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Gift~神からの贈り物~  作者: 縫月
5/25

level.2 その1

セルフィを出発してから2日

比較的弱い魔物と戦いながら実戦での力を身に付けていく

やはりゲームとは違うようだ


ゲーム時代と変わってなければこの先に滝があったな

ゼロスがライラに尋ねる


はい ミルドレアの滝があります


ではそこで休憩しよう

ゼロスはマスターとして仲間想いな一面も見せる

一体本当の彼はどんな人間なのだろうとロイは思った


一向がミルドレアの滝に到着すると

レムが祝福により皆の傷を癒してくれた


おぉこいつはすげぇ嬢ちゃんありがとよぉ


カッカッカッ驚きだな


やはりアルバトロスのメンバーにとっては

初めての経験だった


ゼロスもやはり素晴らしいギフトだと称賛している

そしてこの先恐らく厳しい戦いになってくるだろうと

ボスクラスの魔物が現れた場合を想定し戦略を練っておくため

ライラとバロンのギフトを教えておくのだという


ライラのギフトは【先見】少し先の未来を見通せるという

バロンのギフトは【鉄壁】打撃 斬撃において最強の防御力を

誇るという故にゲーム時代はガードナーとしてチームの柱だったようだ


僕はそんなバロンさんに憧れてアルバトロスに加入したんですと

エンジが言うとバロンは少し照れた顔をしていた


我々と同じように女神解放のため行動しているチームも

いるだろう

だからこそ我らの力をこの世界で示すために一番に攻略する!

ゼロスは何かしら強い意思を秘めているように感じた


その頃ゼロスが言うように既に行動しているチームがいた

ゲーム時代ハイエナと悪評だった『漆虎』(うるとら)に

少数精鋭チーム『三銃士』など名の知れたチームが我先にと

女神解放に躍起になっていたのだった


時にはチーム同士が激突し死者の数もここ数日で増えていく

もちろん戦う事をせず静かに暮らす者

今はただ身を潜め静観する者など

様々な想いが交錯する中 世界はうねり始めていた


それから3日後の夕暮れ時ラーマの泉に辿り着いたロイ達を

待ち受けていたのは凄惨な光景だった

泉はクリスタル化しその表面にはおびただしい量の血が…


うえぇぇ…エンジが吐き イヤーとレムが泣き叫ぶ

辺りを見渡すといくつもの死体が転がっていた


ゼロスが落ち着けと2人をなだめる

間違いなく高レベルの魔物がいると悟ったロイは

レムとエンジをここで待機させるよう提案したがゼロスはそれを却下

戦力が欠けては勝機は薄れると判断した


この戦いの要となるのはライラとバロンとレムだ

私が先陣を斬る臆するなとゼロス


俺が…俺が皆を死なせない‼ロイは心の中で決意した

クリスタル化した泉を中心まで歩いていくと傷だらけでたった1人

巨大な魔物と対峙する青年がいた

魔物が青年に語り掛けている


妾はウンディーネ アイシス様に仕えし者

アイシス様の力をもって穢れし命を浄化する


はぁはぁ…僕もここで終わりか…

ごめんよ…みんなの仇取れそうにないや


さぁ浄化せよ

ウンディーネが大きな水の玉を青年に向かって放出する


その時バロンが青年の前に飛び出しそれをガードした

大丈夫かぁ?


死を受け入れていた青年は突然の出来事に戸惑いながらも

大丈夫と答えた


その瞬間ゼロスの号令によりカナタがウンディーネに斬りかかる

続けざまにロイ ウルモが連携しダメージを与え

怯むウンディーネを見てゼロスがすかさず大剣を振りかざし腕を斬り落とした


油断しないで!攻撃くるわ

後退してとライラが指示を出す


しかし青年は憔悴しきっていて動けない

堪らずバロンが再び青年の前に立つ


そこにウンディーネが水の刃を飛ばしてきた

ぐはぁー…バロンの鉄壁も魔法の前では効果を成さない

先程の魔法もダメージを負っていた

その場で膝を付くバロン

バロンさーんとエンジが震えた声で叫ぶ


そこに勇気を振り絞って駆け寄るレムが慌てて回復を施した

すると青年がまだ仲間の元へはいけないようだねと笑った


ありがとうございます皆さん!

僕の名前はカズ『紅蓮』のリーダーでした

ギフトはありませんが僕も使ってください!


良かろう!ライラ奴はどう動く?

ゼロスは再びウンディーネに向かって駆け出す


最後の力を振り絞って強大な魔法を放つつもりです

叩くのは今しかありません!


その言葉にゼロスは一斉攻撃を命じた

激しく繰り出される斬撃にウンディーネも動きを弱めていく

エンジも必死で攻撃に加わっている


アイツも男になってきやがったなぁ

嬢ちゃんも回復ありがとなぁ


いえ私にはこれくらいしかできないから

レムなりに皆を助けたいと精一杯頑張っているのを

バロンは理解していた


そしていよいよウンディーネが倒れると誰もが思ったとき

ライラだけに見える不運

逃げてーーーーー!!!


妾は…アイシス様の…

穢れし者を…浄化する…


ウンディーネの体内で高まるマナ

その刹那バロンがウンディーネの正面に立ち塞がる


やめてーーーーー!!!とレムが泣き叫んでいた


すまねぇ旦那俺はここでゲームオーバーってやつだ

エンジよぉ最後にお前さんの立派な姿見れてよかったぜぇ


するとエンジも隣りに立ち塞がった


バロンさんは僕の憧れなんだ

1人でいい格好させないですと涙ながらに言う


馬鹿野郎がぁ

(もう一度…嫁と子供に会いたかったなぁ)


ダメ…2人とも死なないで

カナタも止めようとするが


もう間に合わないとライラ…


バロンは鉄壁の力を最大限に発動し身構えた


ゼロスはバロンの背を見ながら静かに俯いた



次の瞬間大爆発が起こり辺り一面に衝撃が走る

皆は爆風により吹っ飛ばされ気を失ってしまった


それからしばらくして目を覚ますと

そこにバロンとエンジの姿はなかった…


あああぁーーーーー!!と声をあげるロイ

見事な最後だった友よと悲しみを見せるゼロス

他の一同もその場でうなだれる


あの瞬間バロンの鉄壁は魔法をも防いだ

そのお陰で皆生きてるのだとライラは涙ながら言った


ウルモも黙々と涙を流している


これが彼らにとって最初の女神を巡る戦いであった

しかし残されたのは大きな悲しみだけ…

2人の尊い犠牲はこれからも生きていく彼らにとって

忘れられない痛みとなり心に刻まれたのだった

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