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ソレイオス教聖典  作者: なうかん
リディアの冒険
8/10

 次の日、リディアは昨日の3人と共にヴァルム迷宮に潜った。

 洞窟に入ってすぐタリアがリディアのところに来て言った。

「リディア、昨日敵を見つけるのが大事って言ったのを覚えているかい?」

「はい。それが生死を分けるって言ってました」

「そうだね。あんたほどの魔法士なら<探知(サーチ)>は当然使えるんだろう?迷宮に入っている時は常に<探知>を発動しとくんだね。」

「常に、ですか?」

「そうだよ最初はきついけどね、慣れれば無意識で隠れた魔獣も見つけられるようになるさ」

「頑張ります」

「うんうん、素直で良いねえ」

 リディアは迷宮を歩きながら<探知(サーチ)>を発動させる。今のリディアの<探知>の限界は約十歩の範囲。自分の周囲に3つの魔力の塊、つまり仲間がいるのが分かる。集中を乱すと<探知>は切れてしまう。ただ歩くだけでも何度も<探知>が切れた。三階層に着く頃には歩きながら<探知>を維持できるようになったが、戦闘が始まるとすぐに切れてしまう。

 探索自体は順調に進んで昼までに七階層に到達した。七階層から八階層に繋がる階段の前には牛の魔獣、魔牛が立ちはだかっている。4人は戦闘体制に入った。この魔牛の角には強い魔法耐性があり、肌は頑丈でなかなか刃を通さない。

タリアは強力な魔法攻撃のための詠唱を始めている。

イヴァルとランスは魔牛に向かって駆け出した。魔牛もこちらに気がついて突進してくる。リディアは魔牛の目の前に<土壁>を出現させた。魔牛は土壁に激しく衝突した。土壁は崩れ落ちたが魔牛の突進も止まった。すかさずイヴァルが魔牛の右の後ろ足を切り落とした。リディアの<水刃>は魔牛の硬い肌に阻まれて大きな傷を作れない。

ランスが魔牛の正面から突撃して左目に短槍を突き刺した。魔牛は悶えて暴れ回りイヴァルをその巨体で弾き飛ばし、角を振り回す。ランスの鎧が角に引っかかってランスは振り回されて投げ飛ばされた。魔牛はリディアとタリアの方へ突進を始めた。足が一本無いせいか先ほどの突進と比べるとその勢いは劣る。

リディアは冷静に狙いを定めた。

「<石弾(ストーンショット)>!」

リディアが放った<石弾>はランスの突き刺した槍の石突に命中。槍はさらに押し込まれた。しかし魔牛の突進は止まらない。

 タリアが杖を魔牛に向けて構えた。3人が戦っている間にタリアはすでに詠唱を終えている。

「<雷撃>」

タリアの雷はランスの槍を伝って魔牛の体内を駆け巡った。魔牛は倒れて死んだ。リディアとタリアはそれぞれランスとイヴァルに<回復(ヒール)>をかけた。魔牛の魔石と素材を取って4人は八階層に降りた。

それ以降は魔牛ほどの魔獣に出会う事もなく十階層まで到達した。十分な量の素材を確保して地上に戻った。

4人は夕方に迷宮を出た。ギルドで素材を売ってリディアが十階層に到達した事を報告した。十階層到達によってリディアは一人前とみなされ銀級のギルド証をもらった。

一般に見習いの戦士は銅級、一人前の戦士は銀級、ギルドにとってなくてはならない戦力となる戦士には金級のギルド証が渡される。イヴァルとランスは銀級、タリアは金級だ。

 その日はリディアの銀級証獲得の祝いのために4人で酒場で宴会をした。この4人のパーティはリディアを一人前に導くためにギルドが組んだものだったのでリディアの銀級昇格と同時に解消になった。もっともリディアの実力はほとんど一人前と言えるほどであったので教えることも少なく、たった2日で終わった。それでもこの2日、4人は対等な仲間として共に探索をして絆を深めていた。宴会は大いに盛り上がった。

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