125.悶着
「確かに、それっぽいな。」
「眼鏡を掛けているかいないかの違いはあるが……。」
「お前で間違いねぇな?」
「ミツルを警察に突き出しやがったのはッ!?」
問い詰めてくる“筋肉ダサ男”に、〝いや、お巡りさん達を呼んだのは、ヒデさんで…〟と言おうとした私よりも早く、
「そうだよ!!」
「琴晴りんがミツルを倒してくれたからこそ、アイツを逮捕できたんだからね!」
「文句あるッ?!」
茶髪ショートヘアーのギャルである“ミサ”さんが、挑発してしまったのです。
おそらく、本人に悪気は無いのでしょうが……。
だからこそ、ややこしくなってしまう事は、世の中に多々あるもので。
案の定、
「だったら、その“コトハ”とかいうヤツから落とし前つけてもらおうじゃねぇかあッ!!」
“角刈りピタT”にロックオンされてしまいました。
しかも、名前までインプットされて…。
「ミサさぁ~ん。」
困り顔になった私に、
「え??」
「私、なんかマズった?」
ミサさんが首を傾げます。
このような状況下で、
「何があったかは知らないが、必要なら手助けしようか??」
「君たち姉妹には、名古屋での縁があるからなッ!」
近くに居た【勇者】さんが参入してきました。
「なんだテメぇは!?」
「部外者は黙ってろッ!」
「じゃねぇと、痛い目みせんぞ!!」
“筋肉ダサ男”がヒートアップしていったところ、
「そこまでッ!」
との女性の声が、私たち[シンオウ連合隊]の背後から聞こえてきたのです。
[祇園枝垂桜]の側に佇んでいた“運営委員の10人組”が、回り込んできます。
それぞれの位置関係は……、東:私達/西:ミツルの仲間一同/南:スーツ姿の運営委員/北:アケミさんグループ、です。
ちなみに、“桜”は、我々の東側で存在感を放っております。
ともかく。
お団子ライトブラウンヘアー&細長インテリメガネである女性の、
「これ以上の騒ぎは許しまへんえ。」
「〝人間同士の殺傷は、よほどの事態でない限り不可とする〟という新たな法がありますし…。」
「それに何より、周りとって、ええ迷惑です!!」
「もし、引き下がらへんのなら、“失格”と定め、出場を認めまへん!」
毅然な態度に、舌打ちした“筋肉ダサ男”が、
「試合でボッコボコにしてやんから、覚えてろよッ!!」
私を睨みながら告げてきました。
これに対して、私は、つい思わず、
「の、望むところです!」
条件反射で応えてしまったのです。
「ふんッ!!」
鼻息を飛ばした“角刈りピタT”が、
「行くぞ!」
[旧・ミツル一派]を連れて、離れていきます。
「どうも、すみませんでした。」
謝った私に、
「いえいえ、どう致し、あら??」
「“下河原通”で、お会いした方々では?」
“お団子ヘアー”さんが述べました。
(はて??)
〝どなたかしらん?〟と分からずにいる私の右斜め前で、
「あん時の、“新・京都見廻組”の人たちか!!」
団長さんが〝ピン!〟ときたようです。
私の記憶の中で、戦いに加勢してくださった[女剣士]さんと、“細長インテリメガネ”さんが、一致していきます。
「ええ。」
〝ニッコリ〟と微笑んで肯定した女性が、
「そろそろ“抽選会”を始めますよって……、うちらは、一旦、これで。」
軽く会釈しました―。