プロローグ -Goatified-
「私に翼を授けてください。」
何度神に祈ったことだろうか。毎日。毎時。毎分。毎秒。2000年間ずっと祈り続けていた。しかし、彼は私の祈りを聞き入れてはくれなかった。
神は天地創造1日目に光の天使ラクスと、月明の天使ルナエを造った。
2日目に森林の天使ラフォーレ、水の天使アクア、風の天使ヴェヌタス、音の天使オーを造った。
3日目に愛の天使アモール、悲しみの天使ドロールを造った.
私は、神が天地創造3日目に造った8番目の天使、ドロールだ。私の使命は、世界の悲しみを管理すること。最初のうちは、大活躍だった。神は私を褒めてくれ、天使たちのなかでも得に良くしてくれた。しかし、17日後、神は9番目の天使、世界に幸福を与えるためにフェリシタスが造られた。
「悲しさを管理するだけでは、人は喜びや快楽を感じられないだろう?だからフェリシタスを造ったのだ。」
と彼は言った。フェリシタスは神にお応えするために人に幸福を与えて、与えて、与えまくった。与えまくるとどうなるか知っていますか? 人は悲しみを乗り越えるのです。私は、働きようがなかった。どう悲しみを管理しろと言うんだ。でも、あきらめなかった。私は休まずに、毎日働き続けた。また、神に褒められるように。また、彼に必要とされるために。そんな私を支えてくれていたのはたったひとり、月明の天使ルナエだった。ルナエは私を励まし、時には相談にも乗ってくれた、兄弟だ。ルナエは、夜の大切な光の源。ルナエが消えてしまったら、世界は混乱に陥る。そんな、大切な存在が私を大切だと言ってくれた。私はルナエにとって大切だと。アモールの力は、天使の私たちにも影響していた。神には、告げなかった。
次の朝、私はふと、背中に違和感を感じた。
「なんだろう、この感じ。感じたこと無い。」
あ、翼に何かひっかかっているのか。そんな軽いことだと思って、放っておいた。しかし、私は気づいていなかったのだ。私はもう既に_______。