女王との対面
「……あれが女王?」
「俺の記憶だと成人してた」
「さすがにあれじゃ、憲治を怖がって泣いちゃうでしょ」
ぼそぼそと鋏たちが話している。
「妾がこの国の女王じゃ。頭が高いぞ!」
玉座に座る幼女がふんぞり返って言った。
憲治は基本子供が苦手な上に、躾のなっていない子供は大嫌いである。
この子供もそうだと取った憲治は、そのままずかずかと玉座に詰め寄った。
「てめぇ……」
その言葉と顔に側近たちが強張る。
次の瞬間、憲治は子供のこめかみに指をあて、そのまま持ち上げた。
「痛い! 痛いのじゃ! 離すのじゃ!!」
じたばたともがき、周囲に助を求めるが、誰一人女王を助けない。
憲治のあまりに凄い迫力に、全員が硬直しているのだ。
「ふざけてんじゃねぇ! てめえの我が侭でどんくらいの奴らが迷惑被ったと思ってやがる!? あぁん? 仕事放棄してこっちの世界に連れてこられるわ、クライアントの服をズタボロにするわ、どうしてくれるつもりだ? このクソガキ!」
「妾は子供ではないぞ!! 千を超える熟女じゃ!! 痛いから離すのじゃ!」
「でめえの姿でどうやって大人だって言うんだ? ただのガキだ。んでもってお前の我が侭で全部こうなったんだよ」
「妾とて好きでこの姿になったわけではないぞ! ここ三百年の話じゃ!」
「てめえの精神年齢に引きずられたんだろ。責任果たしたくないわ、誰かに責任押し付けるわ、相手の意見聞かないわ、ただのガキだろ? 大人なら周囲の意見聞くくらいしろや!」
どこからか「それお前が言うか?」という声が聞こえたような気がしたが、憲治はスルーした。
実際、鋏や金槌たちのように最初から行動していた面子から見れば、憲治も十分自分勝手である。
元が好きで巻き込まれたのではないから、仕方ないのだろうが。
「痛いのじゃ! 離すのじゃ!!」
怯えて泣きながら、女王が懇願する。
だが、憲治は聞き入れようとしない。
逆に憲治はそのままこちらに女王を連れてくる。
そのまま行けばバルコニーがある。まさかそこから放りだす気か!? そう思ったのか、何人かが慌てて動くものの、憲治の人相の悪さに阻まれていた。
「そなたの言うこと何でも聞くから! 離してほしいのじゃ!」
命の危険を感じたであろう女王が必死に懇願する。
「てめえの『何でも聞く』が信用なると思ってんのか?」
「きちんと! きちんと書類にするのじゃ! 宰相!!」
「か……かしこまりました!!」
宰相と呼ばれた初老の猫族が慌てて動き出す。
それを見た憲治がやっと壁にもたれて座り、そのまま膝の上に女王を座らせた。
時々こめかみをぐりぐりしながら、そのまま宰相を待つことになった。
「悔しいが心地いのじゃ」
そう女王が呟いたものの、誰一人それを拾うことはなかった。




