王城案内と部屋割り
城の兵士と姉様そして、ジングリアによる城の案内が始まった。
「まず、城は南棟と西棟があり、今居るのは西棟で主に西棟は国家会議などの会議室、執務室などがございます。こちらへ」
そう言って、姉様はお客さんが来た時に通す部屋をできる限りで見せていた。
この国への召喚者とはいえ、信頼できる相手ではない。
そんな人に国の中枢を担う場所を堂々と見せるわけにはいかないという事だろう。
「なぁ、あのお姫様、可愛くねぇか」
「そうかなぁ、僕はあの文字出してた人の方が興味あるけど」
説明中、鳴宮と華深が話している。
鳴宮に姉様だけは渡したくない。
もし、もし、姉様が鳴宮に振り向く事ががあったら何がなんでも止める!
だけど、鳴宮の姉様を見る目はイヤらしく顔と財産、地位を目当てにしている顔だ。
そんな奴に姉様が振り向くとも思えない。
逆に、華深は研究者気質があるのかジングリアの魔法文字が気になっているようだった。
ジングリアと華深は気が合いそうな気がする。
お互いによく分からない専門知識で語り合っている様子が簡単に浮かぶ。
「さて、では次は南棟に参りましょうか。南棟は私達王族の書斎、そして、召喚者方のお部屋を用意しております」
そうして南棟に向けて歩き出した。
「何言ってるか全然分かんないんだけど。香坂くんさぁ、分かんないわけ?」
「はぁ⁉︎なんとなくで察せよ。まぁ、多分この棟が俺達に用意された部屋って事だろ」
「ふぅん、あっそ」
中冨は不満そうに素っ気なく答えた。
「お部屋は三部屋用意させております。防犯上、お一人になるのは避けていただきたくこのような形になってしまいますがご理解下さい」
姉様は少し申し訳なさそうに話している。
「三部屋しか用意されてないんだろ?男子は三人一部屋で良いけど、女子はどうすんの?先生もいるし」
雫のその後、俺達の話し合いは一悶着あった。
それは、もちろん部屋割りだ。
三部屋しかないこと、防犯上の面で一人部屋にならないようにすること、この注意を踏まえなければならない。
俺を含めて全員で八人、そのうち男子は四人、女子は四人。
そして、じゃんけんで男子の方が負けたため、男子は全員で一部屋、女子は四人で二部屋となった。
男子の方では鳴宮がなんか喚いていたけど無視だ、らちが開かない。
女子は先生の取り合いと中冨の押し付け合いが主だったと思う。
流石に中富の押し付け合いはオブラートに包んで話しているけど言葉の隙間から見えてくる押し付け合い。
逆に先生は色々引っ張りまわされていた。
で、決まったのが先生と中冨、絢香と春川の部屋割りになった。
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