123.そういう組織
謎の一団による加勢もあって、エネミー達は殲滅されました。
刀身の長さ80㎝×柄の長さ25㎝ぐらいの“ロングソード”を、左腰の鞘に収めた女性が、
「皆さん、大丈夫でしたか?」
神澤紗凪さん達に確認します。
背丈は175㎝といったところでしょう。
ライトブラウンの長髪で、体型はスラッとしており、凛とした綺麗な顔立ちです。
その武器や、軽量化されている薄鉄の防具からして、【剣士】だと思われます。
年齢は30前後のようです。
紗凪さんが、
「ええ、ありがとうございます。」
お辞儀し、
「アンタらは??」
神原光沖さんが尋ねます。
これに対して、女性の剣士さんが、
「あー、地元民ちゃうんですか?」
「……なら、説明しましょ。」
「私らは、蘇生術士というジョブの方に雇われとる“新・京都見廻組”言います。」
「“人類の敵”が現れる時間帯に、各班に分かれて、パトロールしながら、戦ぉうとるんです。」
そのように述べました。
彼女の左斜め後ろに控えている小柄な人が、
「あら、道が壊されとる。」
指摘します。
黒髪ショートかつ可愛らしい容姿の【巫女】さんです。
道路は、主に“鴉天狗”と“わいら”のスキルによって、ボロボロになっていました。
剣士さんの、
「ほんまやわぁ。」
「修復士さんに連絡しとこか。」
との言葉に、カナさんが建物から2~3歩ほど外に出て、
「私、“修復士”だから、やっとくよ。」
自発的に引き受けたのです。
「そうですか…。」
「では、私らは他も巡回せなあかんよって、よろしゅうお頼申します。」
会釈した茶髪ロングの女剣士さんが、お仲間と共に北上していきました。
カナさんが、破壊されている箇所に、直径20㎝×高さ40㎝くらいの銀製容器に入っている“透明のクリーム”みたいなものを、左官屋さんの“コテ”で、塗り込んでいきます。
この間に、他のメンバーは周囲を警戒していました。
新たな人外が襲撃してきたときに備えて。
ま、結局、それ以降は一体たりとてエネミーが登場しなかったので、カナさんは作業に集中できたようです。
お店の方に、お礼として飲み物を一杯ずつ奢っていただいた我々は、ひとまず休憩しております。
試合に出場する5人は、攻守のビジョンを共有すべく、先程のバトルを参考に意見を出し合っていました。
そうこうするうちに、時間が迫ってきたので、お会計を済ませた私たちは、[円山公園]へと向かったのです。
“ポカポカ陽気”のなか、〝てくてく〟歩くこと、おおよそ8分。
“ひょうたん池”の横を通って、辿り着きたるは、[祇園枝垂桜]であります―。