118.和気あいあい
私は、用紙の“8番目の覧”に[シンオウ連合隊]と記入しました。
そう、私たちが“最後の参加チーム”であります。
ギリギリセーフな状況に〝ほッ〟と安堵しつつ、
「あのぉー、念のために、お聞きしますが…、〝人間同士の殺傷は、よほどの事態でない限り不可とする〟との、政府の発表は、ご存知ですか?」
オシャレ坊主さんに伺ってみたところ、
「ん??」
「ああ、耳に入っとるよ。」
「……、なんや?」
「“特殊依頼”でのバトルは〝新たな法に触れるから犯罪や〟ということかいな??」
「それやったら、心配せんでええ。」
「内閣に認められとるさかい。」
「あ!」
「こら、決勝に残った2チームにしか教えたらあかんのやった…。」
「そやさかい、これ以上は言えへん。」
「堪忍な。」
このように返してきたのです。
私が、
「はぁ。」
なんとなく頷いたら、
「ほな、予選、お気張りやす。」
受け付けの坊主頭さんが会釈しました。
それを待っていたかのように、
「よーし!」
「それじゃあ、みんなで、ご飯に行こうよぉッ!!」
「これから仲良くやっていくためにも!」
茶髪ショートヘアーのギャルであるミサさんが促してきたのです。
「うむ、確かに。」
「共に戦うんだから、親睦を深めておくのは重要だな。」
納得した団長さんが、
「この近くに、小さい子の口にも合いそうな食べ物を提供してくれる所はないかな??」
オシャレ坊主さんに尋ねたところ、
「それやったら、“下河原通”ちゅうとこに、親子丼が人気の店がありますえ。」
「歩きやと、ここから10分ぐらいですわ。」
との事だったので、お礼を述べた私達は、移動を開始したのでした。
先頭集団は、左から、バーバースタイルの“ヒデ”さん・団長さん・マッシュ―ブロックの“マサ”さんです。
マサさん
「え!?」
「傭兵だったんですか?」
団長さん
「まぁな。」
ヒデさん
「どんな国々で活動してたんです??」
団長さん
「ああー、そうだなぁ……。」
といった具合に、会話していらっしゃいます。
二列目は、ミサさん・我が妹・金髪ロングストレートの“カナ”さんです。
「へぇー、“琴音”っていう名前かぁ。」
「よろしくな、琴音ちゃん。」
「うん!」
「“ことね”ってことはぁ…、コトネン?」
「いぃや……、“コトネーン”で、どぉう?!」
「じゃあ、ミサお姉ちゃんは…、“ミッサーン”ね♪」
どれが誰の言葉かは、説明するまでもないでしょう。
三列目は、私と壱紀くんで、最後尾は、紗凪さん・真守さん・穂積さんであります。
私が振り向きつつ、【勇者】たる“アケミ”さんのパーティーと乱闘になりかけたところを回避できた例の一件について、
「先程は、ありがとうございました。」
「タイムループに関することがバレないよう、気を利かせていただいて。」
真守さんに感謝したら、
「いやいや、咄嗟とはいえ、穂積くんと姉貴が素直に対応してくれて助かったよ。」
笑顔で答えてくださったのです。
これに、
「あぁ、あれって、そういう意味だったのね。」
「やっぱり、そうだったのか。」
合点がいった様子の紗凪さんと穂積さんでした―。