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アリスと秘密の隠れ家

アリスは秘密の隠れ家を作りました。

小さな森の中にある小さな家です。

今日は友達の、ううん、恋人の・・・片思い人をご招待しました。

アリスはご機嫌に飾り付けをします。

緑一色の装飾品、緑はアリスのシンボルカラーです。

小唄を歌いながら作業を続けていると、

カランカランとベルの音。

アリスは猛ダッシュで玄関へ、

飛びつき腹部に強烈な一撃を食らわせながら出迎えます。

それでも、

大打撃を食らいながらも。

アルバートは無表情。



「ここは誰の家だ?」

アルバートは緑色の飲み物をすすりながら尋ねます。

「ここはアリスの・・・アリスとアルちゃんの秘密基地です」

アリスはアルバートが持ってきた緑色のケーキをついばみながらうれしそうに答えます。

「ふ〜ん、で、元の持ち主は?」

「おじさんの・・・それでもこの家はアリスのなんです」

「ふ〜ん、で、おじさんは?」

「地下室です・・・それでもここはアリスの秘密基地なんです」

「ふ〜ん、で、その地下室ってのは?」

「カギをかけたから中の様子なんて知りません・・・それでもここはアリスとアルちゃんの秘密基地なんです! 愛の巣です! 秘密の楽園です! 鉄の処女です!」

「何を言っているんだ?」



アリスはテーブルの上で踊りだしました。

小さなステップを軽やかに踏み、

まるで妖精のようなダンスです。

アルバートは無表情でしたが、

彼女の為に鼻歌を歌い、手でリズムを取ってくれました。

アリスはとても幸せそうに舞っています。

とんっ・・・とアリスは跳ね上がり。

落下。

そのままアルバートの腕の中へ。

強制的なお姫様抱っこ。

アリスの幸せは絶頂を迎えました。

それでもアルバートは・・・

「どうして、おじさんが地下室に閉じ込められているんだ?」

ロマンのかけらもありはしません。



「この前ね、黒手組に追われたんです・・・」アリスは腕の中で話し出しました「ほら、町にある意地悪な少年グループの・・・アリスねとても怖かったんだから」アリスは猫なで声を発しましたがアルバートには効きません「ブ〜・・・それでね、一旦おじさんの家に逃げ込んで、おじさんが黒手組の相手をしている間に森へ逃げたんです、でもね森でも変なエロじじぃに襲われそうに成ったんです・・・アリスねとってもとっっっっっても怖かったんだからぁ・・・」アルバートには効きません「ブ〜! いいもん・・・そのエロじじぃ、何故かおじさんの家に向ったんです、アリスも後を追ったの。それでです、黒手組の人達はどうやらおじさんが追っ払ったみたいなんですけど、今度はエロじじぃとケンカを始めちゃったんです。それでエロじじぃとエロおじさんが取っ組み合いをしたまま地下室に入っちゃって・・・だからアリス、地下室の扉にカギをかけたんです。アリス、とっっっっっっっっっっっっっっってもぉこわかったんだぁかぁらぁ♪」

アリスはモノ欲しそうな表情を浮かべますが。

アルバートはただ。

「ふ〜ん、なんだぁ」

と、興味を失い、そのままアリスを床に落としました。

アルバートは殺し合いには興味ないのです。

彼が好むのは人が壊れていく音だけ。

「いったぁ〜いです〜」

ブー! ブー! ブー!



それでも秘密基地は秘密基地。

誰にもいえない秘密基地。

アリスとアルバートは楽しく遊びました。

地下室からガタガタ音が聞えても。

誰も知らない秘密基地。

誰も助けちゃくれない秘密基地。

いくら泣き叫んでも。

何も聞えない秘密基地。


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