働き台風2 声2
まだ、起きるには早かった。
アラームは8時にセットしてあり、パジャマがびしょぬれになっている。
僕の思惑とは別のところで、汗がでている。
何かが僕に汗を流させている。
何かが。
ドラモンガシンダ
があらわれて、きえる。
???
……お化け?
おどかしが目的だったとしたら、大成功だ。
あいかわらず「ドラモンガシンダ」でしかなかったが、僕は衝撃を受けた。
「ドラモンガシンダ」があらわれた理由について、意識した。
「シンダ」とは「死んだ」のことだろうか、と考える。
この衝撃は、友人の訃報をしらされたときの感情だろうか。
「ドラモン」という名前におぼえはない。
しらない友人の訃報に胸を痛める、というのはいかにも現実とは無関係な夢のようだった。
竜のことかもしれない、と頭のなかの賢者見習いが思う。
22世紀のネコ型ロボット
インドの司祭階級
デジタルモンスターズのキャラ
いずれにしても、ゆめかうつつか、ドラモンは僕の友人だった。
そして、ドラモンはコウ2地区でしんだ。
コウ2地区とはどこなのか、考える。
名前から漠然と連想するのは、中東、南米、未来、ファンタジーの世界……
パジャマにしみた汗の冷たさが気にならなくなるまで多少の間、コウ2地区のなぜか荒涼とした市街地や、どこまでも並行にのびている道路のようなものを、ぼんやり想像していた。
それから起きて、Tシャツに着替えた。
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兄がでてこれないよう押入れの襖につっかえ棒をする妹