「スパイの殺人事件」
「パティパッティ」
「はい…」
「最近はどうですか?」
「特に何もありません」
「何かやりたいことや欲しいものはありますか?」
「何も欲しくないし、何もやりたくない」
「ジョニーさん……
「行こう、ワトソン」
「ちょっと待って、ジョニーさん。ジョニーさんは本当に夢を諦めて、全てを手放すつもりですか?」
「いいえ、この世界は何をくれるの?新しいゴジラ映画?精神科医に会うことすら嫌だって言ってるのに、治療や薬は受けないって言ったでしょ。浜田さん、車に乗ってください。行きましょう、ワトソン」
ジョニーは車に乗り、浜田も後に続いて乗った。
「捜査を続けよう、ワトソン。警察が民間探偵に捜査を依頼するなんて、理にかなっていないよ」
女探偵ワトソンは、ロシアの元KGBエージェントの殺人事件現場に車で到着した。現場には遺体はもうなかった。女探偵ワトソン、ジョニー、浜田は車から降りた。
「警察は弾道が向かいのビルから来たと言っていたよね?」とジョニーが言った。
ワトソンは「はい」と答え、ジョニーはそのビルの最上階にすぐに上がっていった。
「ジョニーさん、私が言ったことについて考えてくれませんか?」
「ごめん、浜田さん、考えたくないんだ」
ジョニーはそのビルの最上階に到着した。その階には何もなかった。窓には外から見えないようにフィルムが貼られていたが、ジョニーは現場を見ることができた。ジョニーは女探偵ワトソンに電話をかけた。
「ワトソン、窓にフィルムが貼られている。死者は銃撃手を見ていないが、銃撃手は死者を見ている。このビルには弾殻も何もない、金もないし、夢もなさそうだ」
「こちらも何もないわ」
「普通の殺人事件だと思う?」
「そうかもしれないね」
「シャーロック・ホームズが『緋色の研究』で言ったことを覚えていますか?」
女探偵ワトソンとジョニーは同時に言った。「普通のことほど解決が難しいのは、手がかりが何もないからだ」
ジョニーは続けて言った。「彼はこう訳してはいないけど、要するに同じことだ……待って、たとえ解決できない事件でも、警察は事件が閉じるまで捜査を続けるはずだ。なぜ彼らは私たちに手伝いを頼んだの?死者は元スパイだよね?」
「はい」
「関係があると思う?」
「その点についてはまだ考えていない」
ジョニーはビルから降りて、女探偵ワトソンのところに向かった。
「窓にはフィルムが貼られている。誰かを狙って撃つなら、銃口を差し込むだけでいい。死者は狙撃されるとは思わないだろうし、弾殻もない。それに警察が民間探偵に助けを求めるなんて、理にかなっていない。あれ?待って、監視カメラはどうなった?警察は監視カメラを見たのかな」
「見たけど、銃撃手はカメラに映っていなかった」
「普通の殺人事件ではないね」
「ジョニーは何が最もありそうだと思う?」
「これはスパイ活動の事件だ。スパイが別のスパイに対してスパイ行為をしている。スパイ同士で争っているから、犯人にたどり着く手がかりが何もない。銃撃手はカメラに映らない。もし神のように優れた能力を持っているのではなければ、チームで協力しないと100%の成功は難しい」
「犯人もスパイなの?」
「チームで行動しているなら、その可能性は高い。なぜ冷戦時代の退職したスパイを殺す必要があるのか?動機がない。目撃者も証拠も、犯人を見つけるのは難しい。奇妙なことは、銃撃手がどのカメラにも映っていないことだけど、実際にはこれも普通だ。人を殺すのに、なぜ捕まるようなことをするのか?犯人をどうやって見つけるんだ?」
「スパイ活動をやってみない?」
「スパイ活動?」
「もし私たちがスパイ行為をして、何か動きがあれば、犯人が本当にスパイだという証拠になる」
「でも、なぜ死者が殺されたの?冷戦時代のスパイが退職しているのに、ただ観光に来ていただけで殺されるなんて。私たちは何をスパイするんだ?警察は被害者について何か言っていた?」
「毎日、小さな映画会社の向かいのカフェでコーヒーを飲んでいた。時々、その映画会社の人と話をすることもあった」
「これだよ、これについてスパイ活動をしよう、ワトソン。始めよう」
ジョニーと浜田は、その映画会社の向かいにあるカフェで待っていた。一方、ワトソンはその映画会社にスパイとして潜入していた。
「訴えられたりしないかな、これ?」
「ジョニーさん、本当に私が渡そうとするものを受け取らないの?」
「受け取らないよ。誕生日ケーキは思い出として取っておいても腐るだけだから、結局食べないといけないでしょ?過去の誕生日で何のケーキを食べたか覚えてる?23年も経って、やっと人にかっこいいって言われたけど、昔は『シロアリみたいな顔』って言われてた。今更、何かの提案を受けたり、夢を追いかけたりする必要があるの?」
「ジョニーさんは私より1歳年上ですよ。私は22歳、ジョニーさんは23歳。まだまだいけますよ」
「日本の有名な俳優がこんなことを言うの?それで、もう演技の仕事は受けないの?」
「でも、もし私たちが追わなければ……」
「夢は生きているの?歩けるの?代謝とかあるの?ヘモグロビンすらないんじゃない?夢に向かって『ねえ、夢、好きだよ。結婚しよう』って言ったら、夢が『ごめん、君とは友達としてしか思ってない』って言うの?マジで?夢には誕生日があるのか?私の誕生日は1999年9月10日。夢も1999年9月10日に生まれたの?23年間、『シロアリみたいな顔』って言われ続けて、今になってやっとかっこいいとか勉強ができるとか言われる。小学校1年生から大学卒業まで、試験前に一度も勉強したことないのに、落第したこともないし、留年もしたことない。卒業できたのは本当に運が良かっただけ。23年間、褒めてくれる人も助けてくれる人もいなかったのに、急に私に興味を持ってくるのはどういうことなの?この世界は一体どうなってるんだ!!!???」
「じゃあ、ジョニーさんはただワトソンさんを手伝うだけなの?……本当にワトソンさんの相棒になるだけなの?」
「どうして?子供の頃は何になりたいか聞かれたけど、大人になったら誰も夢を実現してくれなかった。どうして私は、みんなが遅れてから返事をしないといけないの?」
その時、ジョニーの携帯電話が鳴った。ジョニーは電話に出た。
「犯人はスパイだ」
「もう分かったの!?」
「10人がいる。俺を追い詰めて撃ってくるんだ」
「本当にそうだ。ワトソン、出られる?」
「出られる」
「今すぐ出てきて」
ワトソンが走り出ると、黒い服を着た男10人が後ろから追いかけてきた。
「ジョニーはどう思う?」
「スパイは派手に動かない。車に乗って、目立たないところへ誘導しよう」
ワトソン、ジョニー、浜田は車に乗り込み、ワトソンが荒れ地の草原へ運転した。そして3人は車から降りた。黒い服の男たちも車を追いかけて降りてきた。
ジョニーは自分のサムライソードを抜き、1人でその男たちに近づいていった。
「待って、ジョニーさん」
10人中9人が銃を取り出して撃とうとしたが、ジョニーはその9人を素早く斬り倒した。残るは1人だけ。
「どうして自分がスパイだってすぐに教えたの?良いスパイの条件じゃないよ」
「計画が間違ってたんだ。何か聞きたいことある?俺はずっと苦労してきた。楽な時なんてなかった。頭を使わなきゃ……」
ジョニーは怒り、男に何度もパンチを浴びせて倒した。その後、ジョニーはサムライソードでその男の足を再び斬った。
「お前が俺より苦労してるなんて言うな。お前は楽をしたことがないし、俺より頭が良いなんてこともない」
終わり。