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第1章:名も無き少女

私は7歳、名前は無い。


私は今、父に殴られている、父はいつも私を殴る、酒と言う物を飲んだ後は特にだ。


「お前何かがいるから!俺は!俺は!!」


父が私を何度も踏みつける、息が苦しくなる。


「疫病神が!死ね!死んでしまえ!!!」


疫病神とはなんだろうか、解らない。


「お前は、こうやって殴られる位しか、役にたたないんだ、よぉ!!!」


酒のビンで殴られる、私の頭から赤い何かが出る、ヌルヌルした、何か。


「お前みたいなクズでも、やっぱり血は出るんだな。」


これは血と言うのか。

覚える意味も理由も無いのに、単語だけ覚えてしまう。


「まぁ、血が出た所で、クズである事には、変わりねぇけどな!!」


また、殴られる、髪を掴まれて、殴られる。


「チッ!何か喋って見ろってんだよ!!」


父が私を蹴る、体が壁に当たり、口から血が出た、喋る、とは、なんだろう、解らない、解る意味も無い。


「オラァ!!!」


殴られる時や、蹴られる時、何かを、感じる、何かは解らないが、何か、嫌な事を、感じる。


「あーくそ、殴るだけでも疲れる、お前はいいよなぁ、殴られるだけで生きていけるんだから、そっちのほうがいいよなぁ!?」


そうなんだろうか……そうなんだろう、私は何も理解する必要は無い、ただ黙って殴られればいい、ただそれだけだ。


「あーくそ、早く死ねよ。」


父はいつもの口癖を言うと唾を私の顔に吐いて、自分の寝床に行った、私も眠る事にする。


――――

――


何だ?ここは、どういう事だ?

いつの間にか、手に鉄で出来た何かを挟まれて、裸で座っていた。

何か、大きい床があり、私の上に眩しい明りがあった、横を見ると、私と同じ様な格好をした人が、何人かいた。


「さぁさぁ、“これ”は言葉は喋れないが顔は綺麗、何も知らないから調教もしやすい“商品”だぁ!50000ギルからどうぞ!」


横の男の口から音が出ている、多分あれが喋ると言う事だろう、あまり解らないが、何かを紹介しているようだ、その何かとはおそらく私だろう。


「70000!」「おっ、そこのスーツが決まっているかた!70000!他ないか!」

「100000!」

「おっーと!若いお兄さん!100000!他!他ないか!!」

「150000!」

「お綺麗なレディ!150000!高い高い!どんどん上がっていくぞ!」

「200000!」

「200000行ったぞ!!他ないかぁ!!」


何やら大勢の人が喋っている、うるさいな。


「300000出しますわ!!!」

「おぉ!!!300000!!そこのドレスが素敵な淑女様でよろしいか? ではそちらのかた!!お買い上げありがとうございます!!!」


何だ、何が起こってるんだ、まったく訳が解らない。


しばらくすると、景色は暗くなり、私の意識も途切れる。


―――

――


ドゴッ!腹に衝撃が来た。


「(朝か………。)」


また、今日も1日が始まる、殴られるだけの1日。


「起きろゴラァ!!クズの癖にいつまで寝てんだぁ!!!」


父は私を殴る、いつもと同じように、これが毎朝続く、私と父の“日課”だ。


「たくよぉ…、飯だ、食え。」


父がトウモロコシを床に巻く、私はそれを拾って食べる、トウモロコシの味がする、あまり味が無いが、何か、もう少し、足したらもっと味が良くなると思う、何か、が何かが解らないが。


「ハァ…豚なら食えるが、コイツは食うだけ食って生み出すのは糞だけ、魔物より性質が悪い。」


魔物とはなんだろうか、解らない、きっと私より良いものなんだろう。


「ハァ…火魔法が使えればな……。」


火魔法とはなんだろうか、魔法は聞いたことがあるが、火魔法と言うのは始めて聞いた。


「……全部コイツのせいだ。」


そう言って父は私に近づく。


「お前がいるせいで!」


父は私を平手打ちした、叩かれた頬がジンジンとする。


「くそが!!くそが!!」


父は何度も平手打ちを繰り返す、何度も、何度も。


「ハァ…本当、早く死ねばいいのに。」


早く死ねばいいのに、か、本当は父がそれを望むならそうしたいが、死がどんな物か解らない、どうすれば死なのか、何をすれば死んだ事になるのか、解らない、解らないから出来ない。


「いっそ…奴隷にでも……あ!」


父は、何か閃いたようだ。


「フハ…フハハハ…フハハハハハ!!!何で今まで気付かなかったんだ!そうだ!売ろう!!売れば金が入るし、コイツもいなくなる!!」


父は嬉しそうだ、だけど私は、嫌な予感がしてならない、何か、こう、背中がゾクッと来るような、何かを感じていた。

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