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著者:山崎エイ
参照曲:「砂の惑星」(ハチ)
少女は砂の惑星を歩いていた。
目の前に広がっているのは黄土色の大地。草木の緑は少しも見当たらず、枯れ果てた道が続いている。荒野に風が吹き荒れるたびに、高々と砂煙が舞い、少女の眼に飛び込んでくる。
目元をこすりながら、少女は過去を思い出していた。
かつて自分が見た景色に、思いをはせる。
そこはこの場所とひどく似ていて、草木が生えることなどはなく、ただ砂漠が広がっているばかりだった。寂寥感の漂う、砂の世界があるばかりだった。
けれどもそれは白い砂だった。雪のように白い砂だった。
その雪原のような荒野には、ぽつねんとそびえたつ大樹があった。少女はよく、その樹のもとで虹色の鍵盤を叩いていた。少女はその遊びが何よりも好きだったのだ。
しかし、それもすべて昔の話である。少女はふと、そんな景色を思い返しては、喪失感を覚えた。
枯れ果てた道はどこまでも続いている。少女の旅に終わりはない。
また一歩踏み出すため、少女は砂の惑星を蹴った。