表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
my X  作者: 黄昏のマオ
なんでも屋と三月の訪問客
9/24

なんでも屋と輩退治と確認事項

「ようやく7人目ぇ!オラァ!」と大通りに僕の声が響く。


蔡姫さんの親父さんに依頼を受けてから、はや2週間。いざ一緒に外に出てみたら、まあストーカーが出るわ出るわ。今7人目を捕まえて、あと3人と思ったら大間違い。


「蔡姫さん!コイツの顔は知ってる?」首裏に手刀をキメて、ノびているストーカーの顔を蔡姫さんに見せる。


「…すみません~。存じ上げないですぅ~。」と蔡姫さんは首を振る。


そう。何を隠そうこのお嬢様、顔を知っているストーカーが10人というだけで、実際にはそのおよそ3倍はいたのだ。


「そうですか、ありがとうございます。…もしもし、今お時間よろしかったですか?…はい、また一人捕まえたので回収お願いします。……はい。……いえ、まだ全てではないようです。…はい、ありがとうございます。では、失礼します。」返答を聞いて、すぐさま親父さんに連絡。身柄の回収を頼んだ。


「こんな人までいたんですねぇ~。」と輩の体を植物のつるで縛り上げながら、蔡姫さんが言った。


こんなにめちゃくちゃな人数のストーカーに追われてたのに、何で僕が発見した日は襲われてなかったんだよ。マジの奇跡じゃねぇか。


『テンテケテケテケテテンテテンテン…』自分の声で設定した僕のスマホが鳴った。


「もしもーし、水仙?そっちはどう?」


『八馬土さんがストーカーの頭をつまんで持ってます。今顔写真送りますね。』どうやらうまくいったようだ。


送られてきた写真を蔡姫さんに見せると、「あぁ~、この人は存じてますぅ~。」と笑顔で言った。これでようやく、顔見知り3人目だ。


「よっし、水仙。一度事務所に戻って休憩だ。二人ともさすがに疲れただろ?」と提案する。


『はい、もちろん。理解できないバk…じゃなかった、輩の相手するのって、結構疲れますね。』通話の奥で八馬土が『俺は楽しいけどな!』と言っている。違う。今はそういう事言ってんじゃないの。


「じゃあ、また後で。」


『はい。あ、蔡姫さんと二人だからって変なことしないでくださいよ?』ちょっと声色を変えて水仙が言う。ジト目で言ってるのが目に浮かぶよ。


「安心しな。そんなことには絶対ならねぇから。もう切るぞ?」できる限り爽やかに返す。


「…はい。また後で。」まだちょっと納得がいってないようで、返事までに少し間があった。早く帰ろ。






「取り敢えずお疲れさま。はい、これコーヒー。」捕縛した輩どもを事務所の隅に投げてから、みんなにコーヒーを入れた。


「ありがとうございます。」「サンキュー!」「どうもぉ~。」


「んで、これからのことだけど。今まで捕まえた輩の数を考えて、もう少し効率化を図ろうと思う。」


ズズズ…


三人とも静香にコーヒーを飲みながら僕の話を聞いている。


「今までは安全のことを考えて、僕と蔡姫さん、八馬土と水仙の2人ずつのチームで捕まえてたけど、これからは蔡姫さんを中心に、僕たち3人が円形になるように囲んで、各々が輩を捕まえる方向で行こうと思う。」


「ちょっと待ってください。効率化を図るのは賛成ですけど、それ、蔡姫さん相当危険じゃありません?」と水仙が当然の質問をする。


「あぁ。それを確認するために、蔡姫さんさえよければ、スキルを簡単に見せてもらっていいかな。」と僕は蔡姫さんに向き合う。


「いいですよぉ~。そもそも私の問題でしたしぃ~、解決のためにしっかり考えてくださったいるんですからぁ~。こちらも誠意を見せますともぉ~。」とニッコリ笑顔でムンッと両腕をグッとして見せた。


「じゃあ、移動しますか。いつもの場所にレッツゴー!」僕が拳をあげると、


「「「おぉー!」」」3人がそれに合わせて声を上げた。






「それじゃぁ~、行きますねぇ~。」蔡姫さんがこちらに手を振る。


僕たちは、八馬土と僕が戦った広場に来ていた。そこで蔡姫さんにスキルを使ってもらおうとしている。ちなみにサンドバック役は八馬土。


「”さぁ育ち給え 青々と茂る緑で満たせ”【新緑たちの急成長(シュネルス・ヴァックストゥーム)】」


蔡姫さんが詠唱を唱えると、カノジョの掌から植物のつるがぐんぐんと伸びていく。


「”さぁうねり寄れ 縛り 繋ぎ 我が両の腕の如くに”【這い寄る緑蔓(ウェリッグ・リーブン)】」


もう一つ詠唱すると、掌から伸びたつるがうねうねと動いて、八馬土の体を縛り上げた。


「うおっ!?これ結構巻き付く力ぁ強くねぇか!?」八馬土が身をよじりながら叫んでいる。


八馬土が身をよじることしかできねぇのなら、かなりの強さだな。縛る強さを変えられるのなら、汎用性は高い。


「蔡姫さん、他にはある?」


「えっとぉ~、パッと出せるものであればぁ~… あれが簡単かなぁ~。」とポケットから植物の種を取り出す。そして、「八馬土さ~ん~、ちょっと硬めに防御張っててくださいぃ~。」と呼びかける。


「任せろー!”固まり転がれ”【犰狳(あるまじろ)】!」しっかり防御技を張る八馬土。


「じゃぁ~、行きますねぇ~。”さぁ育ち給え 青々と茂る緑で満たせ”【新緑たちの急成長(シュネルス・ヴァックストゥーム)】、”さぁ移り行け 汝等の力を我等の物に”【新緑の生命源移動(ヴィタリテッド・バターグン)】、”さぁ撃ちぬけ 狙い 走り 川に舞う蛍の如くに”【大自然の気弾(アンラーグ・クーグェル)】」


3段階詠唱?何か理由でもあるのかな。エネルギー変換に時間がかかるが、まぁそのままでも自営程度なら問題ないか。


カノジョが詠唱を3つ唱えると、始めと同じように掌から植物が伸びてきた。その後、その植物がエネルギーの結晶に変化した。そしてカノジョはその結晶を光球に変化させて、正面に撃ちだした。


ダァン!


八馬土の張った土の防御膜にあたった時、派手な音を鳴らして光球と土の膜が同時に弾けた。


「どわぁ!」八馬土はちょっとではあるが後ろに吹き飛んだ。


「わぁお。」僕は素直に驚いた。水仙は僕の隣で口をあんぐり開けたままになっている。


「こんな感じですぅ~。」と蔡姫さんがこちらへ振り返った。


「あぁ。とっても。僕はてっきり、戦闘系スキルはあまり使い慣れていないものと。」


「あぁ~、それはですねぇ~。私につきまとっている方たちの処理を自分でしていたことがありましてぇ~。」


マジかよこの人。お強い系お嬢様だった。


「オッケー。これなら大丈夫だな。じゃあ、明日からそれで行こう。今日は解散!帰って寝ましょう!」


てかもう、効率化とか言わずに残りの輩全員で一気に来てくれねぇかな。そうなったらこっちの手間が随分と省けるんだけどなあ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ