111.再会①
壱紀くんが、
「参加者同士で殺し合わせるんですか?」
眉をひそめます。
「いや、そういう事は、やらせへんから、安心して大丈夫やよ。」
「武器は、こちらで用意しとる“木製品”を使おうてもらうし…、私物の防具を装備するんはOKやから。」
「ただし、“盾”は認められとらん。」
「殆どのジョブが所持しておらんので、不公平になってしまうからな。」
「あと、スキルと魔法も禁止されとる。」
「職種によって差異がありすぎるんで。」
「例えば……、“神官”や“巫女”がおるチームは、目を眩ませたり、ステータスを倍増できて、有利になるけど、これらのジョブがおらんところは不利そやしな。」
「…、ま、そないな感じや。」
〝ふむ〟と頷いた壱紀くんが、少し考えて、
「絶対に五人一組じゃないと、出場できないんですか??」
新たに質問しました。
それに対して、
「ん~、……、別に、1人でも構へんけど…、同時に5人を相手することになるよ?」
「予選は。」
オシャレ坊主さんが答えます。
私は意味が分からず、
「んん??」
首を傾げました。
一方、壱紀くんは、
「つまり、団体による勝ち抜き戦ではなく、〝組織でのバトル〟という事ですね。」
確実に理解した模様です。
「うん、そういうこと。」
「ただし、決勝戦だけは、“1対1”で闘こおてもらう。」
「“先鋒、次鋒、中堅、副将、大将”と、順番に。」
男性の説明を受けて、
「あ! ああー、……、成程です。」
ようやくイメージできた私でした…。
私たちは、受け付けから離れた場所で、相談する事にしました。
「どうしようか?」
「私は、“魔女”になって、物理での攻撃力や、防御力が、低くなっているから、間違いなく足手まといになるでしょう…。」
「スキルや魔法が禁止されているとなると、小学生の琴音に戦わせるのは、流石に抵抗があるしなぁ……、姉としても、人としても。」
「それに…、試合の内容からして、カズくんだけ参加させるにはいかいなし……。」
これといった案が浮かばず、三人が沈黙に包まれていったところに、
「やっぱりそうじゃん!!」
「おーい! 琴晴りーん!!」
との声が聞こえてきたのです。
(ん?!)
(誰だろう??)
そちらに視線を送った私の目に映ったのは、横浜で出会った方々でした。
【錬金術師】である茶髪ショートヘアーのギャルこと“ミサ”さんが、高々と上げた右手を〝ブンブン〟振っておられます。
この周囲には、【修復士】で金髪ロングストレートの“カナ”さん/【盗賊】であるバーバースタイルの“ヒデ”さん/【罠師】でマッシュ―ブロックの“マサ”さんが、見受けられました―。