level.3 その3
ワーウルフの里に着いた彼らが目にしたのは
家屋を焼かれ悲しみに浸る者
怪我をして手当てを受ける者や泣きじゃくる子供だった
キバはあまりの光景に絶句した
何があったの…レムも戸惑っている
その時キバがじっちゃーんと叫び
奥へと走って行った
自分達も行こうとレムの手を引きキバの後を追い掛ける
しばらく走ると燃え盛る家屋の前で倒れている年老いたワーウルフがいた
じっちゃん…キバは老人を抱き抱える
老人は息をしていたので無事の様子
例の騎士の仕業なのか
ロイは怒りを露に拳をぎゅっと握り体を震わせていた
うぅ…キバや
その時老人が意識を取り戻しキバの名を呼んだ
そして…
あの者が我らを守るために連れていかれた…ごほっ
ここは我らで何とかする
お主はあの者を助けに…
リオンの兄ちゃんはどこに連れてかれたんだ
今は廃墟となっているベレル砦だ…
そう言うと老人はまた意識を失った
レム!里の皆を頼む!!
ロイはレムに里の皆の治療を頼み
必ずリオンを連れて戻ると約束しキバとベレル砦へ向かった
気をつけて…レムはそう言って2人を見送ったのだった
数時間後ベレル砦では鎖に繋がれ砦の頂上に張り付けにされている
リオンの姿があった
眺めはどうだ神託者ここから眺める景色がお前の見る最後の景色だ
騎士が張り付けのリオンに話しかける
…最高だねとリオンは笑顔で答えた
お前達がこの世界にどうやって来てるのかは分からん
だが混乱をもたらす悪の根源であることは明白だ
しかし俺は野蛮な殺しはしない
誇り高き王国の騎士であり国王に選ばれし7人
『王の七剣』の1人なのだからな
お前にも慈悲を持って死刑を与える…
グラム様ー!
砦の前にワーウルフと神託者が
(神託者!?)リオンは思ったワーウルフはキバであると
しかし神託者を連れて来た事に驚いたのだった
あの時のワーウルフ…生きていたか
どうやらお前の同族を連れて助けに来たようだな
俺自身あまり血は好まんが仕方ない…
クレステアの名の元に慈悲ある死を
グラムは剣を横に持ち目を閉じて祈りを始めた
そして祈りを終えると
キシルにハンティよ
愚かな者に制裁を与えよ
ハッ!と敬礼をして2人の部下はロイとキバのもとへ駆けていった
(キバ…それに名も知らぬ神託者よ私の事はいい無理はしないでくれ)
リオンは心の中でそう願い自分のせいで死んではならないと
強く思うことしか出来ないのだった
砦の中枢まで来るとキシルとハンティが待ち構えていた
よく来たな我らはグラム様に仕えし騎士キシルに
ハンティだ
俺はロイ!リオンはどこだ!
ロイが声を荒げる
よくも里の皆を…リオンの兄ちゃんを…
キバも怒りを募らせ構えている
我らは国の秩序を守るためにお前らを討つのだ
言葉はいらないゆくぞ!
キシルが剣を抜き向かってきた
ロイもそれに合わせ剣を抜き構えた
ガキィーーーーン!剣と剣がぶつかる激しい音が響き渡る
うおー!
キバも拳を握りハンティに殴り掛かる
かつて大地の覇者と呼ばれた一族よ
その牙はまだ折れてはいなかったようだなと言い
ハンティはキバの拳を剣の柄でガードする
ぐっ!
互いに引かない激しいぶつかり合いが続く
クレステア王国流剣技!刃翔
キシルが飛ぶ斬撃を放つ
ロイは寸でのところでそれをかわした
な…なんだ今のは
ロイはギフトとは違う何かに驚いている
知らんようだな我らは自らのマナを操りそれを技として
繰り出す事が出来る
お前ら神託者のように女神の加護のもと古代の力
魔法を扱えぬ故に成せる力だ
騎士の中でもマナを操れるのは極僅かだがな
ハァハァ…お兄さん大丈夫?
キバはフラフラになりながらもハンティを圧している
ありがとう大丈夫だ
ロイはキバに負けてられないとグッと構えた
リオンがこの先にいるんだ
ここで倒れる訳にはいかない
諦めろー刃翔!
(かわせる!)
はぁぁぁぁぁ!!
オイラも本気でいくぞー
キバのマナが拳に集まっていく
やられるかー
ハンティが力一杯剣を振りかざした
牙狼拳奥義・大地断裂覇
ぐはーーーーー!!
ロイとキバは同時にキシルとハンティを撃破した
はぁはぁ…勝った…
行こうキバ…この先にリオンがいる
うん!
そして2人はリオンが捕らわれている上へと
登って行くのであった