level.1 その1
グリンローグに来て数日が経った
まず行った事はゲーム時代に培った能力などが全て扱えるか
この世界はゲーム時代のままなのか
それらを把握することだった
ぶっちゃけると現実世界に未練などはなかった
20歳で定職にも就かずアルバイトで安アパートでの1人暮らし
勿論彼女などもおらずオンラインゲームに没頭する日々だった
そんなある日携帯にいつの間にか入っていたアプリ
それがこのグリンローグというオンラインゲームだった
初めはウイルスの類いかと思っていたが好奇心からINしたことが
全ての始まりだった
『セルフィ』と呼ばれる街を拠点に
6人1組のチームを作り様々なミッションをクリアーして
レアアイテム等を手に入れたり
この世界にはびこる謎を解き明かしていったりと
割りと普通なゲームで
職業などは存在しなかったが
『ギフト』と呼ばれる個性があってオリジナルスキルなんかがあった
魔法も人によって覚えたり覚えれなかったり
そんなこんなで楽しめていた
そんで現在に至ると
んで覚えていた魔法を使ってみようとしたが使えなかった
ただ『ギフト』はちゃんと残っていた
俺に与えられた『ギフト』の名はー…
ロイ!ロイなの?
突然誰かに名を呼ばれ振り向くとそこにはゲーム時代のチームメンバーの1人
レムがいた
レムもグリンローグに取り込まれてたのか
そう言うとレムは今にも泣きそうな顔でロイの胸に飛び込んできた
心細かったと言うレム
無理もない…いきなりのあの状況普通なら受け入れられない
レムは現実世界では15歳の女子高生で
チーム『ナイト·ウォーカー』の中では最年少だった
そんな彼女が持つギフトは【祝福】で
グリンローグでおそらく唯一の治癒能力者だと思われる
そう回復魔法は存在していなかったのだ
故に彼女は様々な人間に目をつけられ時には危ない目にもあっていた
そんな最高レアのギフトを持つレムがいたからこそ
ナイト·ウォーカーは一目置かれる存在だったのかもしれない
ねぇ私たちこれからどうすればいいの?
レムはロイに頼るしかない様子
俺はとりあえず今まで通りこの世界の謎を解いていこうと思う
するとレムも
私も一緒にお願いします!
断る理由もないロイは快く了承した
まずはメンバー探しだ
俺ら以外にもこの世界に引き込まれたメンバーがいるかもしれない
こうしてロイとレムの冒険は幕は開けたのであった
~フラウニーにて~
一方セルフィにほど近い小さな村フラウニーにナイト·ウォーカーの1人
シンクの姿があった
彼もまたメンバーを探しつつこの世界を知ろうとしていた
彼がまず気になったのは
NPの存在だった
ゲーム時代とは異なり意思を持って行動している事から
彼らも生きていると実感した
シンクが村を散策していると
1人の初老の女性が話し掛けてきた
『神託者』様…
どうかお力をお貸しくださいませ
弱々しい声でシンクに助けを求めてきたので
シンクは初老の女性に問いかけた
すみません『神託者』とは一体なんでしょう?
シンクは始めに気になったワードについて聞いてみた
『神託者』とは異世界よりこの世界を神に託された者だと
古より伝えられております
今この世界は崩壊へと進んでおります
どうか…
しかしどうしてオレが神託者だと分かる?
私たちグリンローグの民は『マナ』が見えるのです
マナ?
氣のようなモノって事です?
はい…
私たちのマナは緑であなた方
神託者は青いマナを放っているので見分ける事が出来るのです
なるほど…
神託者は千年に一度訪れるとも伝えられております
ここ100年ほどで急に魔物が凶暴化し
民は命を奪われてゆく一方…
神託者が現れたのも意味のあることだと思われます
魔物が凶暴化した原因に心当たりは?
恐らくですが女神様に何かあったのではないかと
私たちは考えております
女神?
(ゲーム時代にそんな設定はなかったはず)
この大陸テンダータは
火の女神クリュシナ様 水の女神アイシス様 土の女神ハトラ様の
守護の下で平和に保たれておりました
それが崩壊したとなると…
女神に何かあった そうなりますね
シンクは拳をグッと握り締め力強い声で言った
任せて下さい!
あ…ありがとうございます
初老の女性の目からぽたぽたと涙が滴る
肝心の女神様はどこにいるのでしょう?
一番近いのはここより南ゴブリンの森を越え
砂漠を越えた先にあるエルマの火山神殿そこにクリュシナ様が
眠ると聞いております
分かりました
こうしてシンクにこの世界での目的が出来たのだった
最後に初老の女性は大陸の地図をシンクに託しその場を後にしたのだった
この村では逢えなかったけど
きっとこの世界にみんないるはずだ
だから進む!
目指すはゴブリンの森
かつての仲間ナイト·ウォーカーのメンバーに
再会出来ると信じて