106.壱紀くんの初陣
私たちは、名古屋城の[表二之門]に転移しました。
ちなみに、本日の、私のコーデは、黒のジーンズ/白の長袖ワイシャツ/ライトブラウンのニットベストセーター/赤ぶちメガネです。
琴音は、紺色のサロペット/黄色の長袖セーターを着用しています。
壱紀くんの服装は、デニムジーンズ/カーキ色で薄手のマウンテンパーカー/キャメル色のキャップ帽です。
足元は、それぞれに、スニーカーであります。
興味ないかもしれませんが……。
「そうだ!」
「カズくんに、いろいろ渡しとくね。」
〝フ〟と思い出した私は、体力と魔力の回復ポーションに、解毒剤を、幾らか、壱紀くんの[アイテムBOX]に送りました。
「じゃ、名古屋駅に行こうか。」
促す私に、
「しゅっぱぁ―つ!!」
妹が陽気に答えます。
壱紀くんは、初めてのバトルになるからか、いささか不安そうです。
一応、【戦士】のスキルや、新たなステージの人外らについては、昨日、伝えておきました。
他にも、妹が扱える【閃光】や【恩恵】などの詳細も教えておいたので、きっと大丈夫でしょう。
相手が“ボスキャラ”でない限り。
あとは、もう、〝実践あるのみ〟です!
“LV.1”の私も含めて。
なにはともあれ、[西之丸]から[正門]を通過した私達は、駅を目指しています。
7~8分ぐらいが経った頃に、名古屋駅の東口に設けられている“ロータリー”の近くに着きました。
前もって調べていたところによれば、[桜通口]との名称だそうですが…、出歩いている人は殆どおりません。
“セカンドステージ”のエネミーたちは4時間ごとに現れる事を、誰もが理解しており、結界が張られている建物や車に籠っているのでしょう。
ただ、駅員さんであったり、バスやタクシーの運転手さんが、数人ずつ待機していました。
なかには、一般の方々もチラホラ見受けられます。
各自、何かしらの武器を持っていらっしゃるので、“戦闘職”や“ユニーク職”なのでしょう。
ちなみに、私達三人の位置は、ロータリーの北側です。
「装備をチェンジしとこうか。」
私の指示によって、全員が“戦闘モード”になります。
壱紀くんは、木製で長さが1Mくらいの柄に、片刃の、“斧”を、背負っていました。
「あれ?」
「大剣じゃなくなってる??」
私の疑問に、
「ん?」
「ああ、“バトルアックス”にしたんだけど……、勝手に変更しちゃダメだったかな?」
壱紀くんが聞き返してきたので、
「いや、全然OKだよ。」
「自分が使いやすいのが一番だしね。」
〝うん うん〟と頷いたのでした。
AM08:00となり、あちらこちらに、いろんな人外が出現しました。
私たちは、とあるビルに背中を向けて、構えます。
レベルが最も低い私が最後尾です。
割と近くに登場したエネミーらが、こちらに気付き、近づいてきます。
顔ぶれは、天使×10/仏×10/ハーピー×4/アルミラージ×4/鴉天狗×4/わいら×2/おとろし×2です。
敵の半分ほどが、餌である私たちを巡って争いだしました。
この間に、我ら三人衆に襲い掛かろうとしていた面子に対して、
「せん光!!」
と、発し、視界を奪った琴音が、
「おんけい!」
[攻撃力・防御力・素早さ]を倍増してくれたのです。
「デストロイ!!」
壱紀くんが、自身の眼前にいる“わいら(緑色の牛みたいな妖怪)”の頭を、真上から〝ズブシャッ!〟と斬り付けます。
「ライト・ボール!!」
妹は、直径23㎝の【光の玉】を、ハーピー(鳥人間)に放ちました。
「エクスプロージョン・ボール!」
私が杖の先から発射した直径11㎝の[オレンジ色の球体]が、“おとろし(青色の獅子舞みたいな妖怪)”の右頬に当たり、〝ボンッ!!〟と爆発したものの、ほぼノーダメージの模様です。
(ま、LV.1だと、こんなもんよね。)
(予想はしてたけど…。)
(とにかく、死なないようにだけ注意しとこうかな、まずは。)
集中力を高めていく私でした―。