14.助けられました。
「アイス・ボール!」
お巡りさんが居る方から、直径10㎝の“氷の玉”が飛んできて、火の玉とぶつかり、互いに弾けました。
更には、小型フラワーの背後に〝シュンッ!〟と現れたソフトモヒカンの男性が、逆手で持っているダガーで頭部を刺したのです。
「ピギャアアアアッ!!」
と喚いた花を助けるべく大型が向きを変えようとします。
しかし、正面から駆け寄った黒髪ロングの女性に足払いされて横倒れになり、ブロック塀のてっぺんに側頭部を打ち付け、〝ぶべぇッ!!〟と人を吐き出したのです。
粘液まみれなうえに制服が少なからず溶けている婦警さんを、お姫様抱っこのようにキャッチしたロングヘアーの女性が、男性警察の所に引き返していきます。
婦人警官を〝そっ〟と路上に寝かせると、待機していたショートボブの女性が具合を診て、
「憔悴しているみたいだけど、命に別状はなさそうね。」
「すぐに“体力回復ポーション”を飲ませてあげるから、ちょっとだけ待ってて。」
と、述べました。
その近くには、ショートヘアーの男性が見受けられます。
どういう状況なのか理解できない私を余所に、
「やっぱり一撃じゃ無理か。」
と述べたソフトモヒカンの男性が、何度となく突きまくっていったのです。
その間に立ち上がった大きなフラワーが、彼を葉っぱで打ち付けるモーションになりました。
小型が消滅するなり、ダガーさんがバックステップで躱したので、大型は誰も居ない道路を叩いたのです。
再び接近した黒髪ロングの女性が、茎に手刀を繰り出します。
“くの字”に折れ曲がったエネミーに、控えていたショートヘアーの男性が、
「ボム・ボール!」
と、発しました。
それに呼応するかのように飛んでいった直径10㎝の“オレンジ色の球体”が、花の部分に当たるなり爆発したのです。
大型植物が、今度は地面に倒れていきます。
それを避けて、私の眼鏡を拾ったモヒカンさんが、
「これは、君のか?」
と手渡してくれました。
「あ、はい、どうも。」
〝ペコリ〟と会釈しながら受け取った私に、彼は、
「あれの止めは君が刺してくれるかい?」
と、尋ねてきたのです。
「はぁ。」
気の無い返事をする私に、魔法を放っていた男性が、
「やるんだったら、敵の頭…、あー、“花の部分”を狙うのが良いよ。」
「そこ以外は暫く経つと再生しちゃうみたいだから。」
そう教えてくれました。
「どれくらいの時間で、でしょうか?」
「ん~、5分ぐらい??」
「個体差があるらしく、ソイツの場合は不明だね。」
「ひょっとしたら、もっと早いかもしれない。」
そんな会話をしていたところ、眼前の植物が起き上がろうとしていたのです。
婦警さんを回復させてあげたショートボブの女性に、
「急いだがいいんじゃないかな?」
と、促されます。
どうやら、皆さん、私に一任してくれるようです。
初対面の人に強く出られない性分の私は断れなかったので、お膳立てを受け入れ、【恩恵】を用いた後に、茎を斬りました。
ロングヘアーさんが、
「え?いや…。」
〝何やってんの?〟といった感じになります。
「立たれたら、私では届かなくなるので。」
この説明に、誰もが「あー」と頷いたのです。
居合わせている人達の納得を得て、チューリップみたいな花に薙刀を振るう私でした―。