~「地位」と「蓮華」~
1話はチュートリアルのようなものです。
物語のおおよその概要を理解できるので、読んでください!!
ここは、とある都市に位置する「天領学園高等部」
国内最高峰の偏差値を誇る共学校である。
1学年男子300人、女子300人で構成されており、理系と文系に分かれて、各々がやりたい勉強をする、大学に近いものである。
そんな天領学園に通う生徒たちだが、特に癖が強いのが…女子である。
「浅田さんが登校なさったわ!」
「浅田さま!!いらっしゃい!!!!」
「ふっ。お前らみたいなのが私にたやすく話しかけるんじゃないわよ」
髪をふっと撫でおろすのは浅田 優美華。
一流企業の令嬢で、傍若無人な振る舞いが目に余る。
しかし、この学校ではそれが許容される。なぜなら…
教室で話す二人の女子の会話に答えはあった。
「浅田…物言いがひどいわね…」
「し、仕方ないよ…『カースト』の上位層だもん…」
そう。この学校は『女子カースト』
300人の女子は、この強すぎるカーストによってある種の社会を形成していたのだ。
このカーストにおける位を高めるには方法は2つ…。
「うわ…総合テスト学年7位の金山さんにバドミントン全国1位の雪見さんよ」
「道開けなきゃ…」
「悪いわね。通らせてもらうわ」
1つ、勉学、またはスポーツにおいて優秀な成績を修めること!!!!
「あ。浅田さんに近づいてく子…」
「あぁ、あれね、松井さんね。浅田さんに気に入られて、今や彼女までカースト上位なの」
「ひどいよねー」
2つ、上位層に気に入られること!!!!
この2つが基本的にカースト階段を上る方法と言われている。
しかし、世論には例外が付き物である。
「私は浅田工業の令嬢よ!今日もお父様の話を聞かせて…」
ドンッ
「あ、ごめん。当たった?」
「…あ、あなた!この私にそんな口…」
「待って浅田さん!!!!」
「何よ?松井」
「この人…『七蓮』の一人です。黙って見過ごしましょう」
「…っ」
「え、何?今の子。浅田さんが何も言わないなんて…」
「んとね…言わないんじゃなくて言えないんじゃないかな」
「どーゆーこと?」
「今の子は、空井 紗雪。あの舞浜 夜蓮くんと仲の良い7人の女子…『七蓮』の一人なの」
「舞浜…くんってあの?」
「そう。文武両道、ルックス完璧、温厚勇猛な完璧男子。そんな彼はこの学年の女子にとって暗黙の了解の想い人。このカーストにおいて彼と仲良くなるのはカーストの地位を上げることに同義だわ」
「え、じゃあ仲良くなればいいじゃん」
「それが簡単にできないのよ…。舞浜くん、なんせ硬くてさ。仲良くなるのはほんとに至難の業。ラブレター返事もらえただけで奇跡ってくらいよ」
「そんなにすごい人なんだ…。え、あんたも好きなの?舞浜君。」
「そ、そりゃもちろん?言わせないでよ。」
裏の3つ目…舞浜君と仲良くなること。これが最高で最難の方法である。