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JK LOOPER  作者: ネコのうた
2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。
139/317

139.決勝戦です・トロワ

我々の所に帰ってきた壱紀(かずき)くんが、


「ごめん。」

「僕の所為で、今後の余裕がなくなってしまって…。」


項垂(うなだ)れつつ、両手をそれぞれに〝ギュッ!〟と握って拳を作り、悔しがります。


「よっしゃあーッ!!」

「あと一つでボクらの優勝だ!」

「次で決めてしまおう!!」


あちらから聞こえてくる勇者さんの声が耳に障るなか、


「大丈夫だよ、カズくん。」

「なんとかなるはずだから、前向きにいこう、ね?」


自責の念に駆られている従兄妹を心配する私です。


団長さんが、


「そうだぞ、青年。」

「この敗北をバネにすればいいだけの話しだから、クヨクヨすんな。」

「それに、収穫があっただろ。」

「むこうの(あん)ちゃんに闘い方を教えてもらって。」

「……、本当は、俺あたりがアドバイスするべきだったんだが…、すまんな、そこまで気が回んねぇで。」

「ただ。」

「どのジャンルでも一流っていうのは、たとえ敵からであっても学べるものは貪欲に吸収していくもんだ。」

「二度と自分の事を不甲斐なく思いたくないんだったら、そうやって腕を磨いていけばいい。」

「ま、対戦者に礼が出来るぐらいだから、大丈夫だろう。」

「そういう人間は強く逞しくなっていくもんだからな。」

「青年には素質がある。」

「だから、自信もてよ、な!」


このように持論を展開しました。


顔を上げて、


「……、はいッ!!」


と応じた壱紀くんの目には力が戻っています。


私が〝ほっ〟としたタイミングで、


「ぼちぼち中堅戦を行いまーす!」


“黒髪ボブの審判さん”が伝えてきたのです。


「俺の出番だな。」


[木短剣]を手にした穂積(ほづみ)さんが、舞台の中央へと足を運びます。


「私まで繋げてよ。」


「頑張って。」


紗凪(さな)さん&真守(まもる)さん姉弟に、


「おう。」

穂乃歌(ほのか)の復活が懸かってんだ…、必ず勝つ!!」


背中で返す穂積さんでした。



相手は【武闘家】のサトシさんです。


右手には[木製のヌンチャク]を握っています。


ルールの説明を終えた審判さんが、


「始めぇッ!」


と、告げました。


(せん)を取ったサトシさんが、


「うぉりゃッ!」


武器を左から右へと払います。


穂積さんは、顔面に迫るヌンチャクを、後方へのスウェーで逃れました。


サトシさんが縦横無尽に振るう武器を、穂積さんが避けまくるなか、


「確かに素早いわね、アサシン。」


カナさんが〝へぇー〟と感心しています。


「でも……、このままいけるのかな??」

「そのうちバテちゃって、倒されたりしない?」


不安がるミサさんに、


「“武闘家”も割とスピードあるほうだけど…、あの二人のレベルに大きな差がないのであれば、アサシンを捕まえるのは無理よ。」


紗凪さんが説明しました。


その間にも攻撃し続けているサトシさんが、


「ぬぅッ!」

「結構な速度だな。」

「……、こっちが疲れるのを待っているんだろうが、そうはいかんぞッ!!」

「数分後に立っているのは、俺の方だ!」


〝作戦はお見通し〟とばかりに宣言したのです。


これに対して、


「いや、いつまでも守勢に回っているつもりはない。」

「だいたいのパターンは読んだから、詰んでやるよ。」


そう述べた穂積さんが、右手の短剣を、腹部めがけて繰り出します。


武闘家/アサシン/シーフ(盗賊)/巫女/神官/クレリック/剣士/弓使い/魔法使い等は、鎧ではなく[胸当て]なので、お腹はガラ空きになっているのです。


まぁ、衣服は着ていますが。


なにはともあれ。


無防備になっている箇所を、正面から〝ドンッ!!〟と突かれたサトシさんが、


「ぐふッ!」


よろめくも、


「むんッ!!」


踏ん張って耐えました。


この隙に、穂積さんが、懐へ飛びみ込もうとします。


「させるか!」


サトシさんが牽制を兼ねて右から左へと払った[木製のヌンチャク]を、身を低くして躱した穂積さんが、


「もらった。」


アッパーカットによる[木短剣]を、顎に〝ガツンッ!!〟とヒットさせたのです。


「がッ?!」


天井を仰いだサトシさんが、膝から崩れ落ちました。


「ありゃ脳が揺れたな。」


そのような見解を示したのは光沖(みつおき)さんです。


「勝者、穂積選手!!」


これ以上は危険と判断したらしい黒髪ボブさんが、試合を終わらせます。


左の(てのひら)を額に当て、〝ふぅ――ッ〟と息を吐いたサトシさんに、


「無事か??」


穂積さんが確認しました。


「ああ。」

「軽く意識を失ったが、問題はない。」


そう答えたサトシさんが、


「念のために“体力回復ポーション”を飲んでもいいか?」

「後遺症が出ないように用心しときたいからな。」


審判さんに尋ねたのです。


これを受けて、


「ええ。」

「そないしとくんが宜しいでしょう。」


頷きながら許可する黒髪ボブさんでした―。


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