燃やし尽くして残った愛
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。仄暗いのでR15。
内容は多分?健全です。
あとがきは多分、R15です。
「はぁ? なんだよ。これ」
目覚めと共に目にしたのは、一つの置き手紙。『夕暮れには戻ります』。彼奴、今度は何処に行ったんだ?
朝起きて、彼が隣で眠っていた。まつ毛を閉ざして、微かな寝息を立てて、安らかに。……白雪姫、みたいだった。肌は色白だし、髪は黒くて艶があったし、唇は血のように赤いし。そんな様を見ていると、御伽噺の王子様の様に良からぬ欲望がざわめき始めた。
……キスしたら、起きてくれるかな? ……起きなかったら、自分の寝台を棺にして、毎日眺めてしまうかも知れない。
ずっと彼と一緒にいたい。私より先に死なないで欲しい。私より先に焔を抱かないで欲しい。抱くのは……私だけで良いじゃないか。そこまで考えて、一度彼から距離をとる決意をした。
今日の夕暮れまで、外に出よう。沢山の物を見よう。少しでも興味がある事があればやってみよう。そうやって気を紛らわさないと、きっと彼を困らせてしまう。
思い付いた時には早かった。すぐにでも彼のシャツを纏いたくなる感情を抑え、足早に部屋を出る。さっさと自分の衣を纏って、置き手紙を一つ。『夕暮れには戻ります』。
……ごめんね、でもそうしないと……。おかしくなりそう。
残された俺は適当に髪を掻き乱し、溜息をついた。夕暮れには帰りますって、彼奴何処行ったんだ? 友人のところ? それとも他の……いや。考えるのは止めだ。帰るって言ったんだ。今はその言葉を待とう。本当に耐えられなくなったら、大変不服だが、彼奴の友人に連絡入れよう。何かきっと知ってるはずだ。
それから夕暮れになり、不意に家のインターホンが鳴った。駆け足で扉を開けると、半泣き状態で立ち尽くす女の姿があった。俺の姿を見確認すると、手を伸ばし、自分の元へと引き込んでくる。
「気、紛れなかった。ずっとずっと寂しくて、体が求めてた」
「何処行ってたんだよ」
とりあえず身体ごと玄関に引き入れて、そのまま鍵をかける。力が抜けた状態故、何時もよりも、しっとりと肉が食い込む。女の、柔い感触。触れ慣れた、感触。
「色んなところ。家具屋、本屋、食事処。でも何も覚えてないや。あれだけ燃やし尽くそうとしたけど、結局無理だったよ」
女は俺の体に擦り寄って、耳もとにくちびるを寄せた。
「燃やし尽くして残った灰。そんな愛が君なんだよ」
テーマとしては、グリム童話の白雪姫。
死体愛好家の王子が出てくる方です。
だから、死から連想して火葬場。
焔を抱いてというのは、焔に焼け死んでを連想して。
気を紛らわす為に沢山の事をして、数多の人と付き合って、それでも君を思うって、相当な愛情だと思います。
軽い様でアホみたいに一途。そんな女性が好きです。
これ、何故か男性キャラだとあんまり刺さらないんですよ。
多分、どんなに頑張っても男性になれないからだと思います。
一途さとは遠い所で生きているので、欲しくなります。
耽美奇譚が書きたいです。
月を見ると、こう、ガチっと狂いそうになるので、それと完全無欠について。