第九話 いざ、聖剣召喚
「さぁ、前回までのあらすじを話すよ‼︎前回、ガーデにやられたマイアは起きると[聖剣召喚]というスキルをゲットしてた訳だね。そして、今回、それにより聖剣を召喚するよ‼︎あらすじ紹介は僕、神様クリエラがやらせていただきましたー」
聖剣召喚をする事を決めた俺はみんなと少し離れた所に立つ。
「すぅー、はぁー、すぅー、はぁー……」
俺は自分の中にある嫌な予感を振り払う様に深呼吸をする。
だってそうだろ?聖剣だぞ?勇者しか持てない伝説の武器だぞ?
それを勇者でも無い奴が持つ、そんなの面倒事の予感しかしない。
しかし、それでもやるしか無い。だって、反対意見がないんだから……
『ほれ、速くやらんか。今更うだうだ言っても何も変わらんぞ』
俺が色々考えて躊躇しているとガーデが発破をかけてくる。
「そんな事言われなくても分かってるさ。ただ、色々考え事をしてただけだよ」
そう言って、俺は一度深呼吸をすると覚悟を決める。
「よし、じゃあやるぞ‼︎--我が手に聖なる剣を[聖剣召喚]‼︎」
叫びながら俺は右腕を前へ突き出す。そして、手を剣を握る様に握る。
すると、俺の拳の中に白い光が生まれる。その光はどんどん大きく広がる。
そして、光が俺の身長程になると光が収束して剣の様な形を成して行く。
そして、光が消えるとそこには俺の身長と同じ位の大きさの剣が俺の手に握られていた。
その聖剣の大きさは長剣にしては大きく、大剣にしては小さい。更に全体の色が白で、刀身の根元部分に青い文字が書いてある。
えーっと、なんて書いてあるんだこれ?多分ガーデに教えてもらった文字と一緒だから……くらう・そらす?え?
そこで俺は急いで聖剣に[鑑定]を行う。
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クラウ・ソラス【S】 聖剣
○スキル○
惑わしの光
聖なる蒼炎
必中の刃
不壊
所有者固定【マイア】
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……おぉう。よく分からないけど凄そうだ。
気になったので聖剣のスキルを詳しく見てみると冷や汗が出てきた。
まず[惑わしの光]はスキルを使うと刃が光って敵に幻覚を見せたり、目眩しをしたりすることが出来る様だ。
[聖なる蒼炎]は刃が蒼い炎を噴き出し、纏う物の様で、[必中の刃]はこの聖剣の斬撃は如何なる防御も無効とする様だ。
[不壊]はその名の通り壊れない。
また、[所有者固定]はこの名の通り所有者が固定される様だ。今は召喚者である俺になっている。
……うん、強いわこれ。
『告:聖剣を召喚した余韻に浸るのも結構ですが、そろそろミツバ様達に結果を報告しないとミツバ様が我慢出来なくなりますよ?』
俺が聖剣〈クラウ・ソラス〉の凄さに戦慄を覚えているとエイさんが声を掛けてくる。
それにより、俺は現実に引き戻されると慌ててミツバ達の方を見る。
すると、そのには今にも飛び掛かってきそうなミツバの姿があった。
……そこまでなのか……
その後俺はガーデとミツバに聖剣の性能などを軽く説明した。
その後聖剣の試し斬りと言ってミツバと打ち合うことになった。
「それにしても、まさかミツバの槍も名前持ちだったとは……しかも、ランクS」
この時しったのだが、ミツバの持つ槍も名前持ちであった。
名前持ちとはその武器固有の名前を持つ武器のことだ。聖剣や魔剣などがそれに当たる。
そして、名前持ちは例外なく強く、そして壊れない。しかも最低でもランクAはあるのだ。
そして、ミツバの槍はランクSの名前持ち。はっきり言ってかなり強い。AとSでは差がかなり大きいのだ。
因みにミツバの槍の性能はこんな感じだ。
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千斬万突【S】 和槍
○スキル○
千斬
万突
不壊
所有者固定【ミツバ】
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[千斬]はいくら斬っても斬れ味が落ちず、それどころか斬れば斬る程威力が上がり、[万突]はそれの突き版である。
はっきり言って聖剣と張り合えるレベルだ。実は聖槍とかじゃないのか?と思ってしまう。
それにしてもガーデとミツバに会ってから模擬戦しかしてない気がする。半年も経っているのに会ったのが昨日の様な気もするし、その間にあったこともあまり覚えていない。
覚えているのは出会い頭のミツバとの模擬戦、ゴリラとの戦い、ゴリラ戦後のミツバとの模擬戦、ガーデとの模擬戦の様なもの。
何故だろう?ほとんど何も思い出せないな。
まあ、それはいいとして今は聖剣の試し斬りだ。
いや、本当に斬る訳ではないがな?模擬戦だ。
俺はそれを肝に命じて聖剣を構える。それを見てミツバも槍を構える。
『うむ。では、始め‼︎』
そして、ガーデの開始の合図とともに俺とミツバは同時に動き出す。
まずはミツバが仕掛けて来た。
ミツバは腰に槍を構えるとそのまま振り抜いてきた。
俺はそれに対して片手で持った聖剣を当てがい槍の軌道を逸らす。
それにより出来た隙を見逃さずに空いている手で掌底を放つ。
ミツバは掌底が当たる瞬間に身体を回して軸をずらして掌底の威力を減らし、そのまま俺の後ろに回る。
普通ならここで一撃を貰ったりするのだろうが俺は冷静に聖剣のスキルを使う。
使うスキルは[惑わしの光]だ。
それによって聖剣からあたりを埋め尽くさんと光が放たれる。
俺はミツバがその光で視界を失っている間に距離を置く。
因みに使ってわかったことだが[惑わしの光]により発生する光は俺に一切の影響を及ぼさない。
それどころか光が届く範囲の状況が鮮明に分かった。これは凄いと思う。
光が収まり暫くしてミツバは眼を開き辺りの状況を確認し、俺を見つけるとまたもや突っ込んでくる。
しかし、先ほどとは違い斬りはらいをする格好ではなく突きをする為の格好で、ではあるが。
俺は今度は聖剣を使わずに右に身体を移動させてミツバの突きを躱す。そして、ミツバとの距離が縮んだところで聖剣を振るう。
それにミツバは反応し、すぐに槍を引き戻すとそれを盾にして聖剣を防ごうとする。
しかし、ここで不思議なことが起こる。
槍で聖剣を防いだ筈のミツバが斬撃を受けたのだ。
そう、これこそがこの聖剣のスキル[必中の刃]の効果だ。
[必中の刃]は常時発動するらしく、相手がガードするとこの様に当たってもいないのに本来相手に与えていたであろう斬撃を与える。
今回は元々そこまで深い傷を負わせる威力はなかったのでミツバの傷は浅い。
『うむ、そこまでだ』
しかし、ここでガーデが制止の声をあげた。
え?まだそんなに傷ついたりしてないけど?
俺が疑問に思っていると、ミツバがその場で崩れ落ちる。
「えっ⁉︎ちょっ、ミツバ大丈夫か⁉︎」
俺はそれに驚きミツバを支える。そして、確認するとミツバは気を失っていた。
それを見たガーデはミツバが崩れ落ちた理由を教えてくれる。
『マイアよ。お主の攻撃は見た目は浅かったが、数値上の威力は高かったのだよ。[鑑定]でミツバのステータスを見てみよ』
そう言われミツバのステータスを見てみると、確かにHPが半分ほどになっていた。
何故そんな事になっているのか不思議に思っているとガーデが推測を話してくれた。
それによると、恐らく[必中の刃]はガードを超えるだけでなく、ガードをするとそれだけ相手に与える数値上のダメージが上がるというものだった。
いやいや、それは強すぎるだろ……
その推測を聞いて、俺は更に不吉な予感を強めるのであった。
今後登場予定ないキャラであらすじ紹介していこうかと思います。
だって、せっかく作ったのに勿体無いじゃん?
あと、またアクセス数が投稿してない時もあったんですけど何故?




