第2章:売られた少女
何か書ききる自信が無いです…。
次の日、私は朝起きる、自然に、蹴り起こされる事無く、普通に起きる、こんな事始めてだ。
「……………?」
父がいない、朝に父がいないのは珍しい、父は大体夜にどこかへ行って何かを持ってくるのだ。
「………………。」
静かだ、いつも父は私を怒鳴ったり、殴ったりするが、今日は何も無い。
とりあえず皿を洗う事にする、皿洗いは父にいつもやっておけと言われるので、癖みたいな物になっている。
井戸から茶色っぽい水を汲み、皿を洗う。
「……………。」
皿を洗うカチャカチャと言う音しか聞こえない、静かだ。
しばらくすると、父が帰って来た、誰か後ろにいる、女、じゃない、誰だろう。
「コイツです。」
「ほう、なかなか綺麗な顔立ちですねぇ。」
「でしょう。」
男だ、後ろの男の顔には線がいっぱい入っていた、なんだろう、見たことが無い、いや、よく見たら父にも少しあった、何なんだろう。
「言葉は喋れなかったんでしたっけ?」
「はい、代わりに何も知りませんから調教等はしやすいと思います。」
「フム、よろしいか?」
「あぁ、どうぞ。」
男は私に近付く、そして足を振りかぶって私の腹を蹴る。
「ガハッ!」
父の蹴りより重い、一発で息が苦しくなる。
「コヒュー、コヒュー…。」
息が上手く出来なくなって、変な音がでる。
「……………。」
男は黙って私を蹴り続ける、なぜか顔以外を、全身から血が出る、また、何か、嫌な感じがした。
「グァッ! カヒュー、カッ、カッヒュー…。」
息が出来ない、胸の当たりが膨らんだり萎んだりする、空気を吸ったり吐いたりしているからだろう、多分これが呼吸だ。
「ちゃんと何も言わないですね、安心しました、たまに喋れるのに喋れないふりをする輩がいましてねぇ。」
男が笑う、その笑いは、気味が悪い笑みだった。
「ッ………!」
「舌はあるようですね。」
「はい、ちゃんとあります。」
「舌が無いと出来る物も出来ませんからねぇ。」
男がまた、気味の悪い笑みを浮かべる。
なぜか体が震える、寒い訳ではないが、体が勝手に震える。
「では脱がして下さい。」
「はい。」
父が私の服を脱がせる、男の気味の悪い笑みが深まった。
「ほう。」
「どうですか?」
「いいですね、きっと売れますよ。」
「じゃあ!」
「えぇ、買います。」
父が嬉しそうな顔をする、何か良いことがあったのだろうか。
「いくら位ですかね?」
「そうですねぇ…40000ギル位でどうでしょう。」
「40000…せめて60000で……。」
「うーん…じゃあ間を取って50000にしますか。」
「! はい!50000でお願いします!」
「ありがとうございます。」
男は父に紙の束のような物を渡した、父は嬉しそうだ。
「じゃあ…。」
「はい、持っていって下さい。」
男は私に鉄で出来た何かを挟める。
「さぁ、おいで。」
「………?」
意味が解らなかった。
「来いと言っているだろう!!」
男が私を蹴り倒す。
「もう一度言う、来い。」
「………………。」
私は黙ってついて行く。
「では。」
「さようなら。」
「ごきげんよう。」
私は家を出て男の後ろにいる、まだ裸なので寒い。
「乗れ。」
男は木で出来た大きい箱の様な物に入るように促す、乗れ、と言う事は乗り物なのだろう。
私は黙って乗る、中には私と同じような人が沢山いた。
「うぅ……。」
「ほら、泣かないの。」
小さい子供の目から水が流れている、あれが泣くと言う事か。
「………?」
何で私はここに連れて来られたんだ?
あの男は誰だ?
ここにいる人は何だ?
何で皆裸何だ?
疑問は尽きない、父は私をどうしたいんだろう、私は殴られるだけの存在じゃなかったのか?
色々考えていると
「ねぇ、君。」
声が聞こえた、多分私を呼んだのだろう。振り返ると、綺麗な銀色の髪の綺麗な女の子供がいた。
「君も、売られたの?」
売られた?売られたとは何だろう。
私が首を傾げていると
「どうしたの?……もしかして、解らないの?」
私は首を縦に振る。
「成る程……君、喋れる?」
私は首を横に振る。
「喋れない、か……。」
「?」
よく解らない、何が言いたいのだろう。
「言葉は解るよね?」
首を縦に振る。
「じゃあ、馬車、って解る?」
横に振る。
「う~ん…。」
本当に何が言いたいのか解らない、確かに喋れれば便利だと思うが、私は喋れない、喋りかたが解らない。
「じゃあさ、言葉、教えてあげようか?」
「?」
解らない、私は喋れない、教えてあげる、とは何だろうか。
「まぁいいや、勝手に教えるね。」
「?」
この銀髪の少女と出会った事が、少女の運命の分岐点であるのだが、この時の少女は知るよしも無い。