ハンカチ 序1
私の名前は夏川 いちか。
この春からこの天領高校に入学したんだけど…やはり私も舞浜君には一目惚れしちゃったな。
でもそれが、とんでもない波乱の予兆だったなんて…
「いちか?いちかってば!!!!!」
「あ、ああごめん、杏。どした?」
今は、中学時代から仲のいい、磨井 杏 と登校中なんだけど…さっきからやっぱり心が落ち着かない。
なんでって?
…だって!前に舞浜君が!!歩いてるんだもん!!!
一緒にいるのは…神河君かな。彼も相当イケメンなんだけど舞浜君といるから隠れちゃってる。
どうやら2人は親友らしいな。
「なにいちか、また舞浜君のことで頭いっぱいなの??」
「う、うるさい!そゆ杏だって舞浜君好きなくせに!」
「まぁ、暗黙の了解だからねー」
「うぅ…」
あー…舞浜君かっこいいな。
あの爽やかな薄く紫がかった髪に白い肌。背も高くて、後ろから見てるだけでかっこいいと分かる。
校舎に入っても舞浜君の後をぽけぇっとしながら歩いていると、何かを踏んだ。
「…ん?ハンカチ…」
赤色のハンカチ…ピンク色で「りか」って書いてある。
んー…「りか」ちゃんのなのかな?
うちの学年にそんな人………………………
………いた。りかって名前の子。でも…だとしたら…
「ん?いちか、あんたそんなハンカチもってたっけ?」
「あ、いや、拾ったの。」
「ふーん。名前とか書いてないの?」
「う、ううん。書いてないみたい。」
「なら職員室届けときなよ」
「うん…わかった」
ひとまずハンカチをポケットにしまう。
ふと前を見ると…神河くんしかいない?
あれ、舞浜君は?
「いちか、あこあこ」
杏が肩をつついて教えてくれる。
見れば、ひとりの女の子が何かを差し出している。
あれは…ラブ…ラブレターーー???!!
「ま、舞浜くん。入学の時一目惚れでした!付き合ってください!」
とってもかわいい子だ。私が男子だったらソッコーOKって言っちゃうな。
舞浜君は…
「……?」
少し首をかしげてから、
「ありがとう。返事はまた今度にさせて」
とだけ言ってくるりと踵を返した。
女子の目は…少しうるんでいた。泣いてるのかな?
…それより!初めて見た!告白現場!!!遠くで見てた私にも伝わる緊張。
これは相当勇気がいる!!!!!!
私たちは少し額に汗を浮かべながら教室に入っていった。