114.平和的にいきましょう。
「待ってください!」
「勇者さんがたとは偶然お会いして、お喋りしていただけなので…、その、まぁ、……、取り敢えず、大丈夫です。」
私が場を落ち着かせようとしたところ、こちらを振り向いた穂積さんが、
「いや、しかし…。」
何かを言いかけるも、口を閉ざしました。
ほんの少しだけ間を置いて、真守さんが機転を利かせ、
「あー、そうなんだね。」
「いやー、てっきり、〝君らが絡まれているんじゃないか?〟って、思ってさぁ……。」
述べていき、
「どうやら勘違いしてしまったようで…、失礼したね。」
アケミさん達に、お辞儀したのです。
更には、
「ほら、穂積くんと、姉貴も、謝って。」
お二人を促します。
「お、おう。」
「……、まー、あれだ。」
「なんか、早とちりしてしまったみたいで…、悪かったな。」
穂積さんに続いて、
「誤解しちゃって、ごめんなさいね。」
紗凪さんも会釈したのです。
そのような動きに対して勇者さんが、
「ん?? そうかい?」
「ふむ……。」
「だったら、水に流すとしよう!!」
「こっちも声を荒げてしまって、すまなかったね。」
笑顔になりました。
[神里町自警団]の団長さんは、
「なんだ??」
「解決か?」
拍子抜けしておられます。
青髪ロングのカズヒコさん(神官)は、どこか腑に落ちなさそうです。
他にもう一人、釈然としていない方がいらっしゃいます。
我が妹に、ずぅーっと、睨まれているハルカさん(白銀ショートヘアー)です。
私は、左の掌で、琴音の両目を〝そッ〟と覆い隠しつつ、
「それじゃあ、私たちは、エントリーを済ませましょう。」
「“特殊依頼”は〝朝の11:30迄〟しか受け付けていないそうなので…。」
「ま、あと20分ほどの余裕はありますが、〝8組が登録した時点で締め切る〟とも説明されたので、定員に達してしまう前に手続きを。」
こちら側の皆さんに告げました。
それが耳に入ったたらしい“スポーツ刈りの日焼けマッチョ”ことサトシさん(武闘家)が、
「んー??」
「何かあるのかい?」
尋ねてきたので、無視するわけにもいかず、
「ええ、実は……。」
“蘇生の条件”を教えてあげることにしたのです…。
アップバングのジュンヤさん(侍)が眉間にシワを寄せながら、
「500万円か……。」
呟きました。
ウルフカットのユウジさん(機工士)は、ご自身の顎に右手を添えて、
「エネミーを倒した際に得られる“金”と“銀”を、通貨として使えるようになったとはいえ、僕ら全員の分を集めても足りないだろうね。」
厳しい顔つきになったのです。
「え?!」
「金と銀を!?」
驚く私に、団長さんが、
「その様子だと、まだ、ニュースを見聞きしてないみたいだな。」
「…、いいかい?」
「今朝の10時から総理大臣が発表していった内容によれば……。」
情報を提供していきます―。