15.対処
敵を屠った私は、
「あのぉー、何で私に譲ったんですか?」
と尋ねてみました。
ソフトモヒカンさんによれば、
「止めを刺した人が自動的にアイテムを入手できるみたいだからな。」
「アイツらとは、もともと君が戦っていたようだから、当然の権利だろ?」
「ただ、ちっこい方は俺が勢い余って死滅させてしまったが…。」
「すまん。」
との事です。
「あ、いえ、お陰で助かったので、ありがとうございます。」
お礼を述べる私に続いて、タオルケットを纏っている20代半ばくらいの婦人警官が、
「私も、命を救っていただき、ありがとうございました。」
と、頭を下げました。
このタオルは、ミニパトのトランクにでも積んでいたのでしょう。
おそらく。
更には、
「俺からも礼を言わせてくれ。」
「二人は亡くなってしまったが、俺達だけでも生き残れたからな。」
「君たちに感謝する。」
そう述べた男性警察官も会釈しました。
お巡りさんによると、他にも、魔物やら、天使やら、仏やらが、出現していたらしいのですが、大半は共倒れしていったそうです。
残りは“戦闘職”の警官が消滅させたものの、先程の大型植物に隙をつかれて呑み込まれたと語っていました。
ロングヘアーの女性に、
「ところで…、高校生かな?」
「一人で行動してるの??」
と質問された私は、ご遺体のことを思い出したのです。
その事を教えて、皆さんと一緒に道を引き返していきます。
ちなみに、婦警さんと黒髪ロングさんは、粘液が未だ乾いておりません。
現場にて、ショートボブの女性が、
「酷いわね。」
と、視線を逸らします。
それ以外の面子も、なるべく見ないようにしていました。
ただ、警察の二人組は、それぞれに無線で何処かしらに連絡しています。
テキパキと。
流石は専門家です。
しかしながら、ここ迄の状況に疲れやストレスが溜まってきているのでしょう、気分や表情が沈んでいました。
ともあれ、数分で応援の警官や救急車が到着するそうです。
私たちを助けてくださった四人組が、何やら話し合っています。
ロングヘアーさん
「新たに人外らが現れるかもしれないから、お巡りさんたちを守る為に、暫くここに残ろう。」
ショートボブさん
「じゃあ、救急車とかが来るまでの間、この周辺の家屋にも結界を張っていこうか?」
ショートヘアーさん
「いい考えだね。」
ソフトモヒカンさん
「だったら、“探知”を使おう。」
こんな内容です。
黒髪ロングの女性に、
「ねぇ?あなたのジョブは?」
と聞かれたので、
「巫女…、ヒーラー系です。」
と、答えたところ、ボブの女性に、
「私と同じだね。」
「あ、いや、私は“クレリック”だから、ちょっと違うか。」
「結界は扱える?」
と詰め寄られました。
一歩だけ後退しながら、
「はい。」
と、頷いた私に、
「良かったぁ~。」
「私だけだと早めに魔力切れが起きかねないから、貴重だよぉ。」
と微笑みます。
「それじゃあ発動するぞ。」
お仲間に告げたソフトモヒカンさんが精神を集中していくのでした―。