147.京都のホテルにて・こうへん
あれから気を取り直して、再び真面目な会話が続き…、
「成程な。」
「それぞれに目的の人物を生き返らすことが出来れば、“眼鏡の嬢ちゃん”は、ネックレスを奪われたり、殺されずに済むだろうから、試合が終わるまで内緒にしておいた訳か。」
光沖さんが理解を示してくれました。
「しかし、“タイムループ”とは……、俄かに信じがたいが、事実なんだよな?」
【盗賊】であるヒデさんが確認してきます。
私が〝ええ〟と頷いたところ、
「どうやってゲットしたの??」
【機工士】のユウジさんが興味津々で訊いてきたのです。
「ま、簡単に言えば、宅配便で届いたんですけど…、送り主が何処の誰なのか全くもって分からないんですよねぇ。」
私が伝えたら、【神官】ことカズヒコさんが、
「謎は残っている、と……。」
右手を自身の顎に添えて〝ふむ〟と考え込みました。
これを余所に、
「とにもかくにも…。」
両手を〝パチン〟と合わせた【騎士】のハルカさんが、
「妹ちゃんも、本当に、ごめんね。」
琴音に謝ります。
「ん~。」
妹は、あまり釈然としておりません。
その様子に、
「お詫びとして、こちらの姉妹に何かしら買ってあげたまえ、ハルカくん。」
【勇者】たるアケミさんが和解策を提案しました。
「いえ、大丈夫です。」
「ビンタしたので、“恨みっこなし”という事で。」
私が断ったところ、
「そうかい?」
「だが、妹くんはイマイチ納得できていないようだから、彼女にだけでもプレゼントしてあげたが良いだろう。」
「本人の好きな物とかを。」
アケミさんが半分は譲歩しつつ、ハルカさんを促したのです。
これを受けたハルカさんが、
「今、一番ほしいものって、なぁに??」
そのように尋ねたら、
「んんー、……。」
「スカイツリー!!」
と、答える琴音でした。
「いや、流石に、無理。」
いささか引いたハルカさんを、妹が〝ふッ〟と鼻で笑います。
これに〝グサッ!〟ときたらしいハルカさんは、
「ぬ、ぐッ。」
心臓あたりを左手で押さえました。
「琴音ちゃぁん、スカイツリーは、お家に置けないから諦めたら?」
そのように諭したのは穂乃歌さんです。
「え??」
「移動させるつもりだったの?」
少なからず目を丸くした私に、
「うん!」
「お庭に。」
琴音が返します。
「いやいや、建てるスペースないし、却下だわ。」
私が呆れていたら、
「それ以前に、許可が下りないんじゃ??」
壱紀くんが首を傾げました。
私たちの会話に、
「問題は、そういうところじゃなく…、そんな大金ないから不可能なんですけど。」
ハルカさんが困り顔になります。
「琴音ちゃん。」
「食べ物にしたら?」
紗凪さんが勧めたところ、
「じゃあ、ねぇ……、パフェ!!」
妹が変更したのです。
これに対して、
「それならOKだよ。」
ハルカさんが〝ホッ〟としました。
「ならば、京都でパフェを提供してくれるお店を検索しよう!」
勇者さんが述べたところ、【裁縫師】のミオさんが、
「それだったら、良い所、知ってるよ。」
「“通常”はもとより、“ジャンボ”や“おもしろ系”があって、楽しめるんじゃないかな??」
「他にも、いろんな食品が有るから、大人も満足できるでしょう。」
「ここからだと“三条本店”が最も近いだろうけど…、明日にする?」
解説する流れで、皆さんに伺ったのです。
「うむ。」
「そうだな。」
「今日は、これから、“蘇生術士”を殺害した少年などを懲らしめなければならいからね。」
「それを達成させてからにしよう。」
アケミさんの意見によって、真剣な表情になっていく我々でした―。