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幼女を拾う

アクセス数が増えてると思ったら日間ランキング114位に載っていました。

これも読んで下さる方、そしてブックマーク登録、評価をつけてくださった皆様のおかげです。

どうもありがとうございます。

 翌日、当初の予定通りダンジョン近隣の散策を再開することにした。

 洞窟から一歩足を踏み出そうとすると……いいようのない恐怖に襲われる。盗賊に襲われたこと、不可抗力ではあるが、また自身の手で直接やったわけではないが、盗賊3人を死に至らしめてしまった。

 ネガティブな感情が一挙に心に襲い掛かってくる。踏み出した足を元に戻し一息つく。

 ふぅ、なんとか落ち着いたようだ。では気を取り直してもう一度……

 うわ~、駄目だ怖くて外にでれねぇよ~


 マスタールームに引き返しハムマルに相談したところ、わたくしから離れたせいで精神安定化スキルの範囲外に出てしまったのでしょう、とのことだった。

 もう一生引きこもってやるとも思ったが、気を取り直していざ外へ。



 胸ポケットに優しく手を当て、ゴブリン4匹を引き連れてダンジョンの外へ出る。

 うん、大丈夫、俺はまだやれるんだ。


「主様、いかがですか?」


 胸ポケットから可愛らしい声が聞こえる。


「あぁ、お前のおかげでなんとか外でも平静を保てるようだ」


 結局ハムマルを連れてきてしまった。結界石も作動してるし、大丈夫だろう。

 ていうか、ひとりで外にでるなんて今の俺には無理だし。


「主様、森の中の調査とのことですが、ひとつ提案がございます。昨日の盗賊のアジトを調べたほうがよろしいかと存じます」

「え~、あそこ行きたくないんだよな」


 心が落ち着いてはいるものの、行きたくないという思いは残ったままだ。


「もし盗賊の仲間がいたりすると、このダンジョンにとっても脅威となります。是非お願いいたします」


 はぁ、行けばいいんだろ、行けば。


 スライムを除いたゴブリン14体、つまりダンジョンのほぼ全員を引き連れて、盗賊のいた洞窟へと向かう。

 さすがにこんだけいれば安全だろう。ハムマルはやれやれといった顔をしたが、そんなことは気にしない。安全第一だ


 ついた洞窟ではまずゴブリン4体に奥を調べさせる。すぐに出てきたゴブリンからの特に脅威はなさそうだとの報告を聞き、俺も洞窟へと足を踏み入れる。

 洞窟……というかほら穴だな、これは。

 きちんと外から覗いていればそれで解決していたことだった。

 ほら穴は奥行き5メートルもなく、途中分岐点などもあるわけもなく、縦横2メートルくらいの幅でただまっすぐに数メートル奥へとあるだけだ。

 部屋中にゴミが散乱しており、不衛生なことこのうえなかった。

 と、ゴミが動いた。


「おい、あそこのゴミが動いたよな」


 隣にいるゴブリンに声をかけるが、首を横に振る。


「ハムマルは見たよな?」


 ハムマルは聞くが早いか胸元から飛び出し、俺の指差してるゴミに向かって走っていく。

 ジャンプして、一気にゴミの山に向かってダイブ!

 そしてすぐにゴミの山からぴょこんと顔を出す。


「主様、この下に人間が倒れております」 


 ゴブリンたちに警戒態勢をとらせ恐る恐るそのゴミの山――汚れた服の山――をかき分けると、手足を縛られた小さな女の子が横たわっていた。

 酷く衰弱しているのか、浅い息のみ聞こえるがぴくりとも動かない。

 ハムマルと目が合った。


「どうすればいい?」


 返ってきた言葉は放置するのがベストだと思います、だった。

 昨日、人の命を奪ってしまった負い目があるからか、なんとかして助けてやりたい

 決めた、ダンジョンに連れて帰って治療する。

 

「そういうわけだ、いいな」

「主様がそう決めたのであれば、異論はございません。ですが、随分弱っているようですので急いだほうがよろしいかと思います」


 女の子を背負い、ダンジョンへと駆け戻る。少女の体はとても軽く、背中からは酷く弱々しい息が聞こえてくる。ついでに言うと、とても臭い。

 日頃運動することもなく、インドア派の俺だったが少女が軽かったのか、それともレベルが上がったおかげか、それほど苦にすることもなくダンジョンまで戻ってくることができた。

 少女をマスタールームの俺のベッドへと寝かせる。

 さて、次はどうするか。

 ハムマルの方を見る。


「身体的外傷は少しはあるものの、大したことはないようです。問題なのは栄養不足と疲労による衰弱かと思われます。即座に回復させる方法などあればよいのですが、このままですと遠からず命を失ってしまうでしょう」

「そうだ、回復魔法はないか? ヒールとか」

「確か、スキルリストにあったはずです。そうそう、これです」


 ハムマルが操作し壁に映し出されたものを見てびっくりした。ヒールの魔法を得るのに必要DPが5000となっている。俺の所持DPは5334。

 取得不可能ではないが、ここで5000DPも使ってしまうとダンジョン運営、それに俺の生活自体も困難になってしまう。

 ちらと横を見る。ハムマルと目があった。


「この娘は人間ではなく、魔族にございます。主様というか、このダンジョンの配下に登録することにより治療をするという方法もございます。今の段階でDPの無駄遣いは命取りにございますので、こちらの方法をお勧めします」

「魔族ってなんだよ、それに配下にはどうやってすればいい?」


「魔族とは、昔邪神側について戦った人間で、その後独自に進化していった者たちのことです。ダンジョンで召喚した以外の外にいる魔物などを配下にすることができます。あ、もちろん魔族もです。配下にはそのものが主様に仕えてもよいという言葉、もしくは意思が必要となります」

「わかった。おい、お前生きたいか? 生きたいなら俺の配下になれ」


 少し乱暴だったかもしれないが、意識を失っている少女の肩に手をあて揺さぶると、朦朧としているようだが瞼が少しだけ開いた。


「い、き、た、い、で、す……」


 口は微かにそして途切れながらも言葉を紡ぎだした。とその時少女の体が淡く白い光に一瞬包まれる。


「うまくいったようですね。ここをこうしてっと」


 映し出された画面には『エルル 治療 100DP』と表示されており、促されるままそのコマンドを実行に移した。


「これで大丈夫でございます。ご覧ください、このまま数時間眠ると目を覚ますと思いますので、そこで栄養のあるものを与えてください」

「助かったよ」


 少女をみると、呼吸は安定しており、スースーと穏やかな表情で眠っている。

 日本で言うと幼稚園児くらいだろうか、あどけない顔の少女の顔の汚れをそっと拭う。


 今更だが、配下がどういうものか説明してもらった。簡単に言うと、召喚モンスターに指示を出すことのできるもので、将官クラスのものということだ。

 召喚モンスターは召喚するとそのままだが、配下についてはDPを使って治療やスキルを覚えさせたりといろんなことができるらしい。

 結構優遇されているように感じるが、ダンジョンマスターに忠誠を誓わないといけないなどマイナス面もいくつか存在するということだ。

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