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クエスト

 



 ステータス検証をしていると、すっかり時間が経ってしまった。

 というのも、スキルを夢中になって確認していた為だ。



 このスキルというもの。

 ゲームや漫画であるようなバトル的な感じではなく、ステータス操作に関係しているといった感じの物だ。


 具体的に言うと、他人のステータスを知ることが出来るスキル、ポイントを使って他人のステータスを上げたり下げたりできるスキルなど。


 しかし、どれもそれなりのポイントを消費して、しかも使用後は消えてしまうというデメリット付き。

 その場合はまたポイントを使って習得しなければならない。


 とまあ非常に使い勝手の悪い力だが、幸いポイント自体簡単に手に入りそうな設計がされている。

 今もクエストを確認してみると『食事をとる……0/1』なんていう緩すぎる条件。


 なので、そのうちポイントに余裕が出来たら試してみても良いかなと考えている。


 まあせっかく猫の神様に頂いた力だし使わなきゃ損だ。



 使い道としては、これまで俺に散々無礼を働いてきたカスどものステータスを下げていくとかどうだろう。


 ……やべえ、最高じゃねえか。


 特に梓の容姿とか超下げたいんですけど。

 かつての俺と同じか、むしろマイナスにしたい。

 どんなブスが出来上がるのか今から楽しみである。


 もしくは、知能を下げるってのも有りか。

 知能1ってどんな感じになんだろ。

 サルくらいまで退化したら最高に笑える。



 とまあ愉快な妄想をしてたらけっこう時間が経ってしまった。




 ###




 やばい、少し勘違いをしていたのかもしれない。



 あれからしばらく日が経ち、俺はクエストをこなしてポイント稼ぎに精を出していた。

 ポイントは最初のうちは手に入った側から知能に割り振っていた。


 その甲斐あって、今では知能も容姿と同じ10の大台に達した。


 ちなみにこの知能10。

 ハッキリ言ってやばすぎる性能をしている。


 記憶力、思考力、演算力、どれもが軽く人間を超えているのだ。


 その気になれば10桁同士の掛け算を即座に暗算で叩き出せる。

 更にたった数十分で新しい言語まで習得してしまった。


 まあ簡単に例えると頭の中にパソコンが有るみたいな感じか。



 やはり、予想してた通り10というのは一つの到達点ということだ。


 多分だが、どんなに頑張っても普通の人間では7か8が限界、才能あるやつが限界まで努力してようやく9にたどり着くかどうか。


 何度か他人のステータスを見れる鑑定というスキルで検証したのでまず間違いない。



 そう考えるとマジで反則だなステータス操作。

 たった数日で二つの項目を10にしたんだから。


 こりゃマジで神になるというのも冗談じゃなくなってくる。



 しかし、ここで誤算があった。


 なんとこのクエストというもの。

 最初は簡単と思っていたが、どうやら難易度が上がってきている。


 というのも獲得ポイントが10を超えた辺りから嫌らしくなってきた。


 例えば『梓の頭をなでる……0/1』というクエスト。


 まずクエストに個人名が出てくるのも意味わからないが、これは確実に俺の精神を殺しに来ている。


 その前は『家事をする……0/2 』とどう考えても香苗に親孝行をしていると勘違いされそうなクエストだった。

 しかし、背に腹は代えられないので俺は渋々食器洗いと掃除を行った。


 あの時のババアの顔ときたら……。

 今考えてもムズムズしてのた打ち回りたい気分だ。


 ……いや、実際そのあと自室でのた打ち回ったけど。



 それが、どうだ。

 やっとの思いでクリアしたクエストを終えると、さらなる地獄が待っていた。


 確かにクエスト難易度的には簡単だ。

 だって頭を撫でるだけだもの。

 しかし、その対象が梓というだけで精神的な難易度は別物だ。


 マジで嫌らしい所を突いきている。


 おかげでここ数日、新たなポイントの取得はない。


 マジでヤバい。

 刻一刻と時間が過ぎているというのに。


 本当なら高校入学前にステータスオール10を達成する予定だったのに。

 こんなところで足踏みするとは思わなかった。


 いやマジで、無理だってこんなの。


 間違えて梓の顔面に右ストレートを叩きこんでも可笑しくない。

 そうじゃなくても絶対にアイツの頭を撫でるなんてしたくない。


 もういっそのこと諦めるというのもアリか。

 知能と容姿は人類最高レベルだし、これで満足するか。


 ……勿体ないよな絶対。

 クソッ、もうこうなったら自棄だ。


 ちゃっちゃと頭でも撫でて無言で去ろう。

 完全に不審者ムーブだがこの際どう思われても構わない。


 リビングのソファに寝転んでいる梓の背後に立つ。

 梓はテレビに夢中になって俺には気づいてない。


 その隙に手を伸ばして頭を撫でる。

 躊躇している暇はない。

 こういうのは勢いだ。



「えっ、な、なに、ヨウっ!?」



 梓は動揺しているが、乱暴に頭を撫でる。

 ステータスを見ると達成になっていた。


 やれやれ、久しぶりのクエストクリアだ。

 もうコイツに用はなくなった。


 俺は梓の声を無視して走って家を飛び出した。



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