112.再会②
「やー、やー、〝おひさ〟だねぇ、琴晴りん!」
近づいてきたミサさん(錬金術師)が、満面の笑みを浮かべます。
「あの時は、どうも、お世話になりました。」
〝ペコリ〟と頭を下げた私に、
「いや、助けられたのは俺達の方だよ。」
「君には本当に感謝している。」
「…、ところで……、その子たちは、君の友達、か?」
ヒデさん(シーフ)が疑問を口にしたのです。
「あー、いえ、親戚です。」
「あの後、いろいろありまして…。」
「それよりも!!」
「皆さんは、なぜ、こちらに??」
「観光でなければ、誰かを蘇えらせるために来られたのでは?」
タイムループの事を内緒にしておきたかった私は、何かと詮索される前に、話題を変えてみました。
すると、カナさん(修復士)が、
「その様子からして、琴晴たちも同じ目的のようだな。」
「……、実は、ミサの家族が亡くなっていてね…。」
「世界がこうなってしまった初日に、中華街で飲食店を経営していた両親と、お手伝いしていたお姉さんが、エネミーどもの犠牲になっちまって……。」
「遊びに行ってたミサは、結界が張られた建物に友人らと避難できて、命を落とさずに済んだんだけど…。」
そう語りながら、険しい顔つきになったのです。
更には、ミサさんが暗い表情になりました。
重たくなりかけた空気を、
「でも、まぁ、〝清水寺で死者を生き返らせられる〟っていう情報を得たから、訪れてみたんだ。」
「僕と、ヒデ君で、車の運転を交代しながらね。」
マサさん(罠師)が、一掃します。
しかし、私は、残念なお知らせを告げねばなりません。
〝一人を復活させるのに500万円かかる〟のと、〝特殊依頼はバトルになる〟といった、これらの件を……。
「そんな大金、払えないよ。」
ミサさんが愕然としています。
カナさんは、
「それに、もう一つの“特殊”の方は、内容からして、“ヒデっち”以外は役に立たなさそうだな。」
「うちらの面子じゃ。」
眉間にシワを寄せました。
「君達は、三人とも参加するのか?」
訊ねてきたヒデさんに、
「いえ、私と妹は、ちょっと無理そうなので、諦めます。」
「ただ、従兄妹のカズ…、壱紀くんが出場する予定ではありますが……。」
そのように答えたのです。
続いてマサさんが、
「ちなみに、蘇生させたい人数は??」
との質問をしてきたので、
「一人だけです。」
と、伝えました。
「ふむ…。」
「君らと協力し合ってチームを1つ結成したとしても、メンバーは、俺と、彼の、2人だけか……。」
「どうにかして、あと3人、集められればいいんだが…。」
ヒデさんが考え込みます。
この案に、〝ハッ!〟とした私は、
「もしかしたら問題が解決するかもしれないので、ちょっと待っててください。」
ジーンズの左ポケットからスマホを取り出して、電話することにしたのです。
“加勢”を、お願いすべく……。
20分程が過ぎた頃に、
「あ――ッ!!」
「君たちは!」
「…、なんて名前だったっけ?」
「いや、確か、まだ伺っていませんでしたよ。」
「ん?!」
「そうだったかな??」
といった喋り声が聞こえてきたのです。
「あの人たち?」
「琴晴りんが呼んだのは……。」
尋ねてきたミサさんに、
「いえ、違います。」
私は、首を横に振りました。
こちらに向かって歩いてきているのは、私や琴音にとっての“招かれざる客”であります。
そう…。
【勇者】ことアケミさんの、“アニメ繋がりグループ”です―。