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ソレイオス教聖典  作者: なうかん
リディアの冒険
10/10

 翌日は、モナイルの街からサラドガまで歩いた。その翌日はサラドガからボワティまで歩いた。

 ボワティからゼレバハートまでは一日の距離である。ようやく目的地まで後少しというところまで来た。翌日、リディアはゼレバハートに向かった。不思議なことにボワティからゼレバハートへの道は全く人を見ない。太陽が真上に登る頃、それは現れた。

 突然、リディアの方に向かって無数の石が飛んで来た。リディアは咄嗟に〈障壁〉を展開する。しかし四方八方から飛んできた石の全ては防げない。いくつかの石はリディアに当たっている。リディアは痛みに顔を歪めた。後ろから飛んできた一つの石がリディアの後頭部に直撃した。一瞬視界がぼやけ次の瞬間リディアは倒れていた。しかしリディアは戦士、痛みを堪えて立ち上がる。石つぶては止まっている。しかし小柄で緑色の肌をしたものたちがリディアを囲んでいる。ゴブリンである。棍棒のようなものを持っているのもいるが、大半は剣や槍などの武器を持っている。リディアの視界はまだぼやけている。リディアは<探知>を発動させて腰から魔法棒を抜く。<探知>でゴブリンの立ち位置を見てそのまま全てのゴブリンに<火矢(ファイアアロー)>を放つ。ほとんどのゴブリンが<火矢>に撃ち抜かれて死んだ。残りは二匹。リディアは魔法棒を構えた。すると二匹のゴブリンはそれぞれ別の方向に逃げ出した。逃げる背に<火矢>を撃ち込む。一匹はそれに貫かれ死んだ。一匹は<火矢>の狙いが外れて逃してしまった。リディアは<探知>で注意深く周囲を探る。もう近くにゴブリンはいないようだ。

 リディアは腰をおろして自分の頭に<回復(ヒール)>をかける。視界が元に戻った。他の傷も治しながらリディアはふと思った。今の戦いでは<探知>を使いながら戦えた。もし使えていなかったらどうなっていたのだろうか。

 リディアはゴブリンの死体を数え、右耳を切り取った。全部で十匹だった。

 そこからの道ではリディアは常に〈探知〉を発動したまま歩いた。何度か探知の範囲内に数匹のゴブリンが見えたので、その度に<火矢>で殲滅した。そうして日が落ち切る前にゼレバハートの門を潜った。

 ゼレバハートに<銀鷹の止まり木亭>という宿屋があった。銀鷹は魔獣だ。しかし人に危害は加えない、はるか上空を大きな銀の翼を広げて飛んでゆく。そして何より珍しい。滅多に発見されることはなく、銀鷹を見たものには幸運が訪れるという。リディアは<銀鷹の止まり木亭>に泊まることにした。

 翌朝、リディアはゼレバハートのギルドに行った。驚くべきことに、ギルドに入ると短槍使いのランスがいた。ランスはリディアがゼレバハートに行くと聞いて大急ぎで旅の用意をして追いかけてきたのだった。しかし、いざゼレバハートに着いてみると自分より先に出たはずのリディアの姿がない、ギルドで聞いてもリディアはまだこの街に来ていないようだった。ランスはリディアに何かあったのではないかと心配した。

 ランスはギルドのドアからリディアが入ってくるのを見ると泣いて喜んだ。リディアはテスという町に数日留まっていた事と自分の新しい武器について話した。ランスは魔法棒に興味を示したが槍使いなので戦闘中は両手が塞がっていて使えないと悔しがった。

 また、リディアはバフェットからゼレバハートの道中でゴブリンに襲われたことは話したが危うく死ぬところだったということは話さなかった。ランスは自分もその道でゴブリンに襲われたと話した。どうやらゴブリンはあの道を通りかかる人を襲っているらしい。そのせいで商人も戦士もゼレバハートに行く者は減った。この街はさながら陸の孤島と化した。

 ゴブリンは魔獣ではない。太古の昔、神ロゴスは人が人を喰らうのを見てたいそうお怒りになり、その人を呪って神の地から追放した。呪いによって人は小さく卑しい緑の生き物になった。これがゴブリンとなったのだという。

 ゴブリンに捕まった男は殺されて食われ、ゴブリンに捕まった女はゴブリンの慰み者にされた後、殺されて食われる。このゼレバハートの街はそんな生き物の脅威に晒されていた。当然、ギルドの依頼はほぼ全てゴブリン討伐である。掲示板からバフェット街道のゴブリン討伐の依頼を探し、受付に持っていって先ほどの右耳十個を渡した。ゴブリンは右耳二つで銀貨一枚の価値である。リディアは銀貨5枚を受け取った。そしてリディアとランスはパーティを組んだ。パーティ名は<銀鷹>。リディアがパーティを組むのは最初の探索依頼だった。ランスもあれ以来ずっとソロでやっていたようだ。

 パーティを組むと、依頼の報酬をパーティメンバーなら誰でも受け取れるようになる。他にも商人の護衛はパーティの方が受けやすい、中にはパーティでなければ受けられない依頼もある。しかしパーティというのは本当に信頼できる者と組まなければ裏切られ、金や命を奪われることになる。故にギルドにはソロの戦士が多いのだ。

 この日は、リディアとランスはゼレバハートの東側にあるゴブリン巣の殲滅に向かった。2人でゴブリン三十匹を殺した。ランスは<探知>が使えないにも関わらず、まるで背中に目があるかのように後ろからのゴブリンの攻撃も見事にさばいた。リディアはもう完全に戦闘中に<探知>を使えるようになっていた。

 ギルドに戻り銀貨十五枚を受け取った。五枚ずつ分けて、<銀鷹の止まり木亭>で残った銀貨を五枚全て使ってたくさん飲み食いした。その日からランスも<止まり木亭>に宿泊した。宿の亭主は2人が<銀鷹>という名のパーティを組んでいると聞いて、本当に<止まり木亭>に銀鷹が来たと喜んだ。楽しい夜だった。

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