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my X  作者: 黄昏のマオ
なんでも屋と二月の助手
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なんでも屋と消えた恋人と実力者?

「どうぞ、紅茶です。」カノジョに頼んで、飲み物を出してもらいながら僕と依頼者の男性は向き合って座った。


「ありがと、水仙。それで、詳しい内容は…?」


「はい… 私の恋人が少し前から、一人で出かけることが増えたんです。そんなことはないと信じたいんですけど、浮気の可能性も捨てきれなくて。」依頼者の男性は不安げな様子だ。


「ほう… ちなみにご自分で追いかけてみたことは?」


「一応は。でもいつも強風が吹いたり、間をトラックが通ったりして見失ってしまうんですよ。」


「なるほど… わかりました。引き受けましょう。」


「ありがとうございます!」


「では、あなたのお名前を聞かせてください。」


「えと、樋口悠太(ひぐちゆうた)です。」


「わかりました。では。」そう言って僕は立ち上がる。これしないと気分が上がんないからね。


「我が、六木火垂の名において、依頼者”樋口悠太”に誓おう!僕は必ず、あなたの依頼を完遂しよう!」


「よろしくお願いします!」


よっし!カッコよく決まった!




「私の時と若干口上違ってませんでしたか?」樋口さんが帰った後、カノジョが準備を進めながら言ってきた。


「大事なのは依頼者に誓うこと。口上なんて言っちゃえばどうでもいいもんだからね。」


「ほういうおんあんれふか(そういうもんなんですか)?」カノジョは淡い色の口紅をつけながら言う。


「そういうもんなの。さ、早く調査行くよ。」


「はい!」






そうして僕たちは中華街に来ていた。樋口さん曰く、恋人がよく来ていたらしい。何か掴めるといいんだけど… そう思っていると、


「お前ラ、見たことないやつらだナ。」


と声をかけられた。誰だこの女の人。


「えっと、どちら様ですか?」


(うぉー)は”どちら”なんて名前じゃないヨ!(うぉー)は”(チェン) 美蓮(ミィリェン)”っていうヨ!」


「そ、そうですか…」やばい。めんどくせぇ奴に絡まれたかも知れない。まぁ、情報源ぐらいにはなるかな。


「あの、陳さん。」


「陳でいいシ、敬語なんて使わなくていいヨ!」


「わかった。じゃあ陳。この人見たことある?」僕は件の恋人の写真を見せた。


「ん~?ちょっと待っててネ。」そう言って、彼女は近くのお店に入っていった。彼女の家が経営してる店なのかな?


「お待たセ~」と彼女がスマホを片手に出てきた。「こいつを探してるのカ?」


そう言って彼女が見せてきたスマホの画面には、件の恋人が映っていた。まじか。早速情報ゲットだ!


「そうそうこの人!この後どこ行ったか分かる?」


「ん~そうだナ~。多分あっちじゃないかナ?」彼女が指さした方向は、大きい通りから少し外れた路地だった。


「ありがとう、陳!」


「こちらこそだヨ~!あと、そこで聞き込みをするなラ、我の名前を言っても構わないヨ!」僕がお礼を言うと、元気に彼女が返してきた。


「わかった!ありがとう!」


お礼を言いながら、僕らは路地に入っていく。元気でいい人だったなぁ。けど、『我の名前を言ってもいい』ってどういう事だろう?




そんなこんなで聞き込みをした結果、僕たちはある倉庫街に来ていた。

意外と人通りがあり、なにも怪しい動きはできなそうな場所だった。

それにしても、すごい勢いで情報提供してくれたなぁ、路地の人たち。なんでだろ?


「こんなとこでなにしてるんですかね?恋人さん。」水仙が不思議そうに言う。


「まぁ、ここまで来たんだ。すぐにわかんだろ。」


「それもそうですね!」


そう言って足を踏み入れた瞬間、音もなく景色がまるっきり変わった。

気付けば僕らは宇宙にいた。


(は?)


思考が止まった。

あぁ、水仙も宇宙ネコ状態になっちゃった。

んぃやいや!んな事今はどうでもいい!

ここまじで宇宙じゃん!酸素ねぇ!シぬ!

そう思った僕はすぐに水仙を抱きしめ、地球に向けて足から炎を噴射した。


ドバッシャァァァァァァン‼‼‼‼


しばらくして、僕らは元居た倉庫街の近くの海に落ちた。


「「ブハァ!」」二人同時に海面に顔を出す。


急いで呼吸と思考を整える。いや、それより水仙だ!


「だ、大丈夫か水仙!?」


「は、はい… 六木さんのおかげで何とか…」


「よかった… てか、なんだったんだ?今の…」


今のは移動系スキルか?だとすれば、相当な使い手だな… 通常、何もないように見せかけたゲートを展開させて、”宇宙”までなんていう長距離をつなぎ続けることはできないはずなんだがなぁ… そいで、僕らを飛ばした理由は… 倉庫街に近づいてほしくなかったからか?


「あの… 六木さんこそ大丈夫なんですか?相当な出力でスキル使ってましたけど…」


確かに… ちょっと今無理したからなぁ…

グゥゥゥゥゥ…


それを自覚した途端、お腹が大音量でなった。


「ちょっと中華街でご飯食べてくか!」


「りょ、了解です!」






「うまままままままままっままままままうままままままうっままままままままままま…」


「前よりも勢いすごくないですか?」


僕らは陳がいたお店で料理をふるまってもらっていた。


「こっちは元気が出るの。水仙が作ってくれたご飯は優しいの。つまりベクトルがちげぇの。」


「そういうもんですかぁ?」


「そういうもん。大丈夫。僕の中での料理ランキングの一位が君の料理から変わることはないから。」


「にしても、どうしたノ?さっき路地のほうにいってなかったカ?」店の厨房から陳が新たな料理を持って出てきた。


「そうなんだけど、倉庫街みたいなところに出たときに、誰かにぶっ飛ばされてね。スキルを全力で使ったから、お腹が空いて戻ってきたんだよ。」


「あぁ、あそこカ。ごめんネ。多分我のせいだヨ、ソレ。」


「「は?」」僕と水仙は同時に声を上げた。「「どゆこと?」」


「説明してなかったナ。あそこに許可なく近寄ったラ、宇宙に飛ばすようにスキルを組んであるんだヨ。」


「だ、誰がって?」僕は尋ねる。すると陳は誇らしげに言った。


(うぉー)だよ☆」


「「はあああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁああ!!?」」


この娘、もしかして結構な実力者?

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