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コウ2地区通信 Afternoon Wine like Tea(KAWT) 11

 前回までのあらすじ。

 本編「働き台風、桜散る夜」の作者の娘であり、美人で頭がよく性格もいいという桃和は、なぜか就活()()中。土日の気まぐれで始まったサイドストーリー『コウ2地区通信 Afternoon Wine like Tea』で、本編の最初の名前付き登場人物でありながらとても残念な設定の加賀谷君をキャラ立ちさせて、宝具・爪楊枝を擬人化した男装美少女英霊イツマとともに、就活対策を考える。人事部勤務の阿寸先輩の指導も加わって、履歴書の氏名をインパクトのあるものに変えるという大胆不敵な作戦を実行し、英霊イツマの必殺技ウブゲカリバーの力を借りて、()()()()就活に乗りだすも、本編のタイトルを侵食するという不思議な騒ぎになり――

 さらに話は、二転三転……ウブゲカリバーの真の力が霊魂の霊名を改名して前世のしがらみから救うことであったり、このサイドストーリーのKAWT異世界が本編で用済みになったキャラの墓場だということが、明らかとなる。そして、底辺おっさんが双子のエルフに改名したと思ったら、本編から押しつけられ……いや、送られてきた新たな底辺おっさんがでてきて――

 創造主令嬢にして鬼退治の桃和姫、宝具を擬人化した男装美少女英霊イツマ、人事部勤務の就活コーチ阿寸先輩、次の悪役令嬢役にさせられた双子エルフのエルとエフ、山田屋の店長兼この異世界の新人底辺おっさん。この6人が織りなす、改名サロンの着地不明な無軌道小話。でござい。

(おれは数に入らないのか。ところで、このナレ、誰?)


桃和「あなた、どうせ底辺おっさんなんだから、改名して、わたしの祖父にならない? 『桃和の母方の祖父』って言葉を心で深くイメージしてみて」


山田屋店長「心で深くイメージって、どんなふうに? とにかく、そんな怪しい改名なんてやだね」


桃和「はい、そこの双子エルフ!」


エル・エフ「ひっ!?」


桃和「悪役令嬢の出番よ。あなたの意見はきいてないわ、というの」


エル「……あなたの……いけんは……」

エフ「きいて……な、な……ない……」


桃和「もっとしっかり」


エル・エフ「いやだ~~だってもし改名してゴジラになったら、どうするの? わたしたち、最初にたべられちゃう~~~」


阿寸「ゴジラって、ひと……エルフをを食べたっけ?」(つっこみポイントはそこなのか)


桃和「まあ、いいわ。悪役令嬢役はおいおいにね。ところで、あなた、念のためにきくけど、ゴジラは好きなの」


山田屋店長「好きもなにも、しっているだけだろ、普通」


桃和「そう、ならよかった。で、わたしの祖父になってくれるの、どうなの」


山田屋店長「急にそんなことをいわれても、あんたの祖父がどういうひとかもしらないし、決められねえよ」


桃和「わたしの母方の祖父はね、ひとことでいって、最低の人間よ。たしかに祖母が結婚するまでうつ病のことを祖父にいわなかったというのは、祖母が悪い。騙されたと祖父が感じるのもわかる。けれど、それなら、騙されたと思った時点で離婚すべきだった。母もまだ生まれていなかったんだし。結局、祖父は離婚せず、祖母に負い目を感じさせることによって自分が優位に立てる家庭環境を選んだ。祖父は、祖母の病気のことをしろうとせず、寄り添おうともせず、自分は妻に騙された被害者だという意識のなかに逃げこんで、好き勝手やっていたわけ。祖父が祖母に暴力をふるい、それと同じような暴力を祖母が娘の母にふるう。もし、わたしの父が母を()()したように、祖父が祖母と寄り添っていれば、祖母は断薬できていたかもしれない。父はそういっている。母はね、ずっと祖母を憎んでいたの。実際、母にたいして暴力をふるっていたのは祖母だし、うちの家庭が普通じゃないのは祖母がうつ病のせい、と祖父から洗脳のようにいいきかされていたから。薬がきれると祖母は発狂したようになるし、食事もまともに作れないし、コンビニ弁当ばかりだし、子どもの母が祖母に問題があると思うのは当然よ。ただし、それはあくまでも表面上のレッテル。本当の問題は、病気の祖母に家庭問題の原因を押しつけていた祖父にある。きっと、祖父にも言い分があるとは思う。自分は騙されて結婚したのに、離婚をせず、うつ病の妻の症状を受け入れながら仕事をして、なんとか家庭を守ってきた、とかね。でも祖父は、たしかに職人の仕事をしてはいたけれど、利益を生み出せず、実のところ先代の遺産を生活費に充てていた。おまけにタチの悪い不動産屋に騙されて投資で大損もしている。父は何度か、母と祖父の関係の回復を試みたけれど、祖父のほうがまったく反省の色なしで、家庭環境が劣悪だったことは認めるくせに、全部祖母のせいにして、自分には責任がないっていう態度だから、うまくいかなかった。だから、母は実家と絶縁して、わたしは母方の祖父母と会ったことがない」


山田屋店長「つまり、母方の祖父と会いたいから、その役をおれにしろってことか」


桃和「あんた、頭おかしいんじゃないの。今の話をきいて、どうしてそうなるのかまったくわからない。はっきりいうと、わたしは、祖父をぶち殺してやりたいのよ。女だから、余計にそう思うのかもしれない。祖母がうつ病のことを黙っていたのは、祖父と結婚したかったから。たしかに、黙っていたのは悪いこと。でもそれがそんなに重要で許せないなら、離婚すべきだった。祖母に負い目を感じさせて家族をつづけるなんて……しかも、家庭環境が悪いのはお前の病気のせいだと思わせつづけるなんて、最低サイアク! 本当なら、祖母の病気と向き合って、祖母が病気じゃない、薬にやられているだけなんだって可能性をみつけてほしかった。父がその可能性を祖父に指摘したとき、認めて、反省してほしかった。――祖父は、それをしなかった。カタチばかりの仕事をして、先代の遺産を食いつぶし、家庭を顧みず、自分は被害者だと正当化して、好き勝手なことをしていた。だから、わたしは、祖父をぶち殺してやりたい。そういう意味では、祖父に会いたいわ。どう? なってくれるの、か・し・ら?」


阿寸「そんな話をきいて、なるわけないだろ」


山田屋店長「ああ、おれがいいたかったこと……!」


 はたして、この新人底辺おっさんは、桃和の母方の祖父に改名するのか、いかに!?(謎のナレーション……)




【タイトル浸食履歴】

働き台風、桜散る夜

新型悪役令嬢! 悪役先輩と創造主令嬢と男装美少女英霊による近未来就活サイドストーリー

底辺おっさんの転生先はキャラの墓場スローライフ。そこは悪役令嬢と男装美少女英霊の改名サロンだった

改名サロンのお茶のようなワイン会。鬼退治姫、男装美少女英霊、就活コーチ先輩、新悪役令嬢エルフ、新人底辺おっさん、の無軌道小話

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