level.5 その3
館の中に入ってきたレオン達
ん?紅茶の香りがするのぅ
匂いに釣られ中庭にやってくると優雅に紅茶を嗜むゼロスがいた
紅茶は好きか?とゼロスが尋ねると
血のように紅い紅茶ならのぅと答えた
野蛮な男だ…
我も似たような者だがな
あんたがゼロスやな?
その首貰いに来てやったわ
貴様の目的はなんだ?
我々は今貴様らと遊んでやるほど暇ではないのだよ
噂通りの男じゃのぅ
しいて言えば目的のためじゃ
目的だと?
そうじゃ
お前のアルバトロスに天竜そしてナイト・ウォーカー最後に
王国を潰せばこの世界はワシの…紅炎の騎士団の物になる
下らぬ野望だなとゼロスは一蹴する
なんやと!?
せっかくこんな世界に来たのに己れを誇示せず
一ギルド長なんぞにおさまっててお前は満足なんか?
私は私なりの目的でこの世界に生きている
今なら見逃してやろう去れ
貴様の器の底が知れたわ…
この小僧がーーーーー!
怒りに身を任せレオンはゼロスに殴り掛かった
ゼロスは鮮やかにかわし剣を抜いた
忠告はしたぞレオン
我に剣を抜かせたからには命はないと思え
上等じゃ!!
その頃ライラは苦戦を強いられていた
はぁはぁ…
膝をつき息が上がり身体中傷だらけのライラ
拙者の【心眼】の前にはおんしの先見とやらも形無しのようだな
アルバトロスの副隊長というから期待してみれば
はぁ~がっがりぜよ
紅炎の騎士団のカザミは落胆の色を隠せない
カザミの心眼の前にライラの先見はその先を見られ太刀打ち出来ない様子
私は…(私は…)
(父は私が物心つく頃から母に暴力を振るっていた
私が高校に上がった頃その父の暴力で母が亡くなった…
私は父を恨み理不尽な暴力を憎んだ
やがて社会に出て彼氏も出来た…けれど彼は父と同じだった
毎日私を殴り蹴り…そんな頃グリンローグというゲームに出会った
そこでは仲間が出来て皆優しくて温かった
その世界に今居ることで私は幸せになれた
あの現実から逃げられたから
でも…だからこそ私は守りたい…バロンさんが命を賭けれる仲間を
大嫌いな暴力をここでも繰り返そうとここでなら乗り越えられる
皆が居るから…だから私はもう逃げたりはしない!)
その時ライラのマナが炎のように激しく身体から溢れだす
な?なんぜよ?
カザミは強大なライラのマナに圧倒される
見える…貴方の先の先までの動きが
カザミは気付くライラの眼が緑色に変化していたのを
そしてライラのマナが眼に集束されてゆく
感じる…これは私の命の力
最後の贈り物そして
ギフト名は【未来視】…
未来視だと?!
ギフトが成長したとでも言うんかい
そうよ…いきますよ時間が惜しい
ライラが細剣を突き付けるように構える
命をとして他を退けようという何とも強い意志ぜよ
おんし真に戦士なり
うおぉぉぉ…
全て見える貴方の動き一つ一つが
ライラはカザミの攻撃を全てかわしダメージを与えてゆく
ぬぐぅ
終わりです…(さよなら私の愛する人達)
ライラの一撃がカザミの身を貫いた
その瞬間ライラの命は燃え尽きた
レオン殿…拙者…
ドサッという音と共に息絶えた2人の身体は
重なり合うように倒れたのだった
次々と倒れていく双方
そして激化するゼロスとレオン
吸収か…厄介なギフトだな
そろそろ本気出さんとあかんのちゃうか?
まだ出しとらんやろうギフト
ふん!貴様程度に使うほどでもない
その時瀕死のアロナが姿を現す
ごほっ…ゼロス様…
アロナ貴様ほどの魔法の使い手がやられたというのか
そう言ってゼロスはアロナの傷を心配し近付いていく
だ…めにゃ…それを必死で制止するアロナ
次の瞬間レジットがアロナの後ろから飛び出し高速で
ゼロスに斬りかかった
なんだと!驚くゼロスそれをニヤリと見つめるレオン
そしてレジットの剣に斬られた
だがレジットに斬られ倒れたのはゼロスではなくすんでで
身代わりとなったカズであった
なぜここにいる
貴様には避難しろと伝えてあったはずだ
ゼロスに抱えられ震えた声でカズは言う
あの時…僕は死ぬはずだった…けどあなた方に…命を拾われた
…だから…その命…成すべき時に捧げようと…思って…
はぁはぁ…よかった…これで悔いなく…仲間の所へいけ…る……
ちっ!しくじったなレジット
申し訳ありませんレオンさん
ファムとJはどこじゃ!?
お2人ともそこのアロナにやられました
そうにゃ…残念だったにゃぁ…
そして息絶えたアロナ
その時レオンもレジットも気付いていなかった
静かに怒りを募らせるゼロスにそしてゼロスの真の実力に