表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/83

働き台風1 眼1

 ケイタイの着信音で、眼をさます。


 シンプルな着信音で、鳴りつづければ電話だとわかる。

 ワンコールできれた。

 メールだと思う。

 寝ぼけたまま、おととい取り付けたばかりの遮光カーテンへ眼を向けた。

 

 まだ夜は明けていない。

 

 それにしては、部屋のなかが、ぼんやり明るい。

 東京で暮らしていた部屋とちがい、窓がふたつあるから、と気づく。


 トウキョウ?

 

 ……そう、僕はたしかに住んでいた。

 合っている。

 寝ぼけているよう……


 ベランダがある南向きのカーテンを遮光にした。

 東向きに、遮光ではないロールスクリーンを取り付けた。

 外の明かりが、間接照明のようになって、生活の準備が整っているとはいえない部屋ミマンの場所を、うっすら照らしている。

 この七畳ほどの実験空間テスト・スペースに、積み上げられたダンボール箱と、かろうじて、ベッド、カラの棚、ミニコンポ、それにテーブルとテレビだけがある。


 東向きに窓のある部屋が棲家になったのは、初めてだった。

 遮光にしなかったのは、時計のアラームでなく、自然な日ざしで眼をさます可能性を残しておきたかったから。

 街燈の陰影が入りこんだ、うす暗い室内を、しばらくながめた。

 夜明け前の陰影が、なつかしかった。

 

 頬に触れる空気のせいか、引っ越してきたばかりのせいか、部屋のようすはどこか冷ややかにみえた。その感じは、なぜか長いあいだ慣れ親しんだもののようでもあった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓ランキングに参加中です。
押していただければ幸いです。

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ