10.地元でのバトル③
私に迫る10数の敵が、眩しい光に視界を奪われ、動きを止めました。
あとは、この機に、やっつけるだけです。
しかし!
紫色のドーベルマンが、両目を瞑ったまま、私の腹部に、
ズド―ンッ!!
と、頭突きしてきたではありませんか。
「ぐふッ?!」
後ろにヨロめいたところ、イタチが飛び掛かりながら、私の胸を鎌で刺そうとしてきます。
「ひゃッ!!」
咄嗟に振るった薙刀の柄が、相手の左脇腹に〝ドンッ!〟と当たって、私は事なきを得たのです。
(どっちも見えていない筈なのに、なんで??)
首を傾げつつ観察してみたら、犬も鼬も鼻孔を〝スンスン〟していました。
(!)
(匂いを嗅ぎ分けているってこと?)
(なるほど…、獣系なだけに鼻が利く訳ね。)
そう納得してみたところで対応策はございません。
私に出来るのは、武器のリーチを活かして間合いを詰めさせずに仕留めることぐらいです。
上手くいく保証は無いものの、まずは、眼前のドーベルマンめがけて、薙刀を突き出します。
額を狙ったのですが躱されてしまいました。
それでも、右の耳あたりを〝ズブシュッ!〟と斬った模様です。
次は外すまいと改めて構える私の左側から鎌鼬が襲ってきます。
素早く武器を横に払ったところ、運良く妖怪変化の首を刎ねることに成功しました。
切断された部分から血しぶきを上げたエネミーが、粒子となって消滅し、アイテムがドロップされます。
(よし!)
(この調子で!)
やる気充分な私の右腕(側面)に、〝ズキンッ!〟と痛みが走ったではありませんか。
(えッ?!)
そちらに視線を送ってみたら、エンジェルガールが、刺したレイピアを抜いているところでした。
どうやら【閃光】のタイムリミットを迎えていたようです。
「ぬぅ~ッ!」
ダメージに奥歯を噛み締めた私は、再び、
「閃光!」
と唱えます。
更には、「回復!」からのぉ、「恩恵!」を掛け直しました。
(取り敢えず、この犬から対処しておかねばなられば。)
そう判断した私が一歩踏み込んで、薙刀を振り下ろすも、動物的本能みたいな感じで避けられてしまったのです。
アスファルトの道路を〝ガツンッ!〟と打ち付けてしまった所為で、私の両手が軽く痺れます。
そこへ、私の右斜め前からドーベルマンがダッシュしてきました。
「ふにゃあッ!!」
〝返す刀〟のイメージで、薙刀を上へと払ったところ、敵の顎を、
スパシュッ!
と、斬ったのです。
攻撃をストップして〝ダラダラ〟と流血している犬の額を、今度こそ突いた事によって、こちらも跡形なく消えたのでした。
そこからの私は、残り8数を、
「うりゃりゃりゃりゃぁあッ!!」
シュバババババァンッ!!
と倒したのです。
表現が拙くて、ごめんなさい。
ただメチャクチャに武器を振り回しているにすぎないので。
それこそ子供のチャンバラのように。
30分ほど前まで普通のJKだった女の子はこんなもんですよ。
私がもう少し戦闘に慣れてくれば違ってくるのでしょうが…。
ともかく、仲間が殺られたことに気付いた連中が、こっち近づいて来るのでした―。