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鍵慌てる

 あの、老執事こと、ワーウルフが使っていたという部屋へたどり着いた憲治たちは言葉を失った。


 ボロいのだ。


 よくよく考えてみれば百年くらい放置されていたわけで、雨どころか風もしのげない小屋という有様である。

「……掃除……」

「憲治っ! あなたは座ってて!! 鍵! さっさと部屋を掃除しなさい!」

 掃除しなきゃ、という憲治の呟きを慌ててピンクッションがかき消した。

「え!? 俺?」

 そしてそのの叫びに、鍵が驚いていた。

「まさか救ってくれって頼んだ憲治にその辺りをさせようとは思ってないわよね?」

 蛇が頭を持ち上げるかのごとく、メジャーが動く。

「わわわわわ、分かりましたぁぁぁ!! 今すぐ出来るやつを作ります!」

「それからきちんと食べれるものを用意してくれる人もね」

 蛇のような動きのメジャーに、今にも針を数本撃ちださんとするピンクッション。そして、切り刻みそうな勢いの鋏に鍵が恐れをなして、慌てて小屋の中へ入った。

「……お前ら」

 憲治は思わずため息をつく。

「俺、お前らが使えなくなるのが心苦しい。だからああいう攻撃やめて?」

 鍵を切ったら、刃こぼれしてしまうかも知れない鋏。メジャーだって、伸びたらおしまいだ。ピンクッションだって大惨事に繋がったら大変なのだ。

「大丈夫だ! おれっちたちはお前を守る『武器』でもある! それにお前がおれっちたちを大事に思ってくれるだけで強くなるんだ!」

 ナンデスカ。ソノゴツゴウシュギハ。

 そう思ってしまった憲治だが、礼を言うだけに留めておいた。



 一方その頃。

 鍵は小屋の中で慌てふためいていた。

「よよよよよ、よかったよぉぉぉ!! ワーウルフの爺が使ってた道具がまだ残ってた! これに新しい命を吹き込んで……って、やべぇぇぇ! 古過ぎてすぐ壊れちまう!

 どどどど、どうする!? このままじゃ俺が殺されるっ!」

 そこでやっとのことでワーウルフの老執事から渡されていた「鏡」を思い出した。

「爺! ヘルプミー!!」

「何がしたい?」

「どどど、道具に、いいいい、命がっ」

「落ち着け、一体何があったというのだ? まずは深呼吸せんか」

 そう言われて、鍵も少しばかり落ち着きを取り戻し、あったことを説明する。

「……なるほど。思い入れで強くなるそちらの道具では確かに難しいな。かといってこちらの物を送れるほど力もない。困ったな」

「悠長に言うなぁぁぁ!! 俺が殺される!」

「生き延びろ」

「無茶苦茶言うなーー!!」

「仕方あるまい。わしが使っておった部屋に魔石があったはずだ。それ数個使ってやつらが欲しがる人形ドールを作れ」

「……おう」

「ただし使いすぎるなよ。使っていいのは三つまで」

「あんたは鬼かーーー!!」

「残念ながら鬼ではない、ワーウルフだ」

「……いい加減にしてくんねぇか?」

 少しばかり(、、、、、)怒り狂った憲治が扉を開けてこちらに向かってきていた。


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