第十四話 紹介された宿屋は色々と濃い
『前回のあらすじ』
「前回、冒険者協会で試験を受けたミツバとマイアの二人」
『二人は無事、冒険者となることが出来た』
「そして、ちゃっかり宿屋の情報を聞いて冒険者協会を後にしたのでした」
『「では、続きをどうぞ」』
ギルドを後にした俺たちは受付嬢に聞いた宿屋に向かっていた。
「……ここだな」
紹介された宿屋は〈小鳥亭〉という名前で、ギルドから歩いて十分程の所にあった。
……あったのだが、本当に合っているのか疑いたくなる外装をしていた。
まず、〈小鳥亭〉は初心者から中級冒険者向けの宿屋だと聞いていたのだが、見た目はどう見てもそのようには見えない。
周りの建物よりも大きく高いのだ。
具体的には周りの建物二軒分の広さで周りが高くても二階建てなのに対し、〈小鳥亭〉は五階建てなのだ。
更に、入り口はギルドと同じように大きめの両開きの木製の扉。その上には鉄製のお洒落な看板が付いている。
そして、とても綺麗。汚れが見当たらず、綺麗な煉瓦で出来た建物だ。
正直、ギルドより立派だ。
ずっと扉の前で立っているのもおかしいので取り敢えず中に入ることにした。
「いらっしゃいませー!お泊まりですか?お食事ですか?」
「「!!」」
中に入ると、直後に声を掛けられた。
声を掛けてきたのはピンクに近い赤色の眼に毛先がくるくるしている金髪ツインテールの町娘風のワンピースを着てエプロンを付けた少女だった。
……だったのだが。
突然、声を掛けられた為に咄嗟に[鑑定]を使ってしまった。
そして、その結果見えた少女のステータスに俺は驚く事になった。
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ムアンダ ・バード ♂ 人間 40歳
級値:429
職業:女装家Lv99
称号:宿屋〈小鳥亭〉店主 漢女のカリスマ
HP:4389/4389
MP:4305/4305
攻撃:4400
守備:4398
俊敏:4321
○スキル○
種族:魔術【空間】
固有:変態
魔法:生活【S】
裁縫【S】
収納【S】
解体【S】
隠蔽【S】
偽装【S】
鑑定【S】
気配感知【S】
戦闘術【S】
状態異常耐性【S】
職業:早着替え【S】
職業:化粧術【S】
職業:コーデ鑑定【S】
職業:衣装庫【S】
職業:道具箱【S】
職業:ホルモン操作【S】
職業:手直し【S】
職業:人選眼【S】
職業:整形術【S】
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……はぁ!?何だこれ!?
まず、性別が男で年齢四十ってなんだよ、どう見ても十代の少女じゃねーか!!
次に職業:女装家ってなんだよ!?女装ってそこまでハイスペックじゃないだろ!?
称号も何!?漢女のカリスマって何!?
最後にその強さはなんだよ!?Aランク冒険者のムッテより強いぞ!?
そのステータスに驚いて固まっていると、少女改めムアンダが話しかけてくる。
「ん?あ、もしかして[鑑定]しちゃった?なら、仕方ないね。大体、皆驚くよ。だって、鑑定出来ないんだからね」
「……えっと、すいません。見れます」
「……え?見れるの?」
「……はい」
俺とムアンダの間に沈黙が落ちる。
気まずいなぁ。
俺がどうしようもなく困っていると、ムアンダが先に口を開いた。
「そっか、見た事ないし、その見た目だから初心者だと思ったんだけど、違ったか」
……すいません。ついさっき登録したばかりの初心者です。
俺はそう思ったがこれ以上はややこしくなると思い、口に出すのはやめた。
そのあとは、ここが〈小鳥亭〉である事を確認し、宿泊する旨を伝えて二人部屋を取り、ちょうど昼時だったので食事を摂ることにした。
そして、カウンター席があったのでそこに座ったのだが、そこでまた、驚く羽目になった。
厨房で身長の高い褐色肌の女性がフライパンを煽っているのだが、その女性……片腕だけやたらと太いんだけど。
流石に怖くなって[鑑定]しましたよ。
その結果は……
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ミリンダ・バード ♀ 人間 31歳
級値:72
職業:剣豪Lv52
称号:熊剣
HP:740/740
MP:724/724
攻撃:741
守備:738
俊敏:733
○スキル○
種族:魔術【火】【水】
固有:筋肉操作
魔法:生活【S】
収納【S】
鑑定【A】
料理【S】
気配感知【A】
戦闘術【A】
状態異常耐性【S】
職業:長剣術【S】
職業:瞬動【S】
職業:流水斬【S】
職業:兜割り【S】
職業:飛翔閃【S】
職業:手刀術【S】
職業:居合い斬り【C】
職業:無手取り【S】
職業:鞘斬り【B】
職業:霞斬り【C】
職業:修羅道【S】
職業:斬鉄剣【S】
職業:火炎剣【S】
職業:水氷剣【C】
職業:風刃剣【B】
職業:雷鳴剣【C】
職業:聖光剣【D】
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これですよ。
ムアンダどころかムッテよりも弱いけど、でも、それでも強い方だろう。そして、あの異様な姿の謎はその固有スキルが関係するようだ。
称号もなんかすごい。
あと、恐らく、この人はムアンダの奥さんだな。
その後、興味が湧いたので従業員ーーといってもあとは一人しかいなかったけどーーを[鑑定]してみた。
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メイラン・バード ♀ 人間 16歳
級値:42
職業:暗殺者Lv26
称号:〈小鳥亭〉の仮面娘
HP:432/432
MP:430/430
攻撃:428
守備:431
俊敏:440
○スキル○
種族:魔術【闇】
固有:顔隠し
魔法:生活【S】
収納【B】
偽装【S】
鑑定【S】
接客【B】
気配感知【A】
戦闘術【A】
状態異常耐性【B】
職業:短剣術【S】
職業:盗術【S】
職業:罠設置【C】
職業:罠解除【B】
職業:罠察知【S】
職業:索敵【S】
職業:熱源感知【S】
職業:開錠【S】
職業:暗殺術【B】
職業:暗器術【B】
職業:隠密術【A】
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えぇ、まぁ、分かってましたよ。
ステータスの前にこの人の容姿から触れようと思う。
灰色の髪をツーサイドアップにした色白の少女なのだが、服装がおかしい。
ミニスカメイド服に白い仮面という、あり得ない組み合わせをしているのだ。
しかも、それが普通なんだろう。
何故なら、ステータスの称号に〈小鳥亭〉の仮面娘なる訳わからないものがあるから。
これも恐らく、この少女の持つ固有スキルが関係しているのだろう。
そして、案の定そこそこ強い。
あと、この娘、ムアンダとミリンダの娘だ。
……うん。何この宿屋、カオス。
そのあと、で出来た食事を食べて、ミツバと二人で街を少し見て回ったあとは夕食を食べた後、寝た。
今日は色々あって疲れた。
あ、ご飯は普通に美味しかったです。
えぇ、あけましておめでとうございます。
今年も拙い私の作品ですがよろしくお願いします。
短くてすいません。もう少し長くするよう頑張ります。
今年の目標は平均5,000文字という事で。




