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第五話 竜への弟子入り

連日投稿です。四話を書き終えた勢いで書きました。

数時間前に前話を投稿したのでお気をつけ下さい。


ミツバの年齢を変えました

「はっ‼︎」


 突っ込んで来た黒髪の女性は槍の間合いに俺が入ると裂帛の気合いと共に突きを放ってくる。


「きゅいい‼︎」


 それに対して俺が対応出来ないでいると兎が女性に向かって火を吹く。


「なっ⁉︎」


 女性はそれに対して驚きながらも地を蹴って横に跳ぶ事で回避する。


『これ、ミツバよ。攻撃するでない』

「し、しかし……」

『我の言うことが聞けぬと言うか?』

「い、いえ、そのような事は……」


 事の成り行きを観ていた竜改めガーデが女性を制止する。

 それにミツバと呼ばれた女性が反論しようとするがガーデが黙らせる。


「えーっと……誰?」

『おぉ、そうであったな。今紹介しよう』


 俺が女性の素性を訊くとガーデが答えてくれる。

 それによると女性の名前はミツバ・スメラギといい、竜人族という種族と人間族の間に生まれた半竜人というらしい。更に、ミツバの両親とガーデは昔からの知り合いで、その両親に頼まれて面倒を見ながら鍛えているらしい。

 因みに俺のことは転生のことなどは暈しながら伝えてくれた。


「ガーデ殿の話は理解したで御座ります。然し、その者の素性がはっきりしない事に変わりはないで御座りますので、自分は承伏しかねるで御座ります」


 ガーデの話を聞いたミツバはその上で俺をここに置いて共に鍛えるというガーデの決定に異を唱える。


 それにしても……ミツバは引っかかる喋り方をする。一人称が自分で御座ります語尾って……漫画やアニメじゃないんだから、と言いたくなる。


「……承知したで御座ります」


 俺がそんな事を思っている間にガーデとミツバの間で話がついたようだ。


『あー……その、なんだ。話聴いてたか?』

「いや、悪い。考え事してて聴いてなかった」

『そうか……そのだなぁ。言いにくいのだがミツバと一つ手合わせしてくれぬか?』

「……は?」


 ガーデに話を聴いていたかと訊かれたので素直に答えると、何故かミツバと戦うように言われた。いや、本当に何でだ?


 ガーデの説明によるとミツバは俺を信用出来ない。だから、一度手合わせしてそれで確かめるらしい。意味不明だ。

 しかし、やらなければ話が進まないようだし……


「面倒くさいけど、仕方ないからやるよ」

『おぉ、そうか。助かる』


 俺が引き受けるとガーデは目に見えて安堵する。しかし、ここで俺は確認しないといけないことがある。


「やるのはいいんだがな、俺は途轍もなく弱いぞ?」


 そう、俺は弱いのだ。幾らあのショタ神によって高めのステータスになっていても、所詮は『高め』なだけだ。レベルも一だ。

 それについて俺がガーデに問うとガーデは虚を突かれたような顔をしたように見える。


『……は?弱い?お主がか?はっはっは‼︎そんな訳なかろう。我には竜眼があるからお主のステータスが分かるがお主レベル一でそのステータスは異常だぞ?ミツバとも大差ないしな。技術がないと言うならそんなものは後で我が教えるのだから気にせんでよい。ミツバも我も今現在のお主の実力が知りたいのだ』


「はぁ……分かった。念の為と思って確認しただけだ」


 決まったところで始めようと言うことでガーデが樹々を操り拓けた空間を作る。

 そこでおれはミツバと向き合う。


 そこでふと思いミツバのステータスを見てみる。

 その結果は……


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 ミツバ・スメラギ ♀ 半竜人 20歳

 級値:5

 職業:槍武者Lv8

 称号:なし

 HP:63/63

 MP:59/59

 攻撃:78

 守備:72

 俊敏:68

 ○スキル○

 種族:竜鱗【風】

 種族:魔術【無】

 固有:竜魔眼

 魔法:生活【C】

 収納【C】

 気配察知【C】

 戦闘術【C】

 料理【B】

 職業:我流槍術【C】

 職業:我流歩法【C】


 △▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△


 ……大差無い?イヤイヤ‼︎大差あるじゃん⁉︎ステータスの値は二十、三十差があるし、レベルもミツバは八じゃないか……負けたな。


「どうしたで御座りますか?まさか、今更怖気付いたで御座りますか?」


 そのステータスを見て呆れているとミツバが声を掛けてくる。


 それにより俺は自分の世界から戻って来る。

 そして、ミツバのことを改めてよく見る。

 ミツバは背中の中程まである黒髪ポニーテールで、眼が青く切れ長、肌は褐色だった。

 体は日本での普通サイズより少し大きめの胸で細いながらも鍛えられていることが素人目にも分かる。

 服装は肩と腰、胸部に軽装甲が付いている体のラインが分かるインナースーツのような服で、武器は長い柄の先に先の尖った穂が付き、反対側に石突きのある和槍と呼ばれる槍である。


「な、なんで御座りますか?そんなにジロジロ見ないで欲しいで御座ります」


 おっと、そんなに見ていないと思ったがミツバはジロジロ見られている気がしたらしい。


「悪い。少し、考え事をしていた」


「いや、気にしなくて大丈夫で御座りますよ」


 俺は素直にミツバに謝る。それをミツバも受けてくれる。


『では、始めるぞ』


 ガーデが開始の確認をして来る。

 俺はそれに合わせて長剣を抜き構える。

 ミツバも和槍を腰だめで構える。


『うむ、では始め‼︎』


 ガーデの開始の掛け声が発せられるとその瞬間、ミツバが地面を蹴って迫って来る。


「くっ‼︎」


 そして、俺が間合いに入ると先程のように突きを放ってくる。

 しかし、それは先程よりも速く見える。

 それを俺はなんとか剣の腹で受けるがその威力に吹っ飛ばされる。


「どうしたで御座りますか‼︎その剣は飾りで御座りますか‼︎」


 そう叫びながらミツバは攻撃の手を緩めない。それどころかより苛烈になっていくように思う。


 吹っ飛ばされた俺にミツバは今度は二連突きを放ってくる。

 俺はそれを地面を転がることで躱す。

 躱した俺に今度は縦向きの斬り払いが加えられる。

 それを俺は何とか剣で受けるがそのまま転がされる。

 今度は攻撃が加えられる前に起き上がれたがそこで俺に石突きによる突きが放たれ、それを俺はもろに腹に受けてしまった。


「かはっ⁉︎」


 俺はそれにより軽く吹っ飛ばされ、その先で息がまともに出来ず蹲る。


「……何なんで御座りますか?自分を馬鹿にしてるで御座りますか?幾ら何でも弱すぎるで御座りますよ?」


 そんな俺をミツバは興醒めだと言うように槍の石突きを地面に突き立てて見下ろしてくる。


 ……だから、弱いって言っただろうが。


 俺はミツバの態度にイラっと来た。その時、頭に急に天啓のようなものが浮かぶ。


 これなら……


「もういいで御座ります。貴殿の実力は分かったで御座ります。貴殿はここにいるべきではないで御座ります。自分が安全な所まで送って行って差し上げるで御座りますよ」


「待て、よ……まだ、終わってない、ぞ‼︎」


 そう言いながら俺に背を向け立ち去ろうとするミツバに俺は立ち上がり斬りかかる。

 しかし、剣筋も何もあったものではない俺の攻撃をミツバは振り返りざまの一撃で打ち返してくる。


「いいで御座いましょう。そういうのなら、これで終わりにするで御座りますよ‼︎」


 そう言ってミツバは一度距離を取ると身を縮め力を溜める。

 そして、地面を蹴ってと俺の懐まで詰め寄ると今までの中で最速の突きを放ってくる。

 そこで俺は先程頭に浮かんだものーーースキル[御返し]を発動する。

 ミツバの突きを俺の剣が受け流し、そのまま一回転して、ミツバに斬撃を放つ。

 俺の刃がミツバを斬ろうとするとミツバと俺の剣の間に見えない壁が出来たのか剣が弾かれる。


『そこまで‼︎この勝負、勝者マイア‼︎』


 どうやら、俺は勝てたらしい。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 それからミツバに俺は認められ、呼ばれ方がマイア殿になった。

 そのあと、兎の事が話題となった。

 どうやらこの兎はレア中のレアというべきものらしく、俺は運が良いらしい。

 全くもって怪しい限りであるが。


 そして、兎の名前は何というのかと訊かれたので、名前は無いと答えると、


「何故で御座りますか⁉︎この子はマイア殿の仲間で御座いましょう⁉︎」


 と、言われたので兎さんの毛色から「茜」と名付けた。

 どうやら、それが嬉しかったらしく茜は俺に抱き付いて鳴いていた。


 因みにこの時初めて茜のステータスを見た。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 アカネ ♀ スマイルラビット

 称号:マイアのペット

 HP:31/31

 MP:45/45

 攻撃:24

 守備:21

 俊敏:41

 ○特殊能力○

 固有:火炎放射

 固有:火達磨


 △▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△


 値は俺に近いものがあるな。ランクFというのは本当のようだ。


 因みに、ここまでで分かったことが幾つかある。


 まず、転生者は公には知られていない。これは永い時生きているガーデが知らなかったことから確度の高い情報だ。

 さらに、レベルは魔物を倒したりする他に経験によって上がるらしい。

 よく分からないが先程のミツバとの勝負でレベルが上がって、[副業]というスキルを身に付けていた。

 [副業]は転生者の職業限定のスキルらしい。効果は転生者の職業の他に一つ副業に着く事ができ、転生者の代わりに副業が今着いている職業として相手には表示されるらしい。俺には職業の下に副業という欄が見える。今は平民になっている。

 あと、俺は固有スキルによってスキルポイントがない代わりに経験した事をスキルとして身に付けることが出来て、職業レベルが上がりやすいようだ。

 それにより、[友誼]と[御返し]というスキルが身に付いていた。

 [友誼]は絆を結んだ魔物などを従える事ができるらしい。因みに茜は既に俺の従魔になっていた。

 [御返し]は相手の攻撃を受け流し、相手の体制を崩したところに攻撃を加えるというスキルである。MPが10減っていた。


 そんなこんなで俺は暫くここでミツバと共にガーデに鍛えてもらうこととなった。


「それにしても、この子は可愛いで御座りますな‼︎」


 ……言い忘れたが、ミツバは可愛いものが大好きらしい。

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