表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.1~No.100】

小さな太陽 【月夜譚No.17】

作者: 夏月七葉

 傘から滴り落ちる雨粒を、ただぼんやりと眺めていた。その内に信号機が急かすように童謡を響かせるので、少女は雨靴を履いた足を白い線の上に乗せる。

 雨は嫌いだ。出かける度に傘を差さなければならないし、気をつけて歩かなければ水溜りに足を取られて泥水を跳ね、気に入りの服を汚してしまう。好きな服は雨の日に着なければ良いと家族は言うが、着たい日に着たい服を着たいのだ。

 少女は水玉のスカートを濡らしてしまわないように気をつけながら横断歩道を渡り切り、右に曲がった。降り続く雨の中、歩を進める毎に胸が弾むような嬉しさがこみ上げる。傘の柄を両手でぎゅっと握り込み、大通りに面したビルの角で立ち止まると、窺うようにそっと角の向こう側を覗き込んだ。

「あ、おはよう」

 バス停で待つ詰襟の少年が、少女に気づいて手を挙げる。

 雨は嫌いだ。だが、実は好きでもあるのだ。

 少女はお日様のような笑顔を浮かべて、赤いランドセルを上下させた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 雨の日にお日様のような笑顔を見せるのはいいと思いました。 その場面を想像すると、あ~いいなーと感じてしまいます。
[一言]  小さな少女の、恋の一幕……。  そんなあらすじが、頭に浮かびました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ