コウ2地区通信 Afternoon Wine like Tea(KAWT) 10
山田屋の店長「……どうもー、少々シリアスなところに恐縮ですが、いつまでも隠れているのはどうかと思いまして」
桃和・阿寸・イツマ・エル・エフ「………」
桃和「……誰?」
山田屋の店長「わたくし、本編の主人公の同僚である長岡君が学生時代にアルバイトをしていた山田屋の店長でして。決して本編でランチの場所になったほうの山田屋ではありませんので、そこはお間違えないように」
阿寸「今、ざっと本編を確認して理解しました。あなたは、ランチのときに長岡君の話のなかにでてきた店長ですね?」
山田屋の店長「はい、本社の管理職用サイトにアクセスして、つゆを作ったほうの店長です」
桃和「ねえ、阿寸先輩。わたし、正直いってここの設定がよくわからないんだけれど」(おれもしらんぞ。ここは桃和の世界だ)「本編で登場人物の会話のなかにでてきたキャラも、こっちで面倒みなきゃいけないわけ?」
阿寸「ぼくにきかれても、といいたいところだが、どうやらそのようだね」
桃和「長岡なんて、脇役キャラじゃない。そんな脇役キャラのどうでもいい会話のなかにでてきたにすぎない、本編で実際に登場してもいない、いってみればザコキャラよ。キャラですらないわ。そんなものまで、こっちで何とかしなきゃいけないわけ?」
イツマ「マスター、皆にきこえています」
エル「なんだか胸の奥がちくっと痛い……なんでだろう……」
エフ「とくにザコキャラって言葉をきいたとき、身体じゅうがざわざわする感じ」(前世の記憶が遺伝子レベルで残っているんだな、きっと)
山田屋の店長「……そんなこといわれても、おれも、どうしてここにいるのか、わかんねえんだよ」
阿寸「ん?」
山田屋の店長「とにかくさ、もう店長じゃないんだろ。だったら、言葉遣いとか、気にしなくていいよな? もともと向いてなかったんだし、ただずるずる働いていて、ちょうどいい辞めるきっかけになったよ」
阿寸「みたところ、それほど年はいってないようだが、バイトから社員になって、そのまま店長になったとか?」
山田屋の店長「ご名答。高卒で山田屋にバイトで入って、今はアラサーってやつだ。我ながら、よくつづいたもんだよ。ずっと辞めたくてしょうがなかったのに、なぜか毎日、それなりに仕事をしちまうんだよな。ま、生活のこともあったからだけどさ――で、ここは、新しい仕事を紹介してくれるのか?」
桃和「ハローワークじゃないの。そんな仕事があったら、わたしが応募したいくらい」
阿寸「ここは、本編で用済みになったキャラの墓場だ。ただし、改名して本編へ戻るという方法もないわけではない」
イツマ「阿寸殿」
阿寸「補足すると、改名できるかどうかは、君次第だ」
山田屋の店長「おれ次第ね。仕事でもよくいわれたよ。嫌な言葉だ。ちなみにきくけど、改名してこのキャラの墓場とやらから本編に戻ったやつはいるのか」
阿寸「戻ったひとはいないが、改名したひとはいる」
エル「……わたし」
エフ「……わたしも」
山田屋の店長「このおちびちゃんたちは、本編でどんな役をしていたんだい」
桃和「底辺おっさんよ」
山田屋の店長「……ははは! じゃあ、おれと同じか」
桃和「改名、したいの?」
山田屋の店長「何になるか、選べるのか」
桃和「細かい理屈は省くけど、むりね。あなたが自分の深層心理をコントロールできないかぎり、むり。そして、自分の深層心理をコントロールできるひとなんて、いない」
山田屋の店長「なら、改名はしたくねえな。何になるかわからないものを、やりたがるやつがいるか?」
桃和「それも、そうよね。――ふふふ、あなたは改名したくないのね……」(おい、大丈夫か。薄笑いをうかべているぞ)
阿寸「桃和さん、まさか――」
イツマ「マスター、待ってください」
阿寸「桃和さん、もう少し彼のことをしってからにしたほうがいい。ひとの深層心理には何があるかわからない」
エル「なんだか危険な予感がする」
エフ「クピピクペクルポー」
イツマ「改名して、ゴジラとかでてこないかなー、とエフがいっています」(だから、どうしてイツマはガッちゃん語を翻訳できるんだ? 英霊ってことで何でもできそうではあるが!)




