突然ッ! 勇者覚醒ッ!!
♪てーてってー♪
やがて【伝説の勇者】たちは国をいくつか越え、半年ほどかけて大陸の一番端の大国にたどり着こうとしていたッ!!
ついに……長い旅の折り返し地点であるッ!!
「えぇと……いろんな国を回ったよね。
【オトナチンチン】、【パイオツカイデー】、【DTソツギョー】、【ソツギョー2nd】、【フーゾクデビュー】……」
巡った国を指折りながら数える【伝説の勇者】イブセマスミ……もはやそこにテレはない。 完全になくなっていたッ!!
それは【セクハラを撲滅するにはセクハラをセクハラと思わない鋼の心を持つこと】という超次元理論ッ!!
痴語を口にするレベルでは全く動じなくなったその後姿を感慨深そうに眺める王女フローラル、姫騎士クッコロ、純愛ビッチ(突然の【幕間】でプロットと変わったッ!)の三人ッ!!
【伝説の勇者】は続けるッ!!
「えぇと、それから……【治療チンチン】、【朝ひげドワーフ娘】、【朝立ち男の娘】、【治療チンチン2nd】、【本妻激おこ切断丸】、【治療チンチンファイナルエリクサー】……でええいい!!
初代勇者は何考えてんだああああああ!!!」
指折り計算法が折り返しを越え、再出発しようとしたときに……当代の【伝説の勇者】は爆発していたッ!!
「旅の道すがらに国の名前を旅の日記帳にしてんじゃねえよ!!
そしてはづかしー記録は隠せ! 公表すんな!!
できればわたしの記憶からも消え去ってくれええええ!!!!」
絶叫する当代の【伝説の勇者】だった………そして当代勇者イブセマスミは振り返って純愛ビッチをにらみつけるッ!!
「てゆーかビッチ姉さん!!
亭主のだらしないシモの管理ぐらい、きっちりやっといて欲しかったっすよ!!
おかげで三〇〇年後のわたしに妙なダメージが来てるからああ!」
「あ、あらあらー、ごめんなさいねー。
だって……しょうがなかったんですよ。
私、二号さんだったし……本妻さんと二人がかりでも敵わなかったから。
体がもたなくって……まあ巡回ルートには入ってたからいいかなって」
「巡回ルート……エロネットサーフィンじゃねーんすから!!
初代はどんだけ性豪!? ……ていうかそんな生々しい話はノーサンキューっす!!」
ぺちん。
自分のおでこを叩きながら頭を抱える当代勇者……その目の前で、照れたように頬を染める【純愛ビッチ】改め【ジャンキービッチ】(プロットにほぼ戻ったッ)!!
その一行の目の前には城塞都市……この大陸の一番端にある大国の首都にたどり着こうとしていたッ!!
先刻の勇者たちの言葉通り……一行は、各国首脳と【伝説の勇者軍】結成のための約束を取り付けながら旅をしていたッ!!
実際それは順調に進み、今いる国で【伝説の勇者軍】を立ち上げ、そして来たルートを逆に進んでそれぞれの地の軍と合流し、スタート地点の【オトナチンチン】国にて【魔王軍】と決戦を挑む予定であったッ!!
「いよいよですわ、【伝説の勇者】さま……」
ふいに王女フローラルが勇者イブセマスミに声をかけるッ!!
「………そうだった。
わたしのこの忌々しい旅も……ここで終わるんだよね……」
「(いえ、まだ半分なんですが……)」
フローラルの内心の突っ込みの後、そういって【伝説の勇者】は顔を上げたッ!!
その顔には静かな達成感と……なぜか、強い疲労感があったッ!!
その顔が、ふいに少し傾いた。
「そう言えば……この国の名前、なんだったっけ?」
「あ、そういえば……まだ説明していなかったな。
えぇと、地図地図………」
まったくもって影の薄い姫騎士……ていうか、ただのマッパーに成り下がってしまった姫騎士クッコロが、カバンの中から地図を取り出してから、地図に目線を落として応えるッ!!
「えぇと……この町の名は……【勇者覚醒】です」
「えっ! 初代はなんでこのタイミングで覚醒!?
ていうか初代……ここまで【勇者】じゃなかったの!?」
当代勇者が、信じられないという表情で……マッパークッコロに視線を突き刺していたッ!!
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古来より、【勇者】になる条件は解明されていないッ!!
ではあるが……一つだけ解っていることはあるッ!!
【女勇者】になる条件の一つは……当然ではあるが、【チンコ】がないことであるッ!!