アリスと森の中のエド
「黒手組の人達に追われてるんです、おじさん匿って!」
「おう、この間のお土産ありがと。二足歩行羊の足肉あれはもう・・・うまいと言うより懐かしい味だった。
昔な、友達と三人で山登りに行ったことがあるだよ(その頃はスリムな身体だったんだ)で、運悪く遭難してな、食料も尽きてみんなお腹を空かしていたんだ。その時に友人の一人が羊を捕まえてきたんだよ。朦朧とした意識の中で俺もよく料理できたと思うよ・・・で、その味がアリスが持ってきたお肉とよく似ていたんだなーこれが・・・うん。
もちろん、その肉のおかげで数日間持ちこたえてようやく友達と二人、救助されたってわけだ。懐かしい味だ・・・思い出の味だ・・・ああ、逃げるんだったらそこの裏口の扉からこっそり逃げていきな」
「ありがとうおじさん」
「ンフフ、そうだ。護身用の拳銃を貸してやろう、え〜・・・デリンジャーにスイス・ミニガンにコイルガン・・・どれがいい?」
「これです」
「リベレーターだな、それな六連発式に改造してあるから。しっかりと生き抜けよ!」
「うん」
アリスは森でよく遊びます。
おじさんの家の裏手にある小さな森は、元は木々生い茂る広大なものだったのですが、
「広すぎると迷ったりしてしまうです」
と言うことで、半分以上は焼き払われ、
小さな小さな森となりました。
さて。
アリスが森の中を歩いていると、
目の前に突然、黒マントにシルクハット姿のデカブツが現れました。
「お嬢ちゃんお嬢ちゃん」
「なんです?」
「この赤い手袋はお嬢ちゃんのかい?」
「そんな色、アリスのシンボルカラーじゃないです。それに中身が入っているじゃないですか」
残念そうな顔をしたデカブツを尻目に、アリスは散歩を続けました。
アリスが森の中を優雅に歩いていると、
また、あのデカブツが「アキャキャキャキャ」と奇声を発しながら現れました。
「お嬢ちゃんお嬢ちゃん」
「なんです?」
「この赤いセーターはお嬢ちゃんのかい?」
「アリスのじゃありませんです。それも中身が入ってますです!」
「・・・そうかい」
アリスは「ウキャキャキャキャ」と奇声を発しながら散歩を続けます。
アリスが森の中で可憐に飛び跳ねていると、
またしてもあのデカブツが大おきな荷物を持って現れました。
「お嬢ちゃんお嬢ちゃん」
「名前はアリスです」
「失礼お嬢ちゃん、私はエドと申します」
「ブー」
「ちょっと色々持ってきたから見てくれるかな、赤い帽子、赤いズボン、赤い靴、赤いデスマスク・・・この中でお嬢ちゃんのはいったいどれなのかな?」
「全部中身付です! そうです、中身を全部つなぎ合わせてみればいいんです。そうすればおじさんの探している人が見つかりますです」
「おお、それはいいアイディアだ。しかしおじさんとは失礼だな。こう見えても私は・・・」
「じゃ、じじぃ」
「なんだと!」
「エドじじぃとエロじじぃはよく似てますです」
怒ったエドじじぃからアリスは逃げました。
スタコラサッサッサーのーサー
スタコラサッサッサーのーサー
アリスは森の中にあるお気に入りのお花畑で走り回っていると、
またしてもエドじじぃがぬっそり現れました。
「お嬢ちゃんお嬢ちゃん」
「アリス」
「いやぁ、お嬢ちゃんのアイディアで中身を全部つなぎ合わせてみたんだ。大きかったり小さかったり色がちがったりして歪だけれど・・・見るかい?」
「嫌」
「そう・・・でも、これはお嬢ちゃんのだよねぇ・・・」
エドじじぃはアリスの目の前で手のひらを開けて見せました。
大きな手の真ん中に小さな銃が乗っかっていました。
「あっ!」
アリスは体中を調べてみましたが、おじさんから借りたリベレーターは見つかりません。
「そうかい、やっぱりこの赤い銃はお嬢ちゃんのだったんだね」
「赤くないです」
「いいや、赤い銃だよ」
「返してくださいです」
「赤い銃だ」
「赤くない!」
「これからお嬢ちゃんの血で赤くなるのさ!」
エドじじぃはマントの裾から大おきなカマを振り上げました。
一閃。
血が噴出しやすいようにアリスの衣服が切り刻まれます。
「アキャキャキャキャ」
高笑いをするエドじじぃ、しかしそんな事ではアリスは怯みません。
「おじさんの銃を返してくださいです!」
「おじさんの?」
「うん」
「お嬢ちゃんのじゃなくて?」
「アリス!」
「・・・おじさんの家は何処にあるんだい?」
「この先をずっと行ったところです」
「そうかい、なら私からおじさんにこの銃を返してあげよう」
デカブツのエドじじぃは去っていきました。
切り刻まれた衣服、
踏み荒らされたお花畑、
奪われた大切なもの。
「この、エロじじぃ!!」