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【絵本】冬の妖精と小さな種

掲載日:2026/06/10

こんばんは。

『暮色 ―Boshoku―』と申します。


菜の花に止まっているのは蝶々でしょうか。


おや?

妖精だったようです。

菜の花から落ちてしまったようですね。


この子は冬の妖精。

体も小さく、ちょっぴり恥ずかしがり屋さん。


ある日、冬の妖精のところに花びらの手紙が送られてきました。


『 invitation Please come to the castle tomorrow.

Fairy Queen』


妖精の女王様からのお手紙です。

なんと、お城への招待状ではありませんか。


それはとても特別なこと。


冬の妖精は明日が楽しみで楽しみで、

招待状を抱きしめて眠りました。


あさ起きると、冬の妖精は1番のお気に入りの帽子をかぶってお城へ飛んでいきます。


お城に着くと、そこには3人の妖精がいました。

冬の妖精は来るのがいちばん遅かったようです。


4人の妖精が揃うと女王様はそれぞれに大きな鉢を渡しました。


そして、種を選ぶよう言います。


布が広げられると、3人の妖精はすぐに選びに行きました。

冬の妖精も続きます。


ですが、体の小さな冬の妖精は押されてしまい、後ろへ転んでしまいました。


立ち上がって種を選びにいくと、

そこにはもう小さな種しかありません。


冬の妖精はその種を受け取ると、

大切そうに両手で抱きしめました。


さあ、種植えです。

真っ黒になりながら土を掘って種を植えました。


お水も忘れてはいけません。

それから、お天道様にも見守ってもらいましょう。


はやくおおきくな〜れとたくさんおまじないをかけ、冬の妖精は鉢と一緒に眠りました。


朝起きると、まずは水分補給。

それから素敵におめかし。

体を上に伸ばして、大きくなるおまじない。


お昼には花の蜜。

お天道様にさようなら。

お月様にごきげんよう。

そして、夜は一緒に眠るのです。


それから何日も何日も種のお世話をしました。

ですが、中々顔を出してくれません。


元気がないのかな?

冬の妖精は他の妖精の様子を見に行きました。


まずは春の妖精。

鉢からはもう芽が出ています。

春の妖精が歌を歌うと、芽も体を揺らして一緒に歌っていました。


次は夏の妖精。

鉢から真っ直ぐに芽が伸びています。

夏の妖精が花のラッパを吹くと、芽は葉っぱで手を叩きリズムにのっていました。


最後は秋の妖精。

鉢からはたくさんの芽が出ています。

秋の妖精が芽の絵を描くと、次々と鉢に並んでいきます。

たくさんだと思った芽は秋の妖精が描く絵だったのです。


とぼとぼと帰る冬の妖精。

どの芽もとても楽しそうでした。

でも、自分には歌を歌うことも、ラッパを吹くことも、絵を描くこともできません。


鉢を抱きしめることしかできないのです。

冬の妖精は小さな種にごめんねと謝りました。



それから少し経ったある日、

冬の妖精が目を覚ますと、鉢から元気な芽が出ていました。


はじめましてと挨拶をすると、芽も体を揺すって挨拶をしてくれました。

嬉しくて冬の妖精は飛んで喜びます。


そんな時、またお城へ呼ばれました。


鉢はとても重いので、葉っぱに乗せて川の水に運んでもらいましょう。


お城に着くと、他の妖精達は来ていました。


その鉢にはもう立派な花が咲いています。


春の花 チューリップ

夏の花 ヒマワリ

秋の花 コスモス


冬の妖精は、まだ芽しか生えていない自分の鉢を見てとても悲しくなりました。


それから毎日、おまじないをかけました。

はやくおおきくなれ、はやくおおきくなれ、と。


雨の降る日も、風の強い日も、悲しくなる日も、

どんな時だって冬の妖精は諦めません。


それでも大きくならず、冬の妖精はとうとう泣き出してしまいました。

芽を抱きしめて泣きます。


その涙が芽に落ちると、優しく光りだしました。

そして、蕾になったのです。


すると、春と夏と秋の妖精がやってきました。

つぼみを見た妖精たちは、みんなで話し合います。


春の妖精の歌に合わせて、夏の妖精がラッパを吹き、秋の妖精は蕾が寂しくないよう花の絵を描き、冬の妖精は音に合わせて絵の花と踊りました。


それに合わせて蕾も揺れています。

冬の妖精はたちまち笑顔になっていきました。


暖かな光で目を覚ました冬の妖精。

その光は鉢の方からでした。


眠い目をこすって鉢に近づくと、

そこには立派な花が一輪咲いていたのです。


白くてとても綺麗な花です。

冬の妖精はやっとあえたね、と抱きしめました。


花は冬の妖精に優しく口付けをします。


鉢をみんなでお城へと運びます。


女王様は妖精達をお城の秘密の扉へと呼びました。

女王様について行くとそこは……


四季折々の花が咲きほこる花園でした。

妖精達が咲かせた花もあります。


女王様は、冬の花 クリスマスローズ も花園へと移しました。


妖精達が花と踊る姿は、

それはそれはとても美しかったのです。


ご高覧いただき感謝の至りでございます。


YouTubeさんの方に、この物語の絵本版(作・絵 暮色)を投稿しています。

リンクはランキングタグにあります。


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