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プロローグ 1

 初めて投稿サイトに投稿させていただく小説です。

 知人以外の方に書いたものを見せるのは初めてなので、至らない点も多いかと思います。若気の至り(?)と思って、ご容赦ください。

 不快な点などございましたら、何なりとご指摘ください。内容に関するものでも、形式に関するものでも、何でも構いません。

 もちろん、「面白かった」「つまらなかった」というような簡単な感想も歓迎いたします。

(まあ、自己満足で書き殴っているものなので、気ままにやっていくつもりなのですが……)

 読んでいる時間が楽しいものであったなら、幸いです。

 世界第二位の面積を誇る大国、サミュ=エルシア連邦。

 その首都、ニノートス特別区の一角に、『共和主義連合』の本部ビルはある。


 地上部分だけを見ても十分に巨大な構造物だが、実は地下にも、広い空間が設けられている。世界規模の重要課題を、各国の首脳が極秘裏に話し合う場所としておよそ一〇〇年前に作られた、防諜会議室だ。

 しかし、超魔導有機金属製の重厚な扉が開かれることは、結局五年に一回もなかった。


 この場所に今、統轄理事会の常任理事国の代表が全員、集結していた。

 鏡面の壁に四方を囲まれた、薄暗い部屋。その中央にある透明な円卓を、七カ国の首脳が取り囲んでいる。

 今年に入って、早くも三度目の極秘首脳会談だった。異例の事態だ。当然ながら、喜ばしい事態ではない。

 巨額の建設費を投じて、この防諜会議室をこしらえさせたが、なんとも皮肉な因果だ。市民の血税が無駄になっている状態こそが、彼らにとってもまた、最善であったとは――サミュ=エルシアのノーフス大統領は、心の中で苦笑した。


「……要するに、我々の対応も、ヴィスティユ帝国の今後の動向次第ということです」


 西の小国を治める大統領が、熱弁を振るっている。


「我々は連合の一部である前に、戦争を忌む、一平和国家であるのです。国際秩序の維持も確かに重要な使命ですが、専守防衛の姿勢をそう易々と崩すわけにはいかんのです」

「専守防衛と言うと聞こえはいいですが、その姿勢は連合の一員としては無責任なのでは?」


 中東の強国を治める大統領が、西側の大統領に食ってかかった。


「よく考えてみてはいかがです? ヴィスティユ帝国の外交行動が『協同的軍事制裁条項』の適用対象なのは、もはや火を見るより明らかでしょう?」

「お言葉を返すようですが、閣下(スラーム)。我らが属するこの『共和主義連合』という組織は、平和国家にまで戦争を強要するような、無責任な存在なのですかな?」

「戦争ではない。これは、あくまでも『協同的軍事制裁』だ!」


 このように、議論は紛糾している。各々が自国の利益しか考えずに発言するのでは、無理もない。

 若い首脳らによる舌戦を、最年長のノーフスは冷ややかに眺めていた。


「帝国の今後の動向と言いましてもね、現状の南下政策の方向性は、当分変わらないでしょう」


 先ほどとはまた別の、西側の国を治める大統領が発言する。


「最終目標が大陸全土への勢力の拡大だとしても、まずは東モーザ海の封鎖を目論むはずだ。現皇帝が全くの無能でなければ、ですが」

「となると、派兵は西側諸国(プエリオス)への負担も大きくなりますよね。やはり現段階では、各国が適宜、制裁措置を取るといった形で様子見しておくのが妥当かと……」


 西側諸国が団結して、軍事制裁を否定すれば――。


「事ここに至ってなお、そんな悠長なことをおっしゃるのですか! 東モーザの国々は、すでに侵されているのですよ?」

「今一度、考えるべきではないですかな、我々の存在意義を。国際秩序の維持は、二度の大陸間戦争を経験した我々の贖罪、当然の責務のはずだ!」


 ――中東諸国が、国際秩序の維持を訴える。

 さっきから延々この繰り返しだ。ノーフスは内心、退屈していた。

 西側の一人が、再び発言する。


「三度の大戦を経験した我々だからこそ、喫緊の脅威がない間は、動くべきではないと言っておるのです。せめて、人民に派兵を納得させられるだけの明確な論拠がないことには……」

「論拠? はて、論拠といいますと……見返りのことでしょうかな」

「ははは、なかなかに手厳しいですね。なるほど、侵略される恐れのある中東の国家の代表ともなると、危機意識が随分と高まるようだ。我々連合の仲間でさえも、搾取を旨とする侵略国家に見えるとは」

「とんでもない。それは被害妄想です」

「その言葉、そのままそっくりお返ししますよ」


 迷走する議論を傍で聴いていると、本当に頭が痛くなってくる。こんな不毛なやり取りは、自国内の連邦議会で行われる予算会議だけでたくさんだった。

 目頭の辺りを指で揉みながら、ノーフスは頭の中で論点を整理しておくことにした。

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