配って、[パクリーズ]の手足を“ぐるぐる巻き”にし、適当な所にてハサミで切ってもらいます。
これらは、[護衛隊]の“茶髪ショートゆるふわパーマさん”から受け取っていた物です。
“角刈りピタT”たちは傷を負っていたので、拘束後に[体力回復ポーション]を飲ませて治癒してあげました。
「コイツラが出血多量とかで死んじまったら、俺達が犯罪者になってしまう」「それは、正直、迷惑だ」との団長さんの意見にて…。
マサさんが、
「あと5人いる筈だけど……、残りのメンバーは?」
[旧ミツル一派]に尋ねます。
確かに、ここには、“ボディコン風ケバ女”などの姿が見当たりません。
「“一般職”は、先に、地元に帰った。」
「“転移の宝玉”で。」
“筋肉ダサ男”が、そっぽを向きながら答えます。
「それで??」
「お前たちは、なんで、この病院に居るんだ?」
ヒデさんの問いに、
「誘われたんだよ。」
「予選が終わって、公園から出ていこうとしていたところを、“ネクロマンサー”とかいう中坊に。」
「〝復讐のチャンスを与えてあげるから一緒に来ないか〟てな。」
「ガキの言いなりにはなりたかなかったが、〝お前らをボコれるんなら最高だな〟と思って、付いてきたという訳だ。」
「“戦闘職”と“ユニーク職”だけがな。」
“角刈りピタT”が経緯を述べました。
「あー、だから、蘇生術士を殺害して、おびき寄せたのか、僕達を。」
真守さんが推測したら、
「は?!」
「ころ…、マジか!?」
“筋肉ダサ男”を筆頭に、[スラムダンカーズ]が目を丸くしたのです。
「なんだ?? 知らされてなかったのかよ?」
ヒデさんが訊ねたところ、力なく頷いた“角刈りピタT”が、
「一時間くらい前、〝蘇生術士を捕まえてきて、ある部屋に閉じ込めている〟〝仲間が奪い返そうと襲撃してくるだろうから、それに備えるように〟って……。」
「アイツラ、騙しやがったなッ!!」
「これじゃ、誰も復活させられなくなっちまったじゃねぇか!」
〝ギリィッ〟と歯軋りしました。
「どうやら嘘ではなさそうだな。」
光沖さんが判断した流れで、
「で??」
「ネクロマンサーは、今、何処に居るんだ?」
そのように質問したら、
「さぁ、な。」
「奴は、いつも、使う部屋を変えているみたいで、毎回、誰にも教えてねぇみたいだから、さっぱりだ…。」
“筋肉ダサ男”が首を横に振ったのです。
「……、この病院で何人ぐらいが生活してる??」
「あと、結界を張っていない理由は?」
穂積さんの疑問に対して、
「確か…、60人程だな。」
「なかには、俺達みたいな大学生や、専門学生も、存在しちゃいるが……、殆どは中高生だ。」
「ネクロマンサーが、あっちこっちで声を掛けた寄せ集めだから、仲が悪いヤツラもいてよ…。」
「“敵意”や“悪意”があると結界を通過できねぇから、敢えて張ってねぇんだと。」
“角刈りピタT”が白状します。
「やけに、あっさり喋るわね。」
紗凪さんが指摘したところ、
「ま、お前らに勝てない事は、よく分かったし……。」
「それに、あのガキどもに義理立てする必要もねぇしな。」
「蘇生術士の件に関しては、こっちとしても不本意だからよ。」
“筋肉ダサ男”が〝はぁー〟と溜息を吐きました。
「ふむ。」
「完全に戦意喪失したみたいだが…、他の連中に助けを求められても面倒だから、念の為に予防させてもらうぞ。」
団長さんの提案によって、私たちは、[パクリーズ]の口をテープで塞いでいったのです―。